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コラム

2013-07-22 19:01 追加

Evidence-based Volleyball事始め 第4回 アタック決定されない率と勝敗の関係

アタック決定されない率と勝敗の関係

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はじめに

バレーボールにおいて無駄なプレーというものはひとつもありません。しかし、全てのプレーが勝利するために“等しく”重要であるかといわれると、そうではありません。プレーによって、勝敗への重要度は異なります。

このような重要度の違いを理解しておくことは、チームの編成と強化において非常に重要です。前回はアタック決定されない率の基本的な特徴をまとめました。今回はアタック決定されない率と勝敗の関係を検証しておきたいと思います。

アタック決定されない率は

アタック決定されない率={相手の(総アタック数 - 得点)}÷ 相手の総アタック数

で計算されるデータになります。

 

分析に使用したデータ

分析には、Vプレミアリーグより男女ともに2006/07大会から2012/13大会のデータを用います。国際試合のデータは2009年から2012年までのワールドリーグとワールドグランプリのデータを用います。データは、1試合単位で集計しています。

 

アタック決定されない率と勝敗の関係

それでは、まずはVリーグのデータよりアタック決定されない率と勝敗の関係を示したデータを以下の表1-1に、国際試合のデータを表1-2に示します。

h1_1h1_2

これらのデータより勝率を計算してグラフ化したものを以下の図1-1と図1-2に示します。

 

z1_1z1_2

 

データ数の少ないところ、特にアタック決定されない率の低いところでは極端に勝率が高くなっていますが、そこは無視して構いません。データを見るとアタック決定されない率が高くなることで、試合に勝利する確率が高くなっているのがわかります。

したがって、アタック決定されない率は勝利するために重要な指標ということができます。こういう重要なデータが公式記録ではないというのは良いことではないでしょう。

 

ブロックとサーブとの関連

折角なので、勝敗との関連だけではなく、他のデータとの関連も検証しておきたいと思います。今回選んだのはブロックとサーブです。これらのデータを選んだのは、

ブロックやサーブが良いほど、アタック決定されない率は高くなるのか?

というデータ間の関連を調べておきたかったからです。そこで、1セットあたりのブロック得点と、サービスエース率、サーブ1打数あたりのサーブ効果数とアタック決定されない率の相関係数を求めてみました。

国際試合のデータでは、サーブの効果は判定されていないので、相手チームのレセプションのデータよりServe Reception(Excellentではないレセプション)のデータを味方チームのサーブ打数で割った値を使用しています。

分析の結果を、以下の表2に示します。

h2

データを見ると、Vリーグも国際試合もブロック得点のみ関連が認められました。これは、ブロック得点の高いチームほど、アタック決定されない率も高いことを示しています。

ブロックの良いチームほど、アタック決定されない率が高いということは、ブロックとディグとの連携を示しているようにも思えますが、慌ててはいけません。アタック決定されない率にはブロック得点も含まれているので、当然相関係数は高くなります。ブロックとディグとの関連を考えたいのであれば、アタック決定されない率からブロック得点を除いておく必要があります。

そこで、以下のような値を計算しました。

アタック決定されない率-B=[{相手の(総アタック数 - 得点)}-(味方のブロック得点)]÷ 相手の総アタック数

この値と、ブロック・サーブとの相関係数を求めたものを以下の表3に示します。

h3

残念ながら、表2で見られたブロックとの相関も認められなくなってしまいました。やはりあれはブロック得点が含まれたことによって見られた相関関係だったということです。

以上の結果から、ブロックとサーブとの間に関連は認められませんでしたが、これはあくまで全体的な傾向として認められなかったという結果です。中には関連のあるチームがあるのかもしれませんが、それにはもう少し詳しい分析が必要です。

 

 アタック決定されない率-Bと勝敗の関係

最後に、折角計算したアタック決定されない率-Bと勝敗の関係も分析しておきたいと思います。データを以下の表4-1と表4-2に示します。

h4_1h4_2

これらのデータより勝率を計算してグラフ化したものを以下の図2-1と図2-2に示します。

 

z2_1z2_2

 

ブロック得点を除いたアタック決定されない率-Bでも値が高くなることによって、試合に勝利する確率が高くなるといって良い結果だと思います。これは、アタック決定されない率-Bが高いということは、トランジションアタックの機会を増やすことにつながり、ブレイクのチャンスが増えるということにつながるからだと思います。

 まとめ

前回、前々回と今回の分析結果を用意することで、ようやくアタック決定されない率とはどのような値なのか、どのくらいの数値になるのか、勝利するために重要なデータなのかどうかということを明らかにすることができました。

これだけのデータを揃えて、ようやくアタック決定されない率のデータを見て、このデータが良いのか悪いのかを議論する準備ができました。

面倒で手間のかかることなのですが、こうした下準備をすることなく数値だけを追いかけて、誤った判断をしてしまうよりはずっと良いです。以後、アタック決定されない率のデータを見る際の参考にしてください。

次回は、アタック決定されない率の質について考えて見たいと思います。

  引用データ

  • Vリーグオフィシャルサイト
  • FIVB公式サイト

 

文責:佐藤文彦
「バレーボールのデータを分析するブログ」http://www.plus-blog.sportsnavi.com/vvvvolleyball/ の管理人
バレーボール以外にも、野球のデータ分析を行う合同会社DELTA にアナリストとして参加し、「プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート」や、「セイバーメトリクス・マガジン」に寄稿している。

 
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