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会見・コメント

2025-01-31 13:48 追加

埼玉上尾・メイレレス美帆、サラ・ロゾを語る「常に謙虚、感謝の気持ちを忘れない選手。通訳の私も試合を楽しめています」 SV女子

埼玉上尾サラ・ロゾ、メイレレス美帆通訳インタビュー

SV女子

埼玉上尾メディックスに所属するサラ・ロゾ選手。バレーボール強豪国、セルビア代表でも活躍する彼女はVリーガーとして3シーズン目を迎えている。ポジションは攻守の軸になるアウトサイドヒッター。
今季はややスロースタートとなったが、シーズン半ばの現在は好調を維持し、ハイレベルなプレーでチームに貢献中だ。

ロゾの特徴はその存在が「しなやか」であることだ。チームの一員としてごく自然にメディックスに溶け込んでいる印象がある。

野球文化の影響もあると思うが、とかく外国籍選手は「助っ人」として見られてしまう。スペシャルなスキルを持っていてインパクトをもたらすが、活躍は短期間。
しかし、サラ・ロゾは使い詰めるような起用で結果を出すのではなく、他選手ともバランスを取り、チーム内で有機的に機能することでその価値を発揮している。

かつて、トヨタ車体クインシーズ(現クインシーズ刈谷)を率いていた印東玄弥監督は自チームのネリマン・オズソイにボールが集まることに対してこう言った。
「ネリマンはあくまでクインシーズというチームの一員で、その中で得点を取るという役割を背負っている」
彼女にボールを集めるのは外国籍選手だから、助っ人だから、というわけではない。外国籍選手も日本人選手もチームを構成するメンバーには変わりなく、その中で役割分担をしている。インターナショナルな感覚を持つ印東監督の言葉には当時、深く頷かされた。ただ、それにしてもネリマンは存在感が強烈すぎた。時代に一歩先んじていたこともあり、印東監督の真意は当時のバレーファンにはなかなか伝わらなかったかもしれない。

そこから数年。チームは異なるが、メディックスのロゾ選手の現在は外国籍選手の理想を体現しているようにも思える。
リーグの方針もあり、各チーム保有する外国籍選手が増加している。その中で国籍がイレギュラーにならないこと、規定上はともかく、人のつながりとしてはそうあることがこれからのリーグには重要になってくるはずだ。
その点を鑑みると、メディックスにおけるロゾの在り様はごく自然で、他の日本人選手と何ら変わりなく映る。
メディックスは「大人のチーム」と評されることが多いが、大久保茂和監督をはじめ、選手、スタッフ、チームのマネジメントがしっかり今の時代性にマッチしているのであろう。

サラ・ロゾは1月18日のAstemoリヴァーレ茨城戦、アウェーの中、アタック決定率69.6%というハイスコアを記録した。
試合後の記者会見で、ロゾにプレーの手応えを聞いた。

「自分のことについて説明するのがあまり得意ではなくて。上手く話せるかわからないのですけれども」
ロゾは少し照れながら言葉を続ける。
「おそらく今日の決定率70%が日本に来てから一番良い数字だと思います。今シーズンは、特に序盤は、過去2シーズンのように上手くプレーできるか不安もあったのですけれども、少しずつ良くなってきています。こうやって数字も出せているので、このまま続けていきたいと思っています」

ロゾ選手の通訳を務めるのはメイレレス・ゴンサルベッシュ美帆さんだ。メディックスですでに数年の活動歴があり、ファンにはおなじみの存在だろう。
また、彼女はメディックスのファンだけでなく、昔を知るバレーファンからも温かいまなざしを向けられているに違いない。
埼玉県上尾市出身。旧姓は高橋美帆。かつてパイオニアレッドウイングスでプレーし、将来を嘱望された元Vリーガーでもある。
選手として成し遂げられなかった思いを胸に仕舞い、通訳というセカンドキャリアで活躍するメイレレス美帆さん。
彼女にロゾ選手はどのように映っているのだろうか。率直な感想を聞いてみた。

「入団最初のシーズンから、みんなと積極的にコミュニケーションをとってくれていますね。バレーボールは個人スポーツではないので、特に外国籍選手はチームにどれだけ馴染めるかということが成果に繋がってきます。その点において、彼女自身の努力というのがすごく大きいです。通訳としてとても助かっています。
もちろん言うまでもなく、プレーは輝いています。オリンピックでも活躍した一流の選手ですが、どんな状況でも性格はいつも変わりません。優しく謙虚です。感謝の気持ちを忘れない。これは本当に最初のシーズンから今までずっと同じですね」
メイレレス美帆は続ける。
「(ロゾは)ゲームの中、セット間で一生懸命チームのやるべきことを理解しようと努力しています。時間が限られているので、互いに短く簡単な言葉で意思疎通を図る。わかりやすい形でコミュニケーションを取っていこうと彼女と話しています。それが今とても上手くいっていて、通訳の立場で私もゲームを楽しむことができています」

これからもサラ・ロゾは埼玉上尾メディックスの一員として求められる役割を果たし、かつ輝き続けるだろう。
そして選手の経験を活かし新たな道を切り開いているメイレレス美帆氏にもエールを送りたい。

撮影 堀江丈

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