2023-08-19 13:06 追加
河野裕輔のエール!! 22稿 ついに届いた銅メダル! 元代表・Vリーガーによる男子バレーコラム
全日本代表 男子
■ポーランド・グダニスクラウンド(ファイナルラウンド)
~ついに届いた銅メダル 見えたパリへの道~
ご存じの通りスロベニアとの準々決勝を3-0で勝利した龍神は、VNLでも新たな扉を開けることに成功した。過去最高順位、そしてメダルへの挑戦権を手にしたことが、偶然やフロックではないことは明らかだ。なぜなら今まで(いうなれば2018年くらいから)の一貫した龍神の戦い方は世界と戦えることを証明し続けてきたからだ。そして敗戦のたびにブラッシュアップを繰り返してきた龍神達にとって、この結果はある意味想定内だったといえる。
大会前から「目標は決勝ラウンドで1勝」と言ってきた龍神がその目標を達成するために必要なタスクを高いレベルで処理できると思っていたからこその目標設定だったのであろう。
準決勝でポーランドに敗れた試合においても、課題は中国戦と同様であろう。レオンという強烈な個に対しての対応ができなかった事が敗因の大部分を占めるのではないか。筆者はレオン以外の部分(組織的なオフェンス/ディフェンス)の部分においては非常によくできていたのではないかと感じた。
そして3位決定戦においては予選で敗れたイタリアだ。フルセットの激闘となったが、このゲームにおいてはサーブがカギとなった。お互いインシステムに持ち込みたいと狙っていたが、先手を取ったのは日本。この日7本のサービスエースを決めた宮浦を中心にサーブ戦術で抜け出した。しかし3,4セットは逆にイタリアのサーブが走り日本がアウトオブシステムになりがちになる。そうなるとイタリアのブロックが機能してフルセットに持ち込まれた。
ここでブラン監督が動いた。ローテーションを回しこの日サーブが好調な宮浦を最初のサーバーに。この宮浦が期待に応えていきなりのノータッチエース。15点という短期決戦においてこのアドバンテージは大きかった。日本が先に走るとイタリアもブレイクを狙うため強いサーブを「打つ」のではなく「打たされる」ことによりサーブミスが嵩む。さらにイタリアは日本のサーブによりレセプションが乱れ、サイド攻撃が中心となるため山内の2本のブロックに繋がった。焦るイタリアと走りたい日本という構図が5セット目に描かれた。そしてかつての悪夢は夢のまま銅メダルを手にした龍神達はもう、バレーボール後進国の代表ではない、立派な世界の強豪チームとなったと言えるであろう。
■なぜこんなに勝てる??
勿論主将の石川祐希を筆頭に、海外リーグを経験した選手たちの成長の部分は大きい。そこに加えて日本が世界に追いつくべくトライし続けた戦術の遂行という部分において、今回は大きな成長が見えたように思う。高確率で相手を崩せるサーブ、リードブロックを軸とした相手に合わせたブロックとディグ、そして相手の高いブロックに対しリバウンドを駆使したインシステムでの攻撃と、世界に対して全く引けを取らない戦術の遂行がなされていた。スタッツから見ても、サイドアウト率やブレイク率において優勝したポーランドとほぼ変わらない数値ということからもそれがうかがえる。ここに来るまで選手、スタッフはじめ関係各位の多大なる努力があったことに対し心からの賞賛と感謝を。
日本が今進んでいる道は決して間違っていなかったことが証明された。そして秋に迎えるOQT(ワールドカップ)においては必ずやパリへの切符をつかみ取り、ここまで龍神達が進んできた道がパリの表彰台の一番高いところへと続く道であることを証明してくれることを信じている。オリンピックまであと1年。心からの応援を送りながら今回はここまでとさせていただく。
文責:河野裕輔
写真:FIVB
※プロフィール 河野 裕輔(かわの ゆうすけ) 1975年8月1日生まれ ポジション OP.OH 古河4ますらおクラブ-古河2中-足利工大附高(現足利大附高)-中央大学-JTサンダーズ(現JTサンダーズ広島) 現在社業の傍ら、V.TVにて解説者、オーカバレーボールスクール埼玉校にてコーチ業を勉強中。
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