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会見・コメント

2025-05-23 07:52 追加

埼玉上尾メディックス、引退の山岸あかねへ仲間から贈る言葉。岩崎こよみ「日本で一番優しいパスを出す選手」、佐藤優花「一緒に過ごした時間は私の青春でした」 SV女子

山岸あかね引退試合~AKANE YAMAGISHI THE LAST GAME

SV女子

バレーボールSVリーグ、埼玉上尾メディックスでプレーした山岸あかね選手の引退試合、AKANE YAMAGISHI THE LAST GAMEが5月10日、東松山市民体育館(埼玉県東松山市)にて開催された。

山岸選手は長野県出身、ポジションはリベロ。バレーの名門・裾花中から東海大付第三高(現・東海大学付属諏訪高)を経て東海大学に進学、学生時代から全国を舞台に活躍し、大学卒業後は埼玉上尾メディックスに入団した。
度々日本代表に選出され、13番目のメンバーとしてパリ五輪にも参加。
埼玉上尾メディックスでは主将も務め、スパイカーの負担を減らす広い守備範囲と、ボールだけでなく人も繋ぐプレーヤーとしてチームに貢献し、大学卒の女子プレーヤーとして初の300試合出場を達成した。

多くの人の心を繋いだ名リベロの引退試合にはアッと驚く豪華メンバーが集結した。
荒木絵里香さん(元東レ滋賀→埼玉上尾→刈谷)、古賀紗理那さん(元NEC川崎)、新鍋理沙さん(元SAGA久光)、宮下遥さん(元岡山)らVリーガーとして、あるいは代表として親交の深かった選手に加え、峯村沙紀さん(元東レ滋賀→元NEC川崎)、小平花織さん(元東レ滋賀)、山口翔子さん(元東海大)など長野県出身で学生時代から共に切磋琢磨した仲間も駆け付けた。

引退試合はゲストプレーヤー、今季の日本代表に選出されたメディックスのメンバーを中心とした「KIRA’s DREAM TEAM」(大久保茂和監督)とメディックスのの現役、OG選手を中心に構成された「MEDICS FRIENDS TEAM」(吉田敏明監督)が対戦する3セットマッチの形式で行われた。

山岸選手は第1セットをKIRA’s DREAM TEAMで、第2・第3セットをMEDICS FRIENDS TEAMでプレー。長年の武器であるレシーブに留まらず、切れ味鋭いスパイクも放ち、場内を大いに沸かせた。
試合は2-1でKIRA’s DREAM TEAMが勝利。山岸選手は第3セットの途中「しれっと」チームを移動し、最後はKIRA’s DREAM TEAMで勝利の美酒を味わった。

試合後にはセレモニーが行われ、さまざまな選手がメッセージを送った。
高校の同級生でもある小平花織さんは
「スパイクも打てる。まだ彼女は現役を続行しますので、各クラブは山岸選手にオファーを」
と盛り上げ、中学・大学時代の同級生でもある山口翔子さんは
「学生時代、一緒にタイトルを取ることができた12歳からの親友が、この舞台でこんなにたくさんの人に囲まれている姿を見ることができて感無量です」
と思いを語った。

その後、メディックスの2選手が山岸選手への手紙を読み上げる。

⚫︎佐藤優花キャプテン

「キラさんには本当に助けられてばかりでした。コートの中でいつも前向きな声をかけてくれる。サーブレシーブを避けてもカバーに必ず入ってくれている。スパイクをブロックに当ててもフォローに入ってくれている。スパイクを打つ時に空いているところを教えてくれるその言葉は、誰の声よりも一番に聞こえていました。技術的なことだけでなく、安心感もたくさんチームに与えてくれました。そのことを勝ったときも負けたときも変わらずに、常にやり続けてくれました。
私がアジア大会でチームを離れていた時は、毎日何気ないメッセージを送ってくれて、それがとても嬉しくて、励みになりました。離れていても、キラさんのために頑張りたいと思えました。
プライベートでキラさんと過ごした時間は私の青春のひとつでした。人生でキラさんに出会えたこと、一緒のコートで試合ができたこと、本当に楽しい時間でした。感謝の気持ちでいっぱいです。これからもずっと仲良くしてほしいです」

