2017-01-05 19:55 追加
「攻撃型でありつつも、拾ってつなげるオポジットに」柳田光綺(NEC)インタビュー
柳田光綺選手インタビュー
SV女子
今後の自信につながったベストオポジット賞
――Vリーグもレギュラーラウンドを折り返しましたが、開幕前にあったアジアクラブ選手権、優勝でしたね。ベストオポジット賞も獲得されましたが、どんな思いで賞を受けられましたか?
柳田:ありがとうございます。オポジットというポジションは、海外では特にそうですけど、身長の高い選手が務めるイメージがありますが、私は昨年からセッター対角に入り、身長がないからこそできるプレーを持ち味にやってきているので、それが今回の大会で出せたのはよかったなと思います。そして、賞をとれたのが今後の自信にもなった部分でもあるし、逆にオポジットの賞をもらった分、試合の中でも課題がたくさんあったので、もっともっとリーグに向けて頑張らなければならないなと感じました。
――課題はどんなところだったのですか?
柳田:自分はレセプションに参加せずに攻撃に参加するポジションで、レセプションしている人よりもストレスなく攻撃に入れるので、攻撃面で活躍しなければならないですし、もっと本数を集めてもらって、その分周りを助けられるようにしていきたいなと思っています。それと、レセプションに入らなくても、身長がない分、レシーブは大事だと思うので、そこをもうちょっとできるようにしたいです。
――たまにレセプションしていますよね?
柳田:はい、たまに入るんですけど、常に入れるくらいレシーブも安定させていくことが今後の課題だなと思います。
――ディグの方はどうでしたか?
柳田:ディグもブロッカーとの連係でうまくいった時は拾えることも多いのですが、イレギュラーな状況ではミスを出してしまったりするので、そういう点はまだまだ足りないなと…。自分の範囲は全部責任を持って取りに行けるくらいになれるよう、練習していきたいと思っています。
――レシーブは好きですか?
柳田:好き…です…(笑) 好きなんですけど、まだまだレシーブ力を伸ばしていかなければならないと感じています。
――攻撃の方が好き?
柳田:そうですね。
――もともとオポジットはNECに入って初めて経験したのでしょうか?
柳田:はい、そうです。それまではずっとウイングスパイカーでやってきていました。
――このポジションに定着したのは、当時の外国人選手のケガがきっかけでしたよね?
柳田:はい。でも、入社の段階から(WSとOPの)両方をできるようにと山田監督から言われて練習をしてきていました。優勝した一昨年のシーズンは前半戦、ほとんど出てないんですけど、出た時は2枚替えでちょっと速い攻撃が得意なので、試合中にタイミングを敢えて少しずらしてブロッカーを揺さぶったり、リズムを変えたりとかという役割でした。その後、イエリズ選手のケガがあり、スタメンになって…というのが、このポジションが定着していった過程です。
――その後はずっとオポジット専門ですか?
柳田:はい、試合の時はずっとそうです。
――1年目は新人賞も獲得しましたよね?
柳田:そうでしたね。
セッターも経験したジュニア時代
――ジュニアではキャプテンをされていましたが、その時は銀メダルを獲得していますね。
柳田:アジアジュニアの時ですね。準決勝で古賀(紗理那)とセッター2人がケガをしてしまい、準決勝の途中から私がセッターをしました。周りに頑張ってもらって何とか準優勝できたという大会でした。そこで世界大会の切符をつかんで、去年の9月に世界大会に出て、その大会は4位でした。
――その国際経験が今回のアジアクラブ選手権にも生かされたのでは?
柳田:高校3年生から国際大会を経験し、当時から自分より大きいアタッカーしかいないので、目で慣れているというか、初めてではなかった分、変な緊張や「怖い」という恐怖心などは全くなかったですね。
――平常心で試合に臨めた感じですか?
柳田:緊張感はありましたが、いい意味での緊張だった気がします。チームで国際試合に出る機会はなかなかなかったので、そこはやはり楽しみにしていた部分でもあります。
最後の1点を決められるアタッカーに
――アジアクラブ選手権の大会を通して、印象に残っている試合はありますか?
柳田:やはり、フルセットになったタイ戦ですね。
――大野選手は4セット目くらいから自分たちのバレーができるようになったと話していましたが、同じような感覚でしたか?
柳田:私の場合は何セット目からという感覚ではなかったのですが、1セット目はやはり相手の速さに慣れていくようなセットという感じだったので…。自分たちの動きが遅くなかなか対応できず取られてしまいましたが、2セット目からは1セット目の反省を生かし流れとしては主導権を握りながら、最後は全員で取り切れたのかなと思います。
――気持ちよく勝てた試合ではなかった?
