全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>トピックス>世界のバレー会場から 佳境に入るイタリア「セリエA1」

トピックス

2015-02-26 19:31 追加

世界のバレー会場から 佳境に入るイタリア「セリエA1」

石川選手の現況と所属チームのモデナの行方は・・・!?

Others

O

1月25日(日)、モンツァで行われたモデナとの対戦、試合終了後の会場で石川祐希選手は大勢のイタリア人ファンに囲まれていました。この日、初のスターティングメンバーでフル出場を果たしたModena Volley留学中の中央大学1年の石川選手は、3-0での勝利を初めてコート上で味わい、地元から駆けつけたサポーターからの賞賛の声をも浴びていました。(レポートはこちらhttp://vbw.jp/9141/

イタリアのみならず他国でプレーする同世代の代表選手も注目する石川選手のセリエA挑戦、現状チームにはセリエで経験のある4人のレフトプレーヤーが在籍し、活躍の場を得るには厳しいものとなっています。主にスタメンで起用されるのは3選手。昨季、レギュラーラウンドを5位で終えたモデナがプレーオフでトレントを破ってセミファイナルに進出した際、大きな得点力となったヌガペット(フランス:WS)、コバチェビッチ(セルビア:WS)対角。これに加え、昨季ファイナルへ進出したペルージャでスタメンを守り続けていたペトリッチ(セルビア:WS)の移籍。これで今季のモデナはレフトのポジション争いがより厳しいものになっています。

スタメン出場したモンツァ戦

スタメン出場したモンツァ戦

これまで石川選手のフル出場は2試合。ヌガペット、コバチェビッチがコンディション不良で欠場となったモンツァ戦、ミラノ戦。それ以外はワンポイントでの起用に限られています。そのモンツァ戦では開始1本目のサーブで崩し、得点に繋げることで序盤からインパクトを与えた石川選手。中盤にはレセプションでもファインセーブを見せ、初のフル出場とは思えないパフォーマンスを見せました。もちろん攻撃面でも14得点、決定率62%を残す快挙を成し、会場からは彼の好プレイに大きな拍手が幾度も湧いていました。

しかしながらこのモンツァ戦に翌週のホームでのミラノ戦、どちらもストレートで勝利しましたが、両チームとも2部から昇格したばかりで勝ち点が少ないチーム。もし相手がトレントやルーベ(マチェラータ)といった強豪チーム相手だったとすれば、どのような結果になっていたのか・・・そこが気になるところです。

恐らく石川選手自身もこのわずかな期間限定留学だけでは満足できないと考えているのでしょう。実際にお話しを伺ったところ、機会があれば再度このセリエに挑戦したいとのこと。これは是非とも再挑戦していただき、イタリアでのさらなるニッポンバレーアピールをと期待をしたいところです。

 

そんなセリエA1はいよいよ佳境に入り、プレイオフへと進出するチームが見えてきています(2月25日現在)。

トレントvsペルージャ

トレントvsペルージャ

トップを走るのはカジースキ(ブルガリア:WS)やジガドヴォ(ポーランド:S)、ネメック(スロヴァキア:O)の移籍でかつての強さを取り戻したトレント、それを追うのが石川選手のモデナ。この得点差は1点と僅かであり、残されている直接対決が決め手となる模様。コッパイタリア同様実質の決勝戦ともなり得そうなこの戦い、残すレギュラーラウンド一番の見所ではないでしょうか。

予想以上の成績を上げ4位につけているのがヴェローナ。ホームではラティ-ナに敗北した以外は全て勝利を挙げています。強豪をも打ち負かす力を持つ今季のヴェローナ、ここまでサービスエース本数首位をマークしているガスパリーニ(スロベニア:O)をはじめ、1季目のサンダー(USA:WS)の攻撃、ジンゲル(オーストラリア:MB)にアンザニ(イタリア:MB) のブロック等、攻撃と守備とのバランスの取れたチームは大逆転を起しうる可能性もありそうです。

