2025-02-06 12:40 追加
シーズン4勝目。勝てなかったチームが新時代の扉を開ける。アランマーレ山形・工藤真帆「オールスターは学びの場だった」、木村友里主将「群馬とはお互いに特別な意識があったと思う」 SV女子
アランマーレ山形 選手コメント
SV女子
2月初週、バレーボールSVリーグで長年のライバルが相まみえた。場所は群馬県前橋市のヤマト市民体育館。ホームである群馬グリーンウイングスとアランマーレ山形の2連戦はアランマーレの連勝に終わった。
「私たちも群馬さんもお互いを意識した試合だったと思います」
1日のGAME1に勝利したアランマーレ山形の木村友里主将は言った。
「そんな中でもスタートからアランマーレのバレーができた。選手同士のコミュニケーションも良かった。自分たちの自信に繋がりました」
入替戦でヴィクトリーナ姫路に勝利し、V1に昇格。昨シーズン初のトップリーグで戦ったアランマーレだが、初年度のリーグ戦で勝利することはかなわなかった。
SVリーグとして再スタートを切った2024-2025シーズン、アランマーレはKUROBEアクアフェアリーズから念願の勝利を挙げ(アウェーで2連勝)、アランマーレから1年遅れでトップに参入した群馬に一歩優位な立場で対戦が行われた。かつてV2(Vリーグ2部)でアランマーレと覇権を競い合ってきた群馬にはまだSVリーグでの勝利がない。
「相手に対する特別な意識は、まあ出るだろうと。ですから、あえてしっかりそのことを話してから試合に臨みました。チーム全員で群馬にどう向き合うか納得した上でゲームに入ったので落ち着いてプレーすることができたと思います」
これでシーズン3勝目、翌日のGAME2でも勝利してアランマーレはシーズン4勝目を勝ち取った。
木村主将は言う。
「リーグの序盤に2勝できましたが、その後ずっと今日まで連敗が続いていました。苦しい状況でしたが、とにかく前を向いて頑張っていこう、と。いろいろもがいていたのですが、先週の姫路戦を経験して自分たちのチーム力が一段上がったと感じました。その試合には負けてはしまったのですが、アランマーレの強みはチーム力だなと再確認できました」
中心選手であり、頭脳派のミドルブロッカー伊藤摩耶も姫路戦をターニングポイントに挙げる。
「姫路戦を終えて1週間練習してきたことが…技術だけじゃなくて、それ以外のところで今日の試合に活きました。私たちは試合の中でアジャストすることを大事にしていますが、相手のメンバーが多く入れ替わってもしっかり対応することができていたと思います」
伊藤の武器のひとつにサーブがある。昨シーズンはサーブ効果率で日本人トップ。全体でもランキング2位の好成績を残した。勝ち星がなく、最下位に終わったアランマーレにとって、伊藤の残した数字は大きな希望になった。その伊藤に今季のサーブについて聞いてみた。
「昨シーズンと比べて少し意識してしまうところはあります。なかなか自分の思ったように相手を崩すことができなかったり、思い切って勝負しにいくところで上手く行かなかったり。でもチームには常に『攻めていいよ』という雰囲気があって、今日は自分もしっかり攻めの姿勢で狙っていけたと思います」
今シーズンのアランマーレには大いに注目を集める選手がいる。リベロの工藤真帆はスタメンに定着し、オールスターにも選出された。工藤にとってオールスターはどのような機会になったのか。
「普段やっていない選手同士でプレーをしますし、少しバタバタしてしまうんじゃないかなと不安に思っていました。でも上手い選手ほどしっかりとコミュニケーションを取っていて。相手のことを考えたボール出しをしていたのが印象に残っています。初めて集まったメンバーでも混乱することがなく楽しんでプレーができました。チームでいつも一緒にいるからといって、何も言わずにすべてがわかり合えるわけじゃないですから、相手がどう思うかなとか、どうしたら伝わるかなとか。伝え方でも表情をどうするか、話し方をどうするか、わかりやすい表現が大切なんだなって。コミュニケーションの面でたくさんのことを学ぶ機会になりましたね」
アウェーで群馬に勝つことはアランマーレにとって挑戦でもあり、責務でもあった。GAME1の試合後、北原勉監督は
「隠しようがない、重要な試合でした。本当にプレッシャーがある中で、それを力に変えてくれた。選手たちが良くやってくれたと思います」
と相好を崩した。
「アウェーにもかかわらず、多くの方が応援に来てくださいました。創部から10年目になりますがファンの皆さん、シップメイトが勝敗に一喜一憂して『うちのチームが』って言ってもらえることをずっと目指してやってきています。今日は本当にみなさんと戦えた実感がありました。それが何よりも嬉しいですね」
試合展開について問われると、細かいところまではお話しできませんが、と前置きした上で、北原監督は真摯に言葉を紡ぎ始めた。
「群馬さんは選手層が厚くて、いろいろな選手が出てきます。ですから対策というよりも、自分たちがどうやっていくか、試合の中でどうアジャストしていくかということにフォーカスして臨みました」
GAME1では2セット連取の後、第3セットを競り合いの中で群馬に奪われた。群馬サイドは俄然盛り上がる。そこから切り返せたのはなぜなのだろうか。
「正直言ってしまうと、ああいう取られ方は絶対後に大きく尾を引くはずなんですよね。だから監督としては切り返すためにいろいろ言いたいのですけれども、一つだけ、自分たちがやってきたことをやるだけだよね、と言いました。最後までどんな状態になろうとも自分たちがやってきたことをやり通す。セットを取りたかった気持ちはわかるけど、今は何をするべきなのかな、と。その瞬間、みんなの目がクッと強く光ったので、あ、これなら大丈夫だな、と」
今季のアランマーレは他のSVチーム同様、外国籍選手を移籍で獲得し、コートで起用している。これまで多くの選手を生え抜きという形で育ててきたアランマーレにとって外国籍選手との活用は新たなステップになる。(昨年まで在籍したオケケアル・メソマチは日本の高校出身)
「私たちはNEO Aranmare(ネオ・アランマーレ)を今シーズンのコンセプトにしています。もう一段階上のアランマーレをお見せしたい。言うなれば外国籍選手と日本人選手の融合ですね。外国籍選手のダイナミックさ。日本人選手の巧みさ、この二つを融合させることを掲げてシーズンをスタートしました。私たちは初めて外国籍選手を外から呼ぶという形になります。ですから、当然もう一段階上に上がらなきゃいけない、と。
今まで通りではなく、外国籍選手がいる環境に慣れることが大事なんです。特にセッターはコミュニケーションが求められますし、トスの上げ方も変わってきます。
正直、選手たちも初めての経験に苦しんでいたところがあります。まだ3割くらいかな。もっと外国籍選手とも融合ができると思うので、しっかりやっていきたいですね。
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