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コラム

2014-08-10 19:03 追加

WL2014特集 データから探る「世界が今やっているバレーボール」

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1.サーブレシーブ率とアタック決定率との関係について
FIVBではVリーグのサーブレシーブ成功率とは違い、Reception率((サーブレシーブ成功数-サーブレシーブ失点数)/サーブレシーブ総数))を採用しています。(サーブレシーブ失点数を考慮しています)FIVBの大会の分析なのでこの率を採用しても良かったのですが、Vリーグとの比較がしやすいサーブレシーブ成功率にしました。
図1_2014WL DIVISION1 サーブレシーブ成功率とアタック決定率の関係
率に加え、勝敗が色で分かるようにしました。2つの変数間での関係を表す相関係数は0.103とほぼ関係がないことを表しています。これは今まででた結果と変わりませんが、サーブレシーブ成功率が10%~20%台でもアタック決定率が50%を超えています。私が衝撃を感じたことが実をいうと「世界の今」では普通のことになっているわけです。「サーブで崩すだけ」では世界のトップクラスでは戦えなくなっているように見えました。後の別の方法で示しますが、アタック決定率が高いチームが勝利をしていることも伺えるものとなっています。

ちなみに左上にある特異点(サーブレシーブ成功率18.87%、アタック決定率64.47%)を記録しているのはイランです。イランはこの試合ポーランド(サーブレシーブ成功率40.51%、アタック決定率45.65%)に3-1で勝利しました。

次からはFIVBで記録されている各データを紹介したいと思います。各データを得セット数で分けてプロットをしました。相関係数を求めることは可能ですが、得セットには0、1、2のデータ数=3のデータ数という特徴があり、3の数が多くなる特徴があるため適さないと考え求めていません。

2.スパイク決定率
図2_スパイク決定率
表2_スパイク決定率(チーム別)
スパイク決定率についてのグラフと各チーム毎のデータです。
グラフでは得セット0~2平均値は変わりませんが、得セット3(勝利)の平均値のみが上がっているという極端な結果になりました。勝利を呼び込むためにはスパイク決定率を高くすることが必要といえそうです。

一方チーム毎ではPOOLAはほぼ横並びで各チーム6勝6敗であることを考えると分かりやすい結果となっています。一方POOLBは1勝11敗のブルガリアが極端に低く、また意外にもロシアが44%台と低くなっています。これには理由があります。前半はムセルスキー選手などの主力の出場がありませんでした。この観点で集計してみると主力選手が出場していない試合(41.70%)、主力選手が出場している試合(46.52%)となります。他のチームより少し低めというところになるでしょうか。トップチームの上位はトップチーム同士で戦うとスパイク決定率は47~48%程度といったところでしょうか。

3.サーブ
図3_サーブ得点本数
表3_サーブ得点本数(チーム別)
サーブについてのグラフと各チーム毎のデータです。
こちらは平均値を見ると得セット数に比例してなだらかに上昇している感があります。平均値をもとに近似線を描いてみました。また、1セット当たりのサーブ得点が2を超えるとほぼ勝利しているのも特徴です。3セットに換算すると6本。かなりのビックサーバーがいないと実現は難しそうです。

チーム別ではブラジルを除いては特に差はないようです。ブラジルは2試合サーブ得点が0本の試合があったのが影響している感じです。(両試合とも0-3で敗戦)トップチームの上位は1セット当たり1本強のサーブ得点力があるという結果になりました。

4.ブロック
図4_ブロック得点本数
表4_ブロック得点本数(チーム別)
ブロックについてのグラフと各チーム毎のデータです。
こちらもブロックと同じで平均値が得セット数に比例している感があります。また1セット当たりのサーブ得点が3.5本を超えるとほぼ勝利をしているようです。3セットに換算すると10本程度。いわゆるブロック祭りがないと実現できなさそうです。

チーム別ではセルビアとブルガリアが低くそれ以外のチームはほぼ横並びです。トップチームの上位は1セット当たり2.5本前後のブロック得点力があるという結果になりました。

5.サーブレシーブ成功率
図5_サーブレシーブ成功率
表5_サーブレシーブ成功率(チーム別)
サーブレシーブ成功率についてのグラフと各チーム毎のデータです。
こちらは得セット数との関係性はなさそうな結果になりました。

チーム別ではアメリカが50%を超えている一方、POOLA、Bの2位イランとロシアは30%台後半です。この大会では成績に直接結びつくことはなさそうな結果となりました。

6.ディグ
図6_ディグ本数
表6_ディグ本数(チーム別)
ディグについてのグラフと各チーム毎のデータです。

なお集計をしたディグ本数(Digs)についてのFIVBの定義は次の通りです。
・アタックに対するディグ、およびつなぎのディグの成功本数
①セッターがクイック攻撃を使用できるような良いディグを行った。
②捕れそうもない難しい強打、フェイントをファインプレーでディグした。

サーブレシーブ成功率と同様こちらも得セット数との関係性はなさそうな結果になりました。
チーム別では、POOLAがPOOLBより極端に多い結果となりました。上位、下位との関係はなさそうです。

7.セット
図7_セット本数
表7_セット本数(チーム別)
ディグについてのグラフと各チーム毎のデータです。
なお集計をしたセット本数(Running Sets)についてのFIVBの定義は次の通りです。
・ブロックがつかなかった(1枚またはノーマークとなった)セット(トス)の本数
①セッターの技量により、相手ブロックを1枚またはノーマークにした場合
②レシーブが悪く、繋ぐのが精一杯のボールを、セッターの技量によってファインプレーのセットを上げた場合
※但し①、②いずれの場合も、その後のアタックが得点とならなければStill Setの数に分類

こちらも得セット数との関係性はなさそうな結果になりました。
チーム別でも上位、下位との関係はなさそうです。

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コメント

山田太郎 [Website] 2012.04.20 13:00

視覚的な印象ですが、サーブレシーブ成功率とアタック決定率の関係は、U字型の関数に見えます。

 A. サーブレシーブ成功率が低く、アタック決定率が高い
 B. サーブレシーブ成功率が高く、アタック決定率も高い

というチームが両方存在していることを示すグラフだと思います。

個人的には、個別のチームのデータを見た場合に各チームの特徴はどうなるのだろう?という点が気になります。

例として挙げられているイランなどは、サーブレシーブ成功率が低くてもアタック決定率は高い試合も中にはあるのだと思いますが、サーブレシーブ成功率が高くならないことにはアタック決定率も高くならないようなチームもあるのでしょうか?

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