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ゲームレポート

2026-02-13 09:24 追加

”最強”大阪MV相手にストーリを描いた群馬グリーンウイングス・山下遥香「怯む気持ちはなかった」 SV女子

SV女子

「昨日は何もいいところを出せずに終わってしまった。しかし、その次の日に戦う気持ちを失わず、強敵に向かっていけたことは今後を見据えても良かったと思います」

勝利の高揚感もあっただろうが、坂本監督は感情を抑えて言う。

「ホームで大阪マーヴェラスというチャンピオンチーム、今季の皇后杯も取った一番強いチームにチャレンジできたことが良かったです」

果たして、大阪MVは意表を突かれてしまったのか。
酒井監督曰く、決して「予想外」ではなかったそうだ。

「確かに大胆な布陣ですが、頭にはありました。びっくりして思考停止したわけではない。相手がより上手く機能したということです」

前日からメンバーを変えることは考えなかったのか?
その問いに対しては次のように回答してくれた。

「昨日の内容で、選手を変える理由はなかったということです」

大阪MVは、最後の最後を見た戦いを続けている。この1戦が全てではなく、シーズンで頂点を極めるための錬磨がレギュラーシーズンなのである。
「最後にどうなのか」
ということを酒井監督は就任以来ずっと言い続けている。その言葉を着実に実行したかのように大阪MVはSVリーグ初年度に見事王者となった。

昨季の大阪MVは開幕から連勝を続けていた。就任初年度の酒井「新」監督にはその感想が何度も求められたが、その度に「今ではなく最後」と話していた。
GAME2は群馬の鮮烈な勝利であったが、見方を変えれば大阪MVが群馬の秘策をこの時期に引っ張り出したともいえる。

話を戻そう。

ロジャンスキー、ディミトロヴァ、ジャン。
確かにこの3人が並んだ破壊力は凄まじい。
しかし、どんなにすごいスパイカーでもそこに的確なボールが供給されなければ意味がない。

坂本監督はGAME1の敗戦後に興味深い話をしてくれた。

「ボールを持っていない人間が得点を生み出す動きができるかどうか、これが大事なんですよ」

坂本監督は続ける。

「サッカーだったら空いたスペースをどう使うかとか、あるじゃないですか。人が動いたらそこに飛び込んでいくみたいな。
バレーボールも同じで、選手にはそういった動きを期待してるんです。
でも、今日はずっと止まってる状態なんですよ。だからやられっぱなしになる。サッカーだったら膠着状態に持ち込んで引き分けにもできるんだけれども、バレーはどちらかに点数が入り続けるから」

現役時代はセッターであった坂本将康は試合のストーリーを重視する。
以下はPFUの指揮官時代に話してくれた言葉だ。

「この場面でこの攻撃をすることで、試合の中でどう影響してくるか。
決まった、外したとワンプレーに目が行きがちなんですよ。だから、決まらなかったからこの攻撃をやめようとかするんだけれども、そうじゃなくてね。
プレーを単発で終わりにするんじゃなくて、たとえ決まらなくてもこのプレーが後々どういう意味を持つのか…そういうことをもっと考えて欲しいんだ」

GAME1の記者会見で坂本は大阪MVの視点からこの事象を説明した。

「うちがダイナミックな攻撃を決めたときは会場が大いに湧きましたが、あくまで単発の攻撃だったので、マーヴェラスには痛い1点じゃないんですよね。流れが変わる、ヤバイという感覚はなかったと思います。最後にここを押さえれば大丈夫という余裕があった」

そこからのGAME2。
劇的な勝利を収めた立役者として3人の外国籍選手に目が行きがちだが、群馬は得点を作り出す選手の動きが抜群であった。
セッターの山下遥香はもちろん、攻守を有機的に繋げた主将の高相みな実、サーブでリズムを作った新人の佐藤莉子、そして全身を投げ出して拾いまくった門田湖都。

いくら外国籍選手3名の攻撃が強力でも、試合を通して彼女たちを舞台に上げ続ける演出ができなければ百戦錬磨の大阪MVがやがて対応してくるのは明白である。

「第4セット、山下がジャンのバックアタックを使ったと思うんだけど、あれが山下劇場のエピローグだったんじゃないかな。あれで山下の勝ち、だったと思うよ」

坂本にとってセッター・山下遥香はPFU時代からの坂本の愛弟子でもある。
その山下は次のように試合の感想を語った。

 

「昨日に比べて、今日は出だしが上手く行きました。メンバーも戦い方も変わりましたが、一人ひとりが役割を果たして、自分たちの強みを出せたのが良かったです。
技術面・経験面で上回る選手が多い大阪MVに対して、2日目に勝てたのは大きなことです。これからの試合に向けての自信にもなったと思います」

山下はGAME1の試合前にリーグから昨季の優勝メンバーに送られるチャンピオンリングを贈呈された。
山下は昨季PFUから大阪マーヴェラスに移籍。
大阪MVでの出場機会は多くはなかったが、重要な戦力として力を合わせて戦い、他のメンバーと優勝の喜びを分かち合っていた。

贈呈式で少し山下の表情が固かったのが気になった。

試合前だったので緊張もしていましたし、気を引き締めているところでした。前年は私のバレーボール人生にとって大きな転機となった年、大阪MVとの試合でチャンピオンリングをいただけたのはすごく嬉しかったです」

山下は大阪MVの強さを肌で知っている。その相手とコートを挟んで対峙している山下自身にプレッシャーはなかったのだろうか?

「大阪マーヴェラスさんがいいチームなのはわかっていましたし、難しい試合を想定していましたが、強い相手だからと言ってひるむ気持ちはなかったです」

GAME1ではその強さを実感することになったが、折れず、GAME2で逆襲のタクトを振るった。

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