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2025-10-20 11:00 追加

「日本でプレーすることが私の夢」 ー イタリア代表主将アンナ・ダネージが運ぶ、“夢のパッケージ”

イタリア代表ダネージインタビュー

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2025年9月、世界選手権で23年ぶりの優勝を飾ったイタリア女子代表。キャプテンのアンナ・ダネージが、意外な夢を語ってくれた。

「日本のクラブでプレーするのが夢なんです」

あまりに意外な言葉に、失礼ながら思わず聞き直してしまった。イタリア人選手はここ数年で日本のリーグに来るようになったが、代表キャプテンからそのような言葉が出るとは思わなかったからだ。

今大会でベスト・ミドルブロッカー賞を受賞したダネージは、静かに、でもどこか弾むような表情で語り始めた。

アンナ・ダネージ(Anna Danesi)
(本人のInstagramより引用)

「日本はとても素敵な国です。人も、食べ物も、街も大好きです。そして、バレーボールの環境も整っている。いつか日本のバレーボールを体験してみたいです。国際大会で何度か日本を訪れましたが、あくまで大会での滞在だったので、観光はほとんどできていません。3月か4月ごろ、春の日本に行ってみたいんです。桜の季節ですよね。でも、3月や4月はイタリア国内のリーグや欧州チャンピオンズリーグがあります。もし日本のリーグでプレーしていたら日本で桜を見られるかもしれませんが、もしかしたらバレーボール選手としてのキャリアを終えた後になるかもしれません。今はちょっと分かりませんね」

バレーボール選手としてのキャリアを終えたあと、彼女が描く未来とは何だろうか。それについては、ダネージがたびたびイタリア国内メディアに語ってきた。

「小学校の先生を目指しています。背景には、学校教育やスポーツの在り方への課題意識があります。今のイタリアでは、スポーツが本来あるべき役割を果たしているとは言えません。イタリアでは、体育館をはじめとするスポーツ施設の老朽化が問題になっていたり、「スポーツは勉強の敵だ」と言う人がいたりします。幼い頃から楽しく身体を動かすことは重要ですが、現状はあまりうまくいっていないように思います」

社会課題にも目を向け、将来のビジョンを明確に描くダネージは、派手さよりも冷静さと堅実さでチームを支えるタイプの選手に見える。本人も「あまり感情を大きく表現するタイプではない」と話す一方で、「静かというわけでもない」と笑う。

「どんなときも落ち着いているキャプテンでいたいんです。でも、コートではおしゃべりなほうだと思います。タイムアウト中はすごい勢いで話していることもあります(笑)。今大会、対角のサラ・ファールがブロックについていけないシーンがあって、ついタイムアウト中に“あなたは世界一のミドルでしょ!動けるわ!”と声をかけてしまいました。すると、ちゃんと動けるようになりました(笑)」

クイックを打つアンナ・ダネージ(Anna Danesi)
Volleyball Worldより引用)

今大会の優勝直後、涙を流しながらメディアのインタビューに応じたダネージ。これまで感情を大きく表に出すことは少なかった彼女だが、その涙にはどんな思いが込められていたのだろうか。

「優勝の瞬間、ずっと一緒にやってきたチームの成長に対する誇りがこみ上げてきました。特にこの2年間、私たちは本当に精神面で大きく飛躍しました。数年前だったら、準決勝や決勝のような試合は落としていたかもしれません。世界選手権では、この2年間で学んできたすべてを出し切れたからこそ勝てたのだと思います。
決勝のトルコ戦は、イタリア国民の6割が私たちの試合を観てくれたそうです。そのすべての人に感動を届けたいと思ってプレーしています。若い世代には、特に強く伝わっていてほしいですね」

優勝から約1ヶ月後の10月8日、イタリア代表は男女揃ってセルジョ・マッタレッラ大統領と謁見した(男子も9月28日に同大会優勝)。大統領を前にスピーチを任されたダネージは、全国の子どもたちや教育関係者に向けて、スポーツの意義を語った。

「スポーツをしましょう。学校でも、自由時間でも、昼でも夜でも、必要なら夜中でも構いません。“スポーツは勉強の敵だ”という人の言葉を聞いてはいけません。スポーツは集中力を鍛え、心身を強くし、勉強においても役立つ決断力や粘り強さを育んでくれるからです。私たちのいるバレーボール界には、夢と教育のどちらかを諦めることなく、両方で成功しているチャンピオンがたくさんいます」

大統領を前にスピーチを行うアンナ・ダネージ
クイリナーレ宮殿(大統領官邸)に招待され、大統領を前にスピーチを行うダネージ(FIPAVより引用)

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