2025-06-14 07:00 追加
日本バレーボール協会の評議員会、理事会提案の人事案を異例の差し戻し。「帰化問題」などの結論が出ない状態での審議を“拒否”。理事不在の異常事態も
JVAの評議員会、理事会提案の人事案を異例の差し戻し
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日本バレーボール協会(JVA)の評議員会が6月13日開かれ、役員改選に伴い理事会の「役員候補選考委員会」から提案された理事候補者の審議が見送られた。帰化した女子選手がJVAの不手際もありFoO(所属国協会)変更ができなかった「帰化問題」の責任の所在などが明らかになっていない中で、責任ある審議ができないため。JVAが「帰化問題」の全容を報告するとともに、評議員会の納得のいく説明できなければ定款に定められた6月中に新しい理事を選考できないという異常事態に陥る。
JVAは13日夜、「本日、2025年度定時評議員会が開催され、理事選任を決定する予定でおりましたが、追加情報の提供が求められたため、評議員会は閉会せず継続となりました。このため理事選任の決議が完了していないことをお知らせします」と発表。
バレー関係者によると、評議員会は2週間以内にJVAから再提案を受け、「審議」に入る。しかし、第三者委員会の設置が理事会で決定し結論が出ているにもかかわらず、公表していなかったうえ、ホームページ上の「役員会議報告」でも「第三者委員会」を設置していたことには触れず、
【●帰化関連の調査報告 業務に関する進め方における不適切な点が見受けられたため、外部の弁護士による事実確認を行った。 その報告により、改めて組織体で動く意識の強化が必要であるとの指摘があったため、今後は鋭意改善 を図っていく】
とだけ記載。「帰化問題」の詳細だけでなく、第三者委員会の存在も糊塗しようとした疑いも持たれている。帰化を進めていた選手の人権を守るという側面があったとはいえ、組織を外部からチェックする第三者委員会の設置を公表しなかったという隠ぺい体質に対するバレー関係者の目は厳しい。
また、JVA幹部しか知り得ない情報の相次ぐ漏洩などについても、評議員会を納得させる説明が出来なければ審議に入ることが難しいという見方もある。
JVAの役員改選の進め方に疑問を呈する声もある。帰化問題の全容が解明されていない段階では、現理事の責任の所在も判明しておらず、常識的に理事選任の「審議」をお願いするのには無理があるというわけだ。「帰化問題」が解決していないにもかかわらず、スケジュール通りに日程を消化しようとしたJVAの思慮のなさは、組織のガバナンスやコンプライアンスの欠如ともつながっているといわれても仕方がないだろう。
救いは、チェック機関でもある評議員会が、その機能を発揮した点だ。評議員会は、理事を選任するという大きな権限を持ち、会長を再任しないことも可能だ。審議を“拒否”し、単なる追従機関ではないことを証明した評議員会。JVAの体質を改善し健全な組織にするためにも、徹底解明を期待する声がバレー界には強い。
取材・文:北野正樹 読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。関西運動記者クラブ会友。
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