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コラム

2024-06-05 12:08 追加

ネーションズリーグ男子第2週 石川祐希、高橋藍が戻る中で、あえて見たい甲斐優斗

VNL福岡大会 コラム

Others / 全日本代表 男子

フランスリーグを経験し、一回り大きくなった甲斐(写真:FIVB)

 バレーボールネーションズリーグ(以下、VNL)、日本男子、第2週は福岡県北九州市で始まった。予選ラウンドは1週間に4試合を3週行い、16カ国がそれぞれ12試合を戦い、上位8チームが決勝ラウンドへ進む。日本は第1週を3勝1敗で終え、6位で2週目に入った。

■大型のOH

 日本で2mを超える選手というとMBのイメージが強い。その中でOHとして頭角を現してきたのが、甲斐優斗選手だ。昨年までは、ワンポイントでの起用が多かったが、第1週リオデジャネイロ大会では、初戦アルゼンチン戦にスタメンで登場するや物おじしない戦いぶりで西田有志選手に次ぐ17本と存在感を示した。他国の監督、選手たちにも、「また新しい選手が出てきた」と印象付けた。大接戦となったキューバ戦では、甲斐選手は途中出場だったが、ファイナルセットでキューバに打ち込まれれば打ち返す、マッチポイントを握られても強気のサーブで押していく。懸命にワンハンドでレシーブをつなぎ、最後は西田選手が決めて、大逆転勝利となった。

 甲斐選手を見て思い出したのは、元ブラジル代表でパナソニックにも所属したダンテ・アマラルだ。2000年のシドニー五輪予選でメンバー入りしたものの、出番もなかったのだが、その直後のワールドリーグ(VNLの前身)でめきめきと力をつけ、スパイク部門で2位と大活躍。シドニー五輪のメンバーにも入り、その後は長身ながら高いトスも低いスピードのあるトスも打ちこなすパスヒッターに成長し、五輪に4度出場し、金1銀2を獲得した選手だ。

しつこいブロックに臆せず立ち向かう甲斐(写真:FIVB)

 目覚ましい活躍があれば、対戦相手はデータも揃える、当然マークもきつくなる。第1週の最終イタリア戦では、サーブで狙われ、しつこいブロックが付く「甲斐封じ」も早速、出た。こうした厳しさも乗り越えて、まだまだ成長していって欲しい選手だ。昨年末から4カ月弱フランスのクラブチームへ所属した。本人に聞いてみると、「バレーボールに集中でき、周りのアグレッシブな選手にもまれて、学ぶことが多かった」とのことだが、短期間といえ、さぞ苦労もあったことかと思いきや、「特に苦労はありませんでした。(宮浦)健人さんに頼りっぱなしでしたけれど……。」ということだ。とても礼儀正しい、のんびりとした印象を受けたのだが、、試合で経験したことをどんどん吸収していく力と、普通の人なら困難や苦労に感じるところも気にしない、いい意味での鈍感力のようなものをバランスよく備えているようだ。

 だから、第1週で経験したことを次にどうつなげていくか、相手のマークをいかにかわしていくか、石川祐希選手、高橋藍選手が戻ったOH陣の中で、自分をどうアピールしていくのかもっと見てみたい。五輪に向けては、若さや勢いだけでは通用しない、もっとシニアのトップチームとの対戦経験が不可欠だ。まだまだ強豪との対戦が続く中で、どう甲斐選手を起用していくのか、点差が出たところの投入よりも、あえてスタートから出して、どうゲームの組み立てに貢献していくのか見たいところだ。ブラン監督の采配はどうなるか……。

 日本とは対戦がないが、ブラジル版甲斐選手とも言える、OHルーカス・ベーグマン(ポルトガル語読み。英語ではバーグマン)にも注目したい。姉は女子代表のOHジュリアだ。彼は昨年の五輪予選にベテラン、レアルがリハビリの遅れで欠場したため、急遽、繰り上げでメンバー入りした。わずかな出番のみで終わってしまったのだが、その後の国内のスーパーリーグで急成長し、堂々と福岡大会に名を連ねた。204cmから繰り出すサーブ、スパイクがどこまで通用するのか。彼もこのVNLでもっと経験を積み、パリ五輪のメンバーを目指す。ブラジルチームは、セッター、ブルーノがふくらはぎのケガで福岡大会はプレーしないと発表され、急遽、代わりのセッターが日本へ向かった。軽傷とのことだが、五輪前に大事をとることになり、日本でファンも多いので残念だ。

サーブを打つブラジルのルーカス・ベーグマン。レセプションの向上、そこからスパイクへのスピードが求められる(写真:FIVB)

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