2024-03-10 08:00 追加
NEC・古賀紗理那「ビハインドの状況でも焦ることなくプレーできた」、JT・サンティアゴ・アライジャダフニ「JTに移籍して新しいプレーを学んだ。スタッフやチームメイトに感謝している」 V1女子会見
SV女子
●金子隆行監督
まずはJTさんとこのファイナルを戦えたことに本当に感謝しますし、リーグ全体通して大きな事故もなく無事に日程を終えたことに、 関係者の皆さんに感謝申し上げたいなと思います。また、メディアの皆さんも毎試合会場に足を運んでいただいて、情報発信してもらったことに感謝します。そういったリーグの中で我々が最後、優勝という形にできたこと、本当に本当に僕自身も喜びを感じますし、選手たちの成長に感謝したいと思うので、この結果をしっかり自信にして、過信にはしないで、また次のタイトルに向けて頑張っていきたいと思います。
――ピーキングについて。古賀選手も大事に試合にピークを持っていくことが上手だとおっしゃっていました。改めて、チームの選手、スタッフを含めたコンディショニングについて、監督はどのように捉えていますか?
金子:うちは毎週水曜日に週1回、走り込むということをやっていますし、ジャンプ動作のひとつひとつを全部分解して、なぜこのジャンプが必要なのかというところを具体的に落とし込んでやってくれるスタッフがいます。マインドセットも週初めに、週末に体力が落ちることが全くないように全部してくれるので、週の入りが前の週の疲労を抱えることなくパチッとスイッチが入ってるというところが、まずメンタル的には大きなポイントかなと思います。そして、体のことを変え始めて約3年経ちましたが、選手たちが「これをやればこう動ける」っていう具体的なことをしっかり理解して、それを言語化できるレベルまで来たっていうのが今日の最終形態かなと思っています。
女子バレーは昔からずっとスキル練習が多いところで、フィジカルは二の次にされるケースが多かったんですけど、我々はその逆にしてフィジカルを重要視すれば、今まで2センチ届かなかったボールが勝手に届くようになる。そうすればスキルは上がると僕は思っています。それをうちのスタッフ陣が理解し、しっかり綿密なスケジュールを組んでピーキングをしてくれているので、見えないところでスタッフが寝る間も惜しんでしっかりコンディショニング管理を全部やってくれている成果かなと思います。
――古賀選手が少し高く跳べるようになったという話をされていましたが、改めて彼女の成長や、こういう大事な試合での彼女のチームにおける存在感などの部分で感じていることは?
金子:今日の試合でも圧倒的な高さからまずスタートし、セットを追うごとにさらにジャンプ力が上がっていった。特に4セット目ではスイッチを入れる場面があり、そこでのオフェンスのコース幅も広がりました。彼女は自分自身が上手くなる努力を貪欲に続けてくれましたし、NECに約10年近く、ずっとエースとして君臨し、チームを牽引してきたのは、彼女自身のすごさかなって僕は思います。でも、まだまだ彼女は伸びている段階で、 今後は代表活動でもさらに伸びる古賀選手を見ていけたらと思うので、間違いなく今、日本でナンバーワンの選手だと言えると思います。
――ジャンプの数値は測定していますか?
金子:数値を測るというところではなく、コートの中で圧倒的にジャンプ力が伸びて、軽く跳んでも彼女の場合は立ち上がる速度がすごい上がって、ジャンプの最高到達点に行くまでの速さがすごく上がっているので、男子並みの スピードなのかなと。古賀だけでなく他の選手も男子並みのフィットネスのトレーニングメニューを全員こなしているので、ジャンプの部分でみんな具体的な数値が上がってるかどうかはわかりませんが、体感的に見ても最高到達点は上がっているのではないかと感じています。
――水曜日のトレーニングについて。具体的にフィジカルトレーニングに当てる時間は?
