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インタビュー

2025-03-23 08:46 追加

そして三重の希望になった。ヴィアティン三重・浅川希 V女子

ヴィアティン三重 浅川希インタビュー

V女子

一人の選手が現役を引退する。
浅川希。
三重県津市出身。今季は所属するヴィアティン三重で主将を務め、攻守の軸として貢献したサイドアタッカーである。

Vリーガーとしてのキャリアのスタートはアランマーレ山形だった。今でこそ、SVリーグで戦うチームに育ったアランマーレだが浅川が加入した当時は創設間もなく、チャレンジリーグⅡという3部リーグが舞台だった。
アランマーレでチームと共に成長を続けた浅川は主にディフェンス面でのセンスを開花させたが2020年3月にチームを離れる。チームのアイコン的存在でファンからの人気も高く、惜しまれつつの退団だった。

一度、バレーボール選手としての活動に終止符を打った浅川に、再び転機が訪れる。
地元開催の三重国体。そこへの出場を打診され、2021年、ヴィアティン三重に加入。同年開催予定の国体はコロナ禍で中止となったが、チームはVリーグのライセンスを取得し、浅川希も2022-23シーズンに再びVリーグの舞台に復帰した。

「浅川という選手がいたことも知らなかったんですよ」
ヴィアティン三重、西田誠監督は監督就任当時を振り返って話してくれた。
「私自身、三重県に来て右も左もわからない状態でした。で、チームに入ってみたらレシーブの上手な選手がいるな、と。一見クールに見えて情熱的。ガッツがある選手だなと大いに感心しました。やっぱり真面目なんですね、バレーに対して。これはなかなかいない選手だと思いました」

浅川希はヴィアティン三重で3シーズン、Vリーグを戦った。昨季はV3で痛恨の全敗。それはかつて所属していたアランマーレの草創期にも似た体験であっただろう。
今季は主将としてチームを牽引し686日ぶりにリーグ戦で勝利した。そして現時点で9勝をあげている。

引退について浅川は次のように話してくれた。
「引退ということを頭に置いたというか、意識したのは、昨シーズンの終了後ですね。去年のシーズンが終わってから結構長い時間迷い続けていました。もうこのまま終わってしまうのかな、終わりにするのかなって」

2023ー24シーズンを終えて、浅川希の心は悲鳴を上げていた。

「正直、勝てないっていうのが一番、ダメージが大きいというか。ホームではたくさんの方が見に来てくれているのに、応援してもらってるのに勝てない。それはやっぱり観客の皆さんがいる前でプレイする身として、すごく痛みに繋がっていて。勝てないことが続いてて、チームがどうしたらいいんだろうと悩んでいる時に自分も一緒に心が折れていくというか、最後戦の後には、ほぼ折れていた状態でした。だからもう難しいかなって思っていました」

その傾きかけた感情を覆したのは職場の手厚いフォローであったという。

「続けようと思った1番の理由はやっぱり職場の方の助けというか、支えが大きかったということですね。移動日を休みにしてくださったり、多くの面で助けていただいて、ああ本当に応援してもらってるんだなっていうのをすごい実感して。このままじゃ終われないなっていう気持ちを抱くことができました。よし、もう1シーズンやろう。やる以上、この1年にかけようと」

自分の中では期限を区切った現役続行、1年と決めての延長だった。

「今シーズンが始まる時に監督にもその決意は話してありました。この1年に、自分の全てを出すというか、集大成にしたいと。その決断は変わらず最後まで来たっていう感じですね」

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