柳田:個人的には5セット目の最後の1点になるはずの1本をセッターの山口(かなめ)さんが上げてくれたんですけど、決めきれなくて、結局、最後は古賀が決めたんです。そこは自分の課題というか、私は、最後に決められるアタッカーになりたいと思っているので…。でも、この経験があって、最後の中国戦では「最後の1点、絶対私が決めてやる!」という気持ちになりました。そしたら、中国戦でも最後の1本を山口さんが上げてくれて、今度は決めることができたんです。そういう意味でタイ戦は、自分の中でも気持ちの面で「私が」という思いを強く持てた試合だったかなと思います。
――性格的には気が強い方ですか?
柳田:あんまり自分を出すタイプじゃないんですけど、負けず嫌いではあります(笑)
――マンガ『ハイキュー』とか読みますか?
柳田:読んでます。小さい選手が頑張っているのに共感し、熱くなりますね(笑)
ケガに泣いた昨シーズン
――入団2年目の昨シーズンは開幕前にケガをして大変でしたね。
柳田:開幕1週間前に両手首を同時に骨折してしまい、右手は手術する形になりました。
――日常生活もすごく大変だったのでは?
柳田:はい、同期の子やいろいろな周りの人に介護というのか、お世話をしてもらっていました。
――食事は左手で?
柳田:両手を固定していましたが、左はかろうじて動いていたので、スプーンとかは何とか持てました。でも、箸は使えなかったので、食事をスプーンで食べられる状態にしてもらって、ゆっくり食べていました。
――でも、シーズン中に回復して出られるようになりましたよね?
柳田:皇后杯が復帰戦でした。
――久々の試合は違和感ありましたか?
柳田:少し動きづらい感じで、不安定な部分も多かったのですが、試合を通して徐々に戻していった感じですね。
リーグ前半と皇后杯を振り返って
――昨年はケガで悔しい思いをした分、今季にかける思いも強いのでは? 目標は?
柳田:個人としては、出場したら自分が持っているものを全部出せるような選手になりたいんですけど、自分だけというのでは勝ちにはつながらないと思うので、自分がプレーをすることによって、周りの人を助けたりとか、どんな形でも少しでも1点に貢献できるようにしていきたいと思います。そして、同じポジションのニコロバ選手に負けないように、外国人選手とは違った自分の持ち味を出していけるようにしたいです。
――持ち味は、先ほどおっしゃっていたような速さや相手を攪乱するようなプレーなどですよね?
柳田:外国人選手は高さとパワーが絶対なので、それでは叶わないけど、ちょっとトスが崩れてもしっかりカバーして、いかに相手を崩すかを考えたプレーとか、速さやジャンプが持ち味なので、そこを最大限に生かしたり、単調な攻撃ではなく、ミドルの選手と絡んでみたりとか、攻撃の幅を出していきたいと思っています。
――リーグ前半を振り返ってみて、思うことは?
柳田:開幕直後はリリーフ的な役割で入っていたのですが、リーグ中盤で役割が変わりました。試合に出ても出なくても自分の気持ちや心構えなどを変えずにやっていくことを心掛け、それがよかった試合もあれば、まだ足りないというか、自分自身もっとできたんじゃないかとか、反省する場面も多くありました。まだまだ改善できるし、年明けに再開されるリーグでも生かせるように、もう1回、自分の足りないところとかを考えていけたらいいなと思っています。年末年始はちょうどリーグの間が空いて、振り返り、細かい修正ができる時間があるので。
――レシーブやつなぎの面はどうでしたか?
柳田:いちばんはオフェンスにどんどん絡み、チャンスがある時には攻めるという攻撃型ではあるんですけど、レシーブ力とか、つなぎの面とか丁寧さとかも得意としているというか、自分の強みだと思うので、そこをもっと伸ばし、チームに貢献できるようにしたいです。チームの中でも上手い選手がいっぱいいるので、その人たちを超えられるくらい頑張りたいと思います。
――昨年末には皇后杯がありました。惜しくも準決勝で敗れましたが、何か収穫はありましたか?
柳田:今シーズンはサマーリーグから始まり、アジアクラブ選手権と続き、リーグに入って躓いたけど、だんだん上り調子になってきています。2016年最後の大会である皇后杯で優勝を目指してやってきたけど、最後はやはり足らなかったところがあるのがわかりました。自分自身でもチームでも新たな課題とか、もっともっと頑張らないと勝てないぞという部分が見えてきたので、そこはすごく収穫になったかなと思います。
――今後の課題は?
柳田:オフェンスはブロックにかかってもリバウンドで切り返せればいいんですけど、シャットアウトされたりとか、簡単に拾われるようなスパイクを打ってしまったことも…。ディフェンスにしても、もっともっと相手が決まったと思ってもあきらめずにつなげるようにできたらいいなと思います。チームとしては、我慢しなければならない時間帯の時にあたふたしちゃったり、自分たちで攻め急ぎ、1本目焦ったまま攻撃して相手に切り返されたりという場面があったので、1本目をコントロールして、自分たちのリズムでオフェンスの持ち味を発揮したり、枚数を増やしたオフェンスを使えるように、努力していきたいというのが今の時点での課題です。
――今日はありがとうございました。
聞き手:高井みわ
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