2025-11-15 09:50 追加
バレー愛に満ちた黒後愛(埼玉上尾)「自分たちのリズムで試合ができている」 SV女子
埼玉上尾 黒後愛インタビュー
SV女子
黒後愛が好調だ。
好調といってもバンバン点数を取っているとか、派手なバックアタックで度肝を抜いている、というわけではない。

「自分たちのリズムでバレーができていることが多かったと思います」
11月8日、姫路とのフルセットを制したGAME1の試合後に黒後愛はそう言った。それはチームのことだけでなく自身のことでもあっただろう。
目を引くような派手さはないが、今季の黒後愛からは安定感、安心を感じる。
鋭利な刃物から業物の名刀へ。
尖った部分を練磨して、力強さを身につけ、中堅選手として確かなものを手に入れている証ではないだろうか。
ここまでのアタック決定率を見てみよう。
43.2% PFU戦GAME1 スタメン
54.5% PFU戦GAME2 2枚替え
43.9% KUROBE戦GAME1 スタメン
43.8% KUROBE戦GAME2 2枚替え
25.6% 東レ滋賀戦GAME1 スタメン
37.5% 東レ滋賀戦GAME2 2枚替え
37.0% 姫路戦GAME1 スタメン
42.1% 姫路戦GAME2 2枚替え

古巣の東レ戦で少し数字を下げたが、概ね4割台。黒後のポジションはオポジットだが、アタックに専念する形ではなく、しっかりサーブレシーブに入り、ディフェンスの軸としての仕事をこなしての数字である。
トータルのアタック決定率は39.2%で11月14日時点のランキングでは総合17位だが、日本人のサイドアタッカーとしては佐藤淑乃(NEC川崎)、古川愛梨(東レ滋賀)に次ぐ3位の成績だ。
黒後愛は「日本を背負うエース」として高校からVリーグ、代表に至るまで常に一挙手一投足が注目され続けてきた。
しかし、その過度な視線からいい意味で解放され、中堅選手となった黒後愛にはいぶし銀の仕事人の風情すら感じる。
大久保監督は黒後愛の現在について次のように話す。
「今日はセットごとにスピードが乗るようになってきました。前方向への助走スピードとジャンプのスピード。このあたりがリーグ開幕してから徐々に上向いています。
彼女が点数を取っている理由だと思っています。ボールコントロールの巧みさというのは本当に素晴らしい。スピードが維持できれば、好調も維持できるでしょう。
技術的なことよりも、体力面で走り込みをしたり、上半身のトレーニングしたり、そういったことを継続してやっていってほしいと思っています」

この日の黒後愛は第2セットで10本連続でサーブを打った。ほぼ2桁のサーブブレイクだ。
「いい流れが来ている時には簡単に相手に点数をプレゼントしない、相手の苦しんでいる選手、相手の表情を見て打っていこうという話がチームからありました。ですので、ここを攻めたら相手は苦しいだろうなとかそういうことを考えながら一本を丁寧に打っていました」
黒後愛は自分の言葉に棘がないか確かめながら微笑した。
「ちょっと嫌なやつかもしれないですけれども」
そう言って笑った黒後の表情は静かな自信に満ちていた。

埼玉上尾のホームゲームは黒後の笑顔が印象深い。
試合前のアップからすでにバレーボールというスポーツの端から端までを楽しんでいる黒後の姿を見ることができる。
気心の知れた同世代が多いということに加え、信頼できる高校の先輩、後輩がいることも影響しているのかもしれない。
溢れんばかりのバレー愛を抱えた黒後愛。より深く、より強く躍動するであろう今後の活躍が楽しみだ。
撮影 堀江丈
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