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ゲームレポート

2017-02-22 08:00 追加

石川祐希先発、活躍するも敗れる「自分はラティーナが好き。今は全て調和している」

ラティーナvsペルージャゲームレポート

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ザイツェフのスパイクをブロックしようとする石川選手

ザイツェフのスパイクをブロックしようとする石川選手

Latina vs Perugia(1-3)

2月19日日曜日、セリエA1後半第11節。
2500人の観客が詰め掛けたラティーナのホーム体育館は、試合開始前、公式練習の時点ですでに熱気がピークに達する勢い。楽器を手に青いTシャツで揃えた地元サポートに加え日本から駆けつけたファンの姿も見られ、ボール練習では人気選手がスパイクを打つ度に黄色い声援が響き渡っていました。

この日の対戦相手は、3シーズンぶりに母国でプレーするザイツェフ(ITA:今季はウィングスパイカーとして主に出場)を筆頭に、各国の有名選手が揃ったペルージャ。デセッコ(ARG:セッター)、ラッセル(USA:ウィングスパイカー)、アタナシエビッチ(SRB:オポジット)、ビラレッリ(ITA:ミドルブロッカー)、ポドラスチャニン(SRB:ミドルブロッカー)と、国際大会の個人表彰式に登場しそうな顔ぶれが揃い、チケットは事前に完売する人気ぶり。
ラティーナにも、フェイ(ITA:オポジット)、ソッティーレ(ITA:セッター)、マルオッティ(ITA:ウィングスパイカー)と新旧イタリア代表スターが揃い注目度大。ここに12月半ばより石川祐希選手(ウィングスパイカー)が合流し、リーグ佳境に向かいラティーナを盛り上げています。
3ポイント獲得に貪欲な全く手抜きのないペルージャ、それに対しラティーナは、スターティングメンバーとしてこの日、石川選手を起用しました。

イタリア元代表フェイ(3番)と元イタリア代表マルオッティ(15番)とコートに立つ石川選手

イタリア元代表フェイ(3