⚫︎岩崎こよみ選手

「長いバレー生活、本当にお疲れ様でした。この手紙を書いているとキラが埼玉上尾メディックスからいなくなってしまうことを実感してしまって、書き続けるのが嫌でした。でも、キラに”ありがとう”と”お疲れ様”を言えるように頑張って書きました。
今日は本当に素敵な引退試合でした。こんなにたくさんの方が集まってキラの花道を彩ってくださいました。この試合ができたのはキラの人柄があったからだと思います。
キラの凄いところはたくさんあるけれども、私が一番凄いと思うのは、キラが対戦相手からも愛されてしまうことです。相手コートにいたら絶対嫌な選手のはずなのに、試合が終わったらみんなが”キラさん”って近寄っていくんです。愛し愛されるチームを目指している私たちですが、キラはまさに”愛し愛される人”です。
もう一つ凄いところは、どんなボールでも、どんなときでも、丁寧にボールを扱うところです。キラは今、日本で一番優しいパスを出す選手です。試合の写真を見ていると、いつも全力でプレイしているキラの姿が映っています。そんなキラの思いや気持ちが届くように、自分も丁寧にトスを上げたいといつも思っていました。
キラのような選手が増えてほしいので、ぜひ引退後もバレーボールに関わってくれたら嬉しいです。指導者になってくれたらきっと素晴らしい選手を育てるに違いないと思っています。
引退後は今までできなかったこと、やりたかったことにたくさん挑戦してね。特に旦那さんとの時間を楽しんで、たくさん優しくしてあげてください。
山岸家の皆さんにも本当にお世話になりました。大好きです。応援席に皆さんがいなくなると寂しいので、近くで試合があったらぜひ来てください。今年1年、キラとバレーボールができる喜びを噛みしめながら日々を過ごすことができて幸せでした。
自分が決めたタイミングで引退することができるのは、選手にとって、とても幸せなことだと思います。キラがバレーボールを愛し、全力で向き合ってきたからこそ贈られた神様からのプレゼントですね。
これからたくさんの経験をする中で、辛いこと、悲しいこと、苦しいことがあるかもしれません。そんな時は、バレーボール人生で乗り越えたことをやりとげたことを思い出し、自分を愛し、自分を信じて乗り越えてください。
そして、私たちはずっと仲間だということ、いつでも助けに行くよと思っていることを忘れないでください。たくさん助けてくれて、本当にありがとう、約10年。キラのパスとキラの愛を受け続けてきた日本一の幸せなセッターより」

続いて古賀紗理那さんから花束贈呈

「山岸さんの優しいところが好きでした。私もすごく助けていただきました。対戦していても常にリスペクトを感じるプレーヤーでした。長い選手生活お疲れ様でした」

大学の恩師である藤井壮浩氏(東海大学)からもメッセージが届けられた。

「長年にわたり埼玉上尾メディックス一筋でご活躍されてきたその姿に心より敬意を表します。そして、日本バレーボール界の発展を支えていただき、誠にありがとうございました。
常にどんな場面でもチームを鼓舞し、そして冷静かつ的確なトスでチームを支える。その献身的な姿勢にチームメイトは何度も何度も力をもらったことでしょう。そしてそのつぶらな瞳とパッツン前髪が印象的なキャラクターはクールさと可愛らしさを併せ持ち、多くのファンを魅了してきたことと思います。個人的にはショートカットがよりキュートでベストだと感じていました(笑)新たなステージにおかれましても、山岸選手らしく素敵にご活躍されることを心よりお祈り申し上げます」

数々の温かな言葉が会場を包む中、山岸あかね選手が感謝の言葉を述べる。

「本日はお忙しい中、私のために集まっていただきありがとうございます。こういう挨拶が少し苦手なので、皆さんにはお手紙という形で書かせていただきました。
このような素晴らしい引退試合の場を作っていただき、本当に幸せです。6歳になる前からバレーボールを始め、こんなに長く続けられるとは自分でも思ってはいなかったです。ここまで続けてこられたのも家族、友人、選手の皆さん、スタッフ、一緒にプレーしたOGの皆さん、メディックスを支えてきてくれたファンの皆さん、そしてAMGグループの皆様、チームのフロントスタッフ、後援会の皆様。ここまで関わってくださった本当にたくさんの方々のおかげです。
バレー人生を振り返ると、本当にいろんなことがあったなと思っています。楽しくて始めたバレーボールでしたが、なかなか楽しむことができない時期だったり、上手くいかない時期もあり、勝てればそれでいいと思っていた時期もありました。
でも年齢を重ねるにつれて、負けた時や上手くいかなかった時でもバレーボールを楽しめているなと感じる時間が多くなったと思っています。バレーを通して人としてもたくさん成長させてもらいました。小学校から、中学、高校、大学と今まで素晴らしい指導をしてくださった方々のおかげだと思っています。本当に感謝しています。
今日、この引退試合のためにわざわざ来てくれた皆さん、また一緒にバレーができて本当に嬉しいです。皆さんと過ごした時間やバレーに対する姿勢がすごく私の刺激となっていました。それがあって、今の私があると思っています。今日は本当にありがとうございます。
側で支えてくれた家族には感謝の気持ちしかありません。どんな時でも常に一番の味方でいてくれました。心強かったです。そんな家族を今度は私が支えていけるように、これからの人生も頑張っていきたいと思っています。
皆さんとこの時間を一緒に過ごすことができて本当に私は幸せです。どんな時もたくさんの熱い応援をしてくださり、本当にありがとうございます。関わってくださったすべての方に感謝です。本当に幸せな私のバレーボール人生でした。
バレーボール人生は終わりますが、まだまだ人としても成長していけるように今後も頑張っていきます。本日は本当にありがとうございました」

撮影 堀江丈

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