ピアツェンツァ

ピアツェンツァ

一方で昨シーズンのコッパイタリア優勝ピアツェンツァは、ベルミリオ(イタリア:S)やルルー(フランス:O)といった有力選手がリーグ序盤で抜け、思うような成績が上げられず低迷していました。しかしその穴を埋めるべく12月から移籍してきたオポジットのポエイ(キューバ:O)は小さいながらに得点源として活躍。オスタペンコ(ロシア:MB)にダ・シウバ・マリオ(ブラジル:L)、ズラタノフ(イタリア:WS)とベテランの力で再構築を急ぐチーム、終盤までに間に合わせることができるのかが勝敗の鍵を握っています。

昨シーズンのファイナル進出チーム、ルーベ(マチェラータ)とペルージャは、それぞれ3位、5位と苦戦中。ペルージャはアタナシエビッチ(セルビア:O)の攻撃に依存し、レフトの安定性に欠けています。その中でフロム(ドイツ:WS)のサーブは当たると大きく得点に貢献。現にチャンピオンズリーグ(CL)Tours(フランス)戦では3セットで5本のエースを目の当たりにしました。CLでのサービスエース本数ランキング1位を記録しているフロム、スパイクでも活躍の場を徐々に広げさらなる期待が持てそうです。

ルーベの新体育館

ルーベの新体育館

一方ザイツェフ(イタリア:O)を失って決定力に欠けたルーベは長きにわたってプレイしてきたマチェラータの体育館を離れ、この度1月28日にチビタノーヴァに新体育館Pala Civitanova(パラチビタノーヴァ)をオープンさせました。オープニングマッチはCLレギュラーラウンド最終戦、フェネルバフチェ(トルコ)との対戦。フェネルバフチェにはこのルーベでプレイ経験のあるミリュコビッチ(セルビア:O)が在籍し、多くの地元ファンは彼との再会を楽しみに、チケットは事前に完売という大盛況ぶり。残念ながら怪我のためプレイは見られませんでしたが、新しい体育館での初戦は赤と白のルーベカラーの海となり、初勝利を後押ししました。

 

新体育館オープンのルーベや昨季好成績で運営に変化をもたらしたペルージャ、またアジアのスポンサーを獲得したモデナやモンツァ、資金繰りに悩むイタリアバレーでしたが一部ではこのような発展も見られています。もちろんパフォーマンスの内容が伴ってこその発展であり、チーム力が高まるリーグ後半はその内容の高さ、盛り上がりが期待されます。モデナやトレントが予想通りファイナルと進むのか、はたまた強豪に強いヴェローナやモルフェッタ、総得点が最も多いラティーナなどが食い込んでくるのか。残すレギュラーラウンド6試合からのプレイオフは、先が見えてきているようでまだぼんやりとしたもの・・・もしかすると予想外の面白いドラマが待っているかもしれません。

 

文責:宮﨑治美

長崎県生まれ。2007年ワールドカップをきっかけにバレー観戦を始め、2009年頃から徐々に海外へも観戦に行くように。競技経験はないながらも、コートの中で繰り広げられるドラマ、選手の人間性に魅了され観戦し続けている。

 

第1回 ロシアリーグ
http://vbw.jp/5161/

第2回 イタリアセリエA1
http://vbw.jp/5267/

第3回 韓国Vリーグ「オールスターゲーム」(2013)
http://vbw.jp/5414/

第4回 ヨーロッパ選手権(2013)
http://vbw.jp/5760/

第5回 ドイツリーグ
http://vbw.jp/5923/

第6回 ポーランドリーグ
http://vbw.jp/6613/

特別編 男子世界選手権 第1次ラウンドを終えて
http://vbw.jp/7825/

特別編 男子世界選手権 第2次ラウンドの概要
http://vbw.jp/7911/

特別編 男子世界選手権閉幕
http://vbw.jp/8087/

第7回 2014/15セリエ A1選手動向
http://vbw.jp/8261/

 

>> トピックスのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック