2015-01-14 20:00 追加
つくばユナイテッドSun GAIAの一番長い日
V男子
試合終了後
試合が終了して、まずヒーローインタビューに呼ばれたのが、セッターの浜崎だった。つくば入団前、大分三好に4シーズン在籍していた選手である。試合終了直後、オンテレら大分三好の選手と固く握手をして、その後のインタビュー。
インタビュアーは単刀直入に質問をした。「このことを、まず誰に伝えたいですか?」浜崎は躊躇なく「都澤先生に伝えたいです」と答えた。ヒーローインタビューに呼ばれた選手は公式球にサインし、それを客席に投げ入れるというのが通例であったが、このボールについては、「都澤先生の棺に」納められることになった。
引き続きインタビューに呼ばれたのが五十嵐。質問を受けて何度もことばを選ぶようにして、噛みしめるようにしての応対が印象に残った。勝利に繋がったことへの安堵感が、表情に滲み出ていた。奇しくも、かつて大分三好に在籍していたふたりの選手が、ヒーローインタビューに登場したことになる。
ヒーローインタビューが終了した後、つくばの選手たちは応援団の前に並んだ。拡声器を持った選手が口上を述べ、そこからコールが始まる。
恐らくこの日の勝利について、大きな鍵を握ったであろう、浜田がまず口火を切った。ここでしか切り抜けられない、というツボを浜田はおそらくいくつか持っていて、試合中、何度となくチームのピンチを救った。浜田がアタッカーとして持ち味を発揮出来る状態にあるよう、セッターポジションで浜崎が踏ん張った。今シーズン好調な奥村は、この日もスパイクにブロックに獅子奮迅の活躍であった。エースアタッカー瀧澤も、尻上がりに調子を上げ、終盤に近づくにつれて頼もしさを増した。全員がそれぞれのパフォーマンスを存分に発揮出来たことが、つくばが勝てた大きな要因であったと思う。
つくばの、チーム全体からほとばしる凄まじいパフォーマンスを見せつけられた試合であった。筆者には、思うところとフレーズは、溢れ出て整理出来ないほどにたっぷりあったのだが、よくよく考えると、まだ1巡もしていない時期なのであった。
これが今季のベストマッチになってもどうにもならないのである。つくばは桜で連勝(しかも6ポイント満額)したのであるが、それでも順位としては、まだ暫定3位である。力の限りを出し切ったこの勝利の価値を、このあとの試合で無にしてはならないのである。
試合終了後のファンサービスは予定通りおこなわれた。1回100円のおみくじを引き、大吉が出るとオリジナルの「緑のだるま」が貰えるという、新春目玉の企画が目を引いた。
何度かおみくじを引いた結果、緑のだるまを手にして、ふと思った。だるまは「七転び八起き」を具現化する存在であるということに気がついた。恐らく、その場に居合わせているつくばの選手は、それぞれに「転んだ」経験を持ち、そこから起き上がっての今があるのだろう。そういう念をつよくした。
この勝利は「都澤先生に」捧げられたのかもしれないが、このあとのクラブの歴史は、どう考えても、このあとそこにいるひとによって繋げられていくわけだから、この勝利をきっかけに、その先は、やっぱり、自身で刻んでいくしかないのだろう。
ここからが、つくばユナイテッドSun GAIAの、新しい戦いなのだ。
文責:出口季里
写真:久坂真実、出口季里
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