2014-11-05 17:30 追加
カーテンコール 鈴木洋美さん
シンデレラガールの今
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カーテンコール
鈴木洋美
シンデレラガールの今
1999年のワールドカップで「シンデレラガール」と呼ばれた鈴木洋美(コートネームはヒロ)。「ビューティーブロード」と名付けられたブロード攻撃を炸裂させ、大会中、MIP賞を2回受賞する活躍を見せたことは当時からの女子バレーファンなら印象に残っているのではないだろうか。当時、チーム最年少だった彼女も現在は、1児の母。元気いっぱいだった当時の面影を残しつつも、バレーボールとは別の面ですごい才能を発揮する女性に成長していた。
「作る」ことを楽しむ日々
現在は夫と今年1月に誕生した長男・瑛馬君と3人暮らし。手入れの行き届いた庭と広いベランダのある素敵な自宅は結婚してすぐに建てたのだとか。元・ミドルブロッカーだけに184cmという長身で、その身長に合うようにキッチンも設計されたという。
赤ちゃんを授かる前に専門学校で調理師免状を取得し、パンの教室に通い、教室が開ける師範の資格も取得した鈴木は、とにかく作ることが大好き。子育てが落ち着いたら、いつかはパン教室やカフェを開きたいというだけあって、その腕前はプロそのものだ。取材中は、美味しい和スイーツをご馳走になり、さらに帰りには、その日の朝に焼いたパンと手作りのお菓子までお土産にいただいて、恐縮してしまった。
筆者は99年のワールドカップ直後に鈴木にインタビューをしている。当時の記事を引っ張り出してみると、こんな記述があった。
「子供の頃から料理や裁縫、編み物といった何かを作ることが好きだったけど、今は時間がなくて、あまりやらなくなりました。料理は卵を使った丼ものやお菓子、裁縫はバッグや小物類、編み物はマフラーなど。どれも家族を含めて誰かのために作ってあげたってことはなく、全部自分が食べたり、身につけたりするだけなんですけどね」
現在の鈴木は、毎朝夫のためにお弁当を作り、家にバレーボール時代の先輩や同期など、お客さんを招いて手料理を振る舞い、お土産のパンを焼く。作ることが好きな才能は、現役引退後に大きく開花し、「自分だけのために」から「誰かのために」となり、現在もスキルアップを続けている様子だ。
「両親は地元(埼玉県熊谷市)で居酒屋を経営しているし、親戚も調理師などが多い家系なんです。だから、ごく自然にその方面への興味は昔からあった気がしますね」
夫との出会いも両親が営む居酒屋だったとか。
「旦那のお父さんがうちのお客さんで…。でも、旦那は実家を離れて東京に住んでいたので、最初は面識がなかったんですね。だけど、そのうち会う機会ができて、意気投合しちゃったんです。選手時代の私のことは何も知らなかったので、自然に接してくれたのもよかったのかも? 彼は野球をやっていたので、瑛馬にはバレーより野球をさせたいかな?(笑)」
瑛馬君は結婚後、1年半で授かった。元気いっぱいで、スクスク成長している。
高校時代はユースで金メダル
「子どもはあと2人ほしいんです」という鈴木は、自身も3人きょうだいの末っ子で育っている。
バレーボールは両親と姉がやっていた(兄は野球をしていた)ので、鈴木も小学4年生から始めた。
「中学までは市の大会でも優勝できないレベルのところでやっていました。でも、大きいからさわやか杯(当時)の合宿メンバーに選ばれて…。そこで初めて高いレベルのバレーを経験したんです。周りがみんな上手い人という環境が新鮮で、楽しかった。当時の監督の指示で初めてブロードを打ってみたのもこの時でした。それまではセンターエースでやっていたので。でも、まだ試合で使えるほどではなかったですね」
そして、高校は地元のバレー強豪校・春日部共栄高校に進学する。
「当時の思い出は、ユース代表に選ばれて、世界大会で優勝できたこと。テンさん(竹下佳江)に出会ったのもその時です。あと、宝来麻紀子とか、後にイトーヨーカドーで一緒になる熊倉由美などもいました」
大きい選手にしてはレシーブが得意で、「好きなプレーは?」ときかれると、「サーブレシーブ」と答えていた。
「リベロ制になる前は、ミドルもサーブレシーブをしてましたからね」と笑う。
そして、高校卒業後はイトーヨーカドー(後の武富士)に入団。98年には全日本入りを果たし、世界選手権にも出場する。しかし、この大会は怪我であまり出番がなかった。鈴木の才能が開花したのは、前述のように翌年のワールドカップだった。
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