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会見・コメント

2025-11-10 12:00 追加

号泣から半年。クールなアイちゃんの2年目は一味違う。ブレス浜松・狩野亜衣「嫌われてもいい、勝つために必要ならば」 V女子

ブレス浜松・狩野亜衣インタビュー

V女子

バレーボールVリーグ、ブレス浜松のミドルブロッカー狩野亜衣選手のインタビューをお届けする。

狩野亜衣選手は2023-24シーズンに内定選手としてチームに加入、1年目となる2024-25シーズンはチームのレギュラーシーズン優勝に大きく貢献。個人でもトップスパイカー(アタック決定率1位)と最優秀新人賞を獲得した。
しかし、彼女は涙とともにその栄誉を受け取ることになる。
レギュラーシーズンを破竹の勢いで勝ち進んだブレス浜松だったが、最後の最後につまずいた。プレーオフのファイナルで信州ブリリアントアリーズに逆襲を受け、準優勝でシーズンを終えた。無敗の完全優勝すら射程圏内に捉えた完璧なシーズンだっただけに、チームにも狩野にもショックは大きかっただろう。

「相手が嫌がることをしていきたいですね」
今季のプレーに対する抱負を聴くと、狩野亜衣はそう答えた。11月2日、浜松アリーナでのGAME2を終えた記者会見場でのことだ。
「チームのスタイル、スピードバレーは変わらないのですけれども、私の役割が変わったと思っています。Aパスだけじゃなくて、パスが乱れた時にも相手が嫌がることをしていきたいなって今シーズンは思っています。クリーンな強打だけじゃなくて、なんかやってくるなって相手に思わせるようなプレーがしたい。練習から意識してやっています」

狩野亜衣はよく笑う。他の選手達にからかわれたりするせいもあるが、インタビュー中「なぜそこで?」という場面でも笑う。笑うが、その瞳の奥はどこかクールに映る。
心が冷めているのではなく、自然と俯瞰して自分自身や物事を見ているようなそんな印象がある。

「去年は困ったらレイレさん(アンドラデ ・レイレライニ、今季KUROBEアクアフェアリーズに移籍)か、カホさん(若泉佳穂、今季アランマーレ山形に移籍)にあげておけばいいところがありました。
でも、今シーズンは誰もがどこからでも打てるようにしていかなければと思いますし、私の意識ではそうありたいと思っています。
速攻だけじゃなくてスライドも増やしていく。攻撃参加をもっと意識しなければと思っています」

戦力は入れ替わったが、今季もブレス浜松は優勝の筆頭格には違いない。しかし、開幕戦では不覚を取った。
夏場から好調だった川口太一監督率いるJAぎふリオレーナにストレートで敗北。
レギュラーシーズン連覇、そして今季こそファイナルでの優勝を目指すチームにとっても狩野自身にとってもショックな結果だったに違いない。

「開幕戦に負けて、やっぱり自分がスピードバレーのキーにならなければ、なるべき選手だと自身で思いました。自分が決めなければという責任感は常に持ってプレーしています。
自分が打って1回で決められないときは戸惑うこともあるのですけれども…そうですね、でも今日はそういう部分に対しても頑張ったかな」

準優勝、2つの個人タイトル。誇るべき成果を涙で受け入れることになった昨季のファイナルを振り返りながら狩野亜衣は言う。

「本当に昨シーズンは悔しかった。今シーズンはスタッフに言われて気が付くのではなく、自分たちの中でプレーの良し悪しも判断していきたい。嫌われるのが嫌とか私はそういう気持ちはあまりないので、勝つために必要なことはしっかり言って、ファイナルで勝ち切るチーム力をつけていきたいと思っています」

冗談交じりに自分のことを「アイちゃん」と呼んだ狩野亜衣。
涙の表彰式はクールな「アイちゃん」が抑えてきた感情を爆発させた瞬間だった。

あの日の悔しさを胸に刻み、狩野亜衣が浜松のコートを疾駆する。

撮影 堀江丈

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