金子:午前中大体60分から70分程度で、 前半はジャンプ動作だったり、体のステップワークというところをうちのスピードコーチの里大輔さんがやってくれています。彼が来てから動きをひとつひとつ細分化して教えてくれているので、そこに対して選手もしっかり腹落ちして、何のためにやるのかを理解して取り組んでいます。この70分近くの時間というのは、選手にとっては大きなポイントかなと。彼と出会わなければ多分こういうチームになっていませんし、そういう時期に彼と出会えたこともよかったと思います。どっちかというとウエイトというよりはフィットネスレベルのトレーニングを70分ぐらいやっています。
――ファイナルに向けてのピーキングがあって、こういう結果が出たと思うんですけど、皇后杯との2冠を取れたことについて、どのように感じていますか?
金子 :結果を出せていることは本当に非常に光栄なことだと思っています。ただ、その前まではすごく苦労する時間も我々にもあり、その時間があったからこそ、自分たちのやるべきことを変えなきゃいけないと。そして、僕も監督になってから毎年いろんなことを変えてきているので、その変化に対して選手たちやスタッフも全員ついてきてくれたっていうところが、この結果につながっていると思います。結果だけで見ると、今いい状態だと思われるかもしれませんが、我々はそこに甘んじることなく、より厳しく謙虚に、次のV Cupに向けて頑張っていきたいと思います。
――今季はチームとして初めてアジア枠の選手を起用し、コートにアチャラポーン選手、ドルーズ選手と外国人選手が2人入る形となりましたが…?
金子:アチャラポーンに関しては、タイのナショナルチームでもずっとエースでやっていますので、そこそこやってくれると予想していましたが、この勝負どころ、特にセミファイナルくらいからスイッチが入って、それも男子並みのスイッチの入れ方で、よいパフォーマンスを発揮してくれたので、彼女の力も大きなポイントだったと思います。
ドルーズに関しては、まだまだ若い選手で経験が浅かったのですが、この2人に共通しているのは、練習でも文句を言わずに日本人と同じメニューをちゃんとこなしてくれるんです。そこで選手たちの信頼をしっかり勝ち取ってやっているのは、非常に良かったなと思っています。2人入ることによってコミュニケーションなどもいろいろ大変ですが、 彼女たちもちゃんと具体的にコミュニケーションを取ってくれますし、スキル以上に彼女らの人柄がこのチームに対してはフィットしたのではないかと思っています。
――古賀選手について。3年くらい前の会見で古賀選手についての質問が多くなり、監督の方から「古賀もチームの一員なので、あまり過度に、特別にその話だけしてほしくない」というようなコメントもあったかと思います。ですが、最近、例えば組織の中で敢えて古賀選手、例えばブロックシステムでもフリーにやってもらうとか、組織の中で古賀選手の個の力を出すことに対して、監督自身の考えが少し変わった部分があったのではないかと感じますが…?
金子:3年前は僕も結果を出せていなかったことと、チームというのは全員だっていう気持ちは今でも変わってない部分はあります。
ただ、やはり古賀の今のパフォーマンスは3年前と全く違う部分もありますし、リーグ戦の中でも、KUROBE戦だったと思うのですが、4セット目まで彼女を使わないで試合を進めたところ、 彼女を使った時の周りの影響力というのはすごいものがあって。彼女がコートにいるだけで他の選手がパフォーマンスを上げていけるというレベルに達してくれたのは、やっぱり彼女の力だと思うので、そういう意味で最近名前が出る部分もあります。間違いなく彼女の影響力は高いと思います。
――先ほど外国籍選手が好調というお話がありましたが、通訳兼マネージャーの伊藤花音さんの存在も大きいのではないかと思います。彼女がうまく外国籍選手のモチベーションを上げてくれるなど、チームにいい雰囲気を与えている部分もあるのでしょうか?
金子:彼女は東京オリンピックもボランティアでチームサポートなどを経験しており、本当にチームに対する愛情の深いスタッフではあります。外国人選手のメンタルについてもいろいろサポートしてくれてはいますけども、 やるのは選手なので。彼女自身は本業である通訳やマネージャー業がメインですが、彼女の人柄がチームに与える影響というのは間違いなくあるのではないかと思います。
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