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会見・コメント

2025-04-21 07:46 追加

東レアローズ滋賀・越谷章監督から退団の山下ともに惜別のメッセージ「チームに貢献し、練習でもすごく伸びた選手。東レに来てくれて良かった」 SV女子

東レアローズ滋賀 試合後会見

SV女子

バレーボールSVリーグは各地でチャンピオンシップ、クォーターファイナルを行いSAGA久光スプリングスとヴィクトリーナ姫路の対戦を残して、セミファイナルへの進出チームが決まった。
レギュラーシーズン7位の東レアローズ滋賀はとどろきアリーナでNECレッドロケッツ川崎(RS2位)と3戦2勝方式で対戦し、GAME1を0-3、GAME2を2-3で落としここでの敗退となった。

試合後の記者会見では主将の深澤つぐみを始め、各選手が言葉の端々に悔しさをにじませたが、収穫も多いシーズンだった。

東レ滋賀は近年多くの主力選手が離脱している。日本代表の石川真佑、関菜々巳は海外移籍、黒後愛も環境を変えてリスタートを切るべく埼玉上尾に活動の場所を移した。これからを期待された中堅選手達もその流れに前後してチームを去った。
昨季の順位は8位。常勝を謳われた東レ滋賀にとっては各種のハードルが上がったSVリーグ開幕を前に、戦力面でも、興行収入面でも大ピンチだったに違いない。

「誰にでもわかる人気選手がいない」
ということはライト層に対する訴求の面で厳しさを強いられる。
しかし、終わってみれば東レ滋賀の1試合平均の入場者数はリーグ上位をキープした。他のチームが軒並み昨対比で数字を落とす中、滋賀は前年より1試合当たりの動員数を増やすことに成功した。

「選手、スタッフで朝早くから駅に行って、チラシを何百枚も配ったり、そういったこともやりました。地道な活動を地元でやってきたことが認知度の向上につながっています。ファンとの距離をすごく大事にしていますし、ファンとチームが一緒に歩んでいる認識がチームにもあります」(越谷章監督)

戦力の面ではどうか。
SVリーグに参戦するにあたって田代佳奈美や青柳京古など経験豊富な選手も獲得したが、下部リーグからも広く人材も求めた。
V2(Vリーグ2部)の東京サンビームズから野嶋華鈴、V3(Vリーグ3部・当時)のヴィアティン三重から山下ともが加入し、選手層に厚みをもたらした。

山下は今季で退団となるが、Vリーガーとしてまだ2年目。国内最高峰リーグでの経験はこれからの新たな飛躍にもつながるだろう。
山下ともは東レ滋賀にあってどういう存在だったのか、越谷章監督に聞いてみた。

「山下はSVリーグでプレーしたいという強い気持ちをもってトライアウトで加入してくれました。ムードメーカーで、練習でも頑張り屋さん。今シーズン彼女はめちゃめちゃ伸びたんです。試合で使ってあげられるところがなかったのは本当に申し訳ないのですが、彼女は”試合に出なくてもチームのためにすることはたくさんある”という認識を持っていてチームのためにいろいろな貢献をしてくれました。それがチームの支えになっていましたし、何よりも人間性が素晴らしかった。本当に東レに来てくれて良かったなと思ってます」

それぞれの選手に、それぞれの役割がある。越谷監督はシーズンの中で選手を練磨し、勝てるチームに育てていった。今季の序盤は下位に低迷したが、中盤からはぐっと安定感を増し、レギュラーシーズン最終節の前には5位につけた。
敗戦の中から学ぶことで、東レ滋賀は矢を束ねていった。簡単には折れない強さをアロじょは身につけ始めている。

クォーターファイナルは初戦をストレートで落とし、2戦目も2セットを先取された。そのまま終わっても何ら不思議のないとことから東レ滋賀は2矢を報いてフルセットに持ち込んだ。
戦術的にはNEC川崎の得点源になっていたロレイナ・メアリーズ・ダ・シルバに自チームの得点源でもあるシルビア・チネロ・ヌワカロールを当てていったローテーションが奏功した形だが、システム変更だけがもたらした結果とも思えない。
NEC川崎の金子隆行監督も
「外国籍選手だけじゃなく、深澤選手や、谷島里咲選手に(ムードを変えられる)嫌な決められかたをした」
と第3セットを振り返って述懐する。

「後がない、って状況になったときに”いつも以上にみんなを信じて戦うんだ”という感情が沸き起こってきました」
リベロの松岡芽生は言う。
「チームが一体化する瞬間があって、その現象は自分たちにしかわからないのものなのかもしれないですけれども、そうなったときにいつも私たちは勝ってきました。いけるぞ、という気持ちになるんです」

来季の東レ滋賀はどういうスタイルを目指していくのか。まだ今季の最終戦を終えたばかりで答えにくい質問であることは承知しながら会見の最後、越谷監督に聞いてみた。
「我々はフィジカルに強みがあると思っています。まだ粗さはあるのですが、そのフィジカルを活かして攻める熱いバレーをやっていきたいですね」

東レ滋賀の新章はスタートしたばかり。ファンとチームが共に作り上げるアローズがどんな矢を放つのか、期待をもってその行方を見守りたい。

撮影 堀江丈

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