2024-10-11 07:00 追加
今季での引退を発表した埼玉上尾メディックス・山岸あかね「持ち味は守備範囲の広さ。一緒にコートに入っている選手を助けたい」 SV女子
山岸あかねが2024-25シーズンを最後に現役を引退
SV女子
埼玉上尾メディックス主将、パリ五輪に「13人目のメンバー」として参加した名リベロ、山岸あかね選手が今季をもっての引退を発表した。
SVリーグ女子は10月12日に開幕。埼玉上尾メディックスはとどろきアリーナにてNECレッドロケッツ川崎と対戦する。
その直前、10月10日に山岸あかねは現役引退を発表した。
シーズン開幕前に引退の意思を伝えることで、ファンに感謝の気持ちを伝え、しっかりラストイヤーを見届けてもらおうという本人の意思、配慮からの決断だった。
山岸あかね、コートネームは「キラ」。東海大学を卒業後、当時まだ2部だった埼玉上尾メディックスに入団し、以降チームの守護神として活躍を続けた。2022-23シーズンに230試合出場を達成し、Vリーグ栄誉賞を受賞。その間、幾たびも日本代表に選出された。
山岸あかねがどんなプレーヤーかと言えば、まず挙げられるのが守備範囲、カバーできるエリアの広さであろう。
ディフェンスにおける評価基準として、「サーブレシーブ成功率」というものがある。ざっくり言ってしまえば相手のサーブをどれだけ正確にセッターに返せるかという数字だ。
リベロにおいてもこの数字が上位の選手が優秀なプレーヤーとして評価され、表彰を受けたり、代表にも選出される傾向がある。
もちろん山岸もこの数字で他の選手に引けを取らないのだが、山岸はサーブを受ける範囲を広く設定し、他のスパイカーの負担を軽減して攻撃に専念させることを自身の「武器」と認識している。
厳しい態勢が増えて多少数字に影響しようがそこはフォア・ザ・チーム。単純に数字だけでは表わせない貢献度が高い選手なのである。
数字に表れない、という面はプレーだけではない。仲間の心を繋ぐということにも山岸は多大な貢献をしてきた。
パリ五輪の最終戦後、記念撮影時に古賀紗理那の隣に寄り添って共に涙する姿は、山岸あかねが五輪で求められていたことを体現したシーンであったと記者は感じている。
コートに立つことのなかったオリンピック。プレーヤーとしては複雑な思いもあったかもしれない。しかし、ここでも山岸あかねは数字には表れない多大な貢献をしたのだと、このシーンを見てそう確信を持った。
山岸選手には先日開催されたSVリーグ開幕記者会見で新シーズンに向けた抱負を聞いたので、ここでぜひご紹介したい。
もちろんこの時点で取材者は引退を知らない。
■埼玉上尾メディックス
●山岸あかね主将
――いよいよSVリーグが始まりますね。
山岸:新しいリーグが始まるということで本当にワクワクしています。バレーボールの魅力を伝えられるように、個人としてもチームとしても頑張っていきたいです。
――オリンピック終わってからメディックスはイベントとかオフシーズンの活動をしていたわけですけれども、そこに山岸さんが…この記者会見も最初は名前がなかったので少し心配していました。
山岸:(微笑しながら)お休みをいただいてリフレッシュしていました。
――プレーヤーとしてもますます円熟期に入ってくると思いますが、今季はどういうプレーに力を入れていきたい?
山岸:自分の持ち味は守備範囲の広さなんですが、それを発揮することで一緒にコートに入っている選手が楽にプレーできるようにしていきたいですね。
――SVリーグ女子の開幕カードである埼玉上尾対NEC川崎。注目の一戦になっていますがそこに向けての抱負は?
山岸:開幕の注目カードに選んでいただいて本当に光栄なことだと思っています。
それにふさわしいプレーをNEC川崎さんと繰り広げて、バレーボールの面白さが伝わるような試合にしていきたいですね。
最後に今回の引退発表に対する本人のコメントをご紹介する。
いつもたくさんのご声援ありがとうございます。
2024-25大同生命SV.LEAGUEをもちまして、現役を引退することを決めました。
小学校1年生になる前くらいから体育館に行き、いつの間にか始めていたバレーボールをまさかここまで続けるなんて始めた頃は想像もしていないと思います。
ここまで続けられたのも、病院を初めとしたAMG関係者、後援会の皆さん、恩師、家族、友人、ファンの皆さん、関わって下さった皆さんのお陰です。
バレーボールを通してたくさんのことを学び選手としても、1人の人としても成長することができたと思っています。今まで出会ったすべての方に感謝しています。
そして、今回こうしてリーグ前に発表させていただいたのは感謝の気持ちを少しでも多くの方に伝えたいと思ったのと、会場で少しでもプレーを見てもらえたらなと思い発表しました。チームとして結果を残せるよう最後のリーグを全力で戦い抜き、楽しいと思い始めたバレーボールを最後まで楽しみます。
たくさんの応援よろしくお願いします。
(コメントは埼玉上尾メディックスのホームページからの引用)
取材・撮影 堀江丈
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