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インタビュー

2017-02-11 16:55 追加

越川優「次のリーダーに、経験もさせてあげたい、そして自分が支える立場になろうと」  

越川選手インタビュー

SV男子

JTサンダーズのエース、越川優選手に、お話をうかがいました。前後編で、前編ではJTの主将経験やチームメイトのこと、石川祐希選手のことなどをお送りします。

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——今季、主将を自分から辞退されたそうですね。JTで主将を務めたのはよい経験でしたか?

越川:主将の方が僕的にはやりやすかったです。自分でリーダーシップをとって、自分が思う形に持って行きやすかったから。今のチームの中では、主将が合っていたと思います。

——主将を経験した中でみえてきたこと。

越川:高校の時にキャプテンをやらせてもらって、それ以降は、サントリーでもイタリアでも、コートキャプテンはあってもチームキャプテンはやっていなかったんです。2014年の代表で、高校以来のキャプテンをやらせてもらって、同時にJTのキャプテンだったので、代表とJTのキャプテンのやりかたは変えてはいました。

——どんな風にですか?

越川:代表は、選手の意識レベルがひとりひとり高いので、技術的なことであったりチームの戦術であったりだとか、挑みかたであったりだとか、その辺を上手くひとつの方向性へまとめていけばよかった。若手が多かったんですけど、清水(邦弘)、福澤(達哉)、米山(裕太)、永野(健)といった、経験豊富なメンバーがいたので、自分は一歩引いたところで見て、出るところは出て、引くところは引いて、チームをまとめていけばよかったわけです。だから、楽しかったというか、やりがいもあったし、アジア大会2位という結果も出せてよかったと思います。

そのあとJTでキャプテンをやって、いろんな選手がいました。試合に出ている選手はそれなりに意識が高いけど、出てない選手は、「試合に出たい」と思ってる人もいるし、あまりそう思ってない選手もいるから、その中でチームとしてベクトルを統一するのは、大変でした。試合に出ている選手を中心に意識を高くして、そこにみんながついてこれるような、逆に「ついていかなくちゃいけないんだよ」という方向性を見いだすようにしていました。

kosikawa4——今シーズン、深津選手がキャプテンをつとめています。次期キャプテンは指名されたのですか?

越川:指名はしてないです。僕は辞退しました。

——それはなぜだったのでしょう?

越川:キャプテンはリーダーだけど、「リーダーを支える人間」が必要だと思ったからです。

優勝した時には自分の受け皿になってくれていた人がいました。酒井(大祐:現サントリー)さんなんですけどね。酒井さんがいてくれたから、思うようなやり方でやらせてもらっていたし、結果に繋がるようにフォローしてもらえていたんです。それがとても大きかった。

酒井さんは優勝した年を最後に移籍されたんですが、去年は結構孤独で、正直しんどくて、深津(旭弘)とかも助けてくれていたんですけど、ちょっと孤独に思うことがありました。実際孤立していたと終わってみて思いますし、そういう(キャプテンが孤立している)チームは勝てないと思うんですね。自分はプロ契約だから、契約が切れたら終わりなので、JTというチームとして、自分がいる間に次のリーダーの人に対して、経験もさせてあげたい。そして今度は、「自分が支える立場の人間になっていかないといけない」と思ったんです。

——深津キャプテンについて。

越川:彼はバレーボールに対しては真面目だし、熱心だし、アツい。ただ、これまで周りにあまり興味を持ってこなかった。自分のことについてはすごく真面目で、そこはとてもいいと思います。自分の興味あるところ以外に関しては、まだまだ甘いところが正直ありますけど、その辺は勉強だと思うんですよ。リーグ最初に比べればチームもよくなってきました。

深津がやりたい方向をやらせてあげたいと、僕は思っています。今は彼のチームだと思っているので、そこに対して自分も力になってあげたいなという思いは強いです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA——対角を組むことが多い安井勇誠選手、八子大輔選手について。

越川:大輔は去年1シーズンを通して初めて戦いました。彼はこれからだと思います。学生の頃から有望視されてきた選手だけど、怪我でシーズンを通して出場することができなかった。そして、27歳で初めて1シーズンを通して戦えたから、これからが勝負だと思うんです。去年感じたしんどさや、勝った時負けた時、自分が出ている時といない時の違いだとかを、いろいろ感じたと思う。それを今後活かせるかが、大事な時期なんじゃないかなと思います。

勇誠は、移籍してからピンチサーバーとか途中出場とか、ずっとオポジットをやっていました。勇誠をサイドにしたほうがいいんじゃないかと言ったのは僕なんです。彼はすごく真面目、バカがつくくらい(笑)。それは彼のいいところでもあり、弱点でもあるんです。ただ、今まで小澤(翔)や八子の影に潜めてたけど、すごく能力が高い。彼の良さは(2016年の)黒鷲で初めて開花したと思います。優勝できたのは、まちがいなく彼の力があったからですね。

ただ、短期決戦ではなくリーグで、というのは彼にとっては初めての挑戦なわけです。リーグは長いから、1試合1試合こだわらないといけない部分もありますけど、土曜日の結果を日曜日に持ち越さないように切り替えなきゃいけない。そういうことを、今シーズンいろいろ経験してると思います。体力的にもそうですけど、頭のスタミナが、今一番彼にとっては必要なところであって、それを今ひしひしと感じていると思うんです。

実際試合も、途中で代わったり、スタートが大輔になっていたり、そういうところで悔しさもあるだろうし、自分のプレーができないという歯がゆさもたぶんあるでしょう。そこを乗り越えてみんな一人前になっていくと思います。二人とも期待してます。今年山本(将平)が入ってきたけど、即戦力だからとっているわけですが、リーグには出られない。でも、黒鷲ではまちがいなく戦力になってくれる。吉岡(光大)も含めて「自分がスタメンを獲るんだ」と思ってやらないといけないんじゃないかな。期待してるからこそ、もっとできると思いますし、もっと頑張って欲しいですね。

——今話題に上った、山本選手について。

越川:若いですね。

——どんなところが?

越川:なんでしょうね…。すごく能力はあるし、力も持っているから、間違いなく戦力になると思います。ただ、移籍してきて、(社業など)あまりにも環境が違ってきて、そこで普通にやっていたら他の選手と一緒ですよね。今の自分はバレーをする環境に恵まれているんだという思いをプレーに繋げてくれれば、今よりももっと伸びるだろうし、チームの軸になっていけるんじゃないでしょうか。

——ルブリッチ選手について。彼もまだ若い選手ですね。

越川:うん。若い。すごいけど若い(笑)。23歳であのプレーはすごいと思う。だってバレー始めてまだ7年ですよ? バスケ歴8年バレー歴7年なんですよね。トレーニングしていても、うちのトレーニングコーチの指導でやっているから、初めてやる種目も多いはずなんですけど、すぐなんでもできちゃうんです。難しいバランス系のものとか。なので、運動能力、対応能力がすごく高いなと思うし、プレー自体も23歳で経験値はまだ足りないかもしれないけど、さすがにワールドリーグの決勝に、ポーンと出て結果残すだけのことはあると思いますよ。

ただやっぱり、ミスとか状況判断とかは、まだまだ経験が少ないから仕方ないのかなと。勝っているチームでやっていれば、もっともっと余裕が出てきたりするんでしょうけど、どうしても負けが込んでいるチームでやっているから、そういう勝負所とか経験はまだ少ないのかな? と思います。チームとしては、そういうのも理解した上で、うまく使ってあげればいいのかなと思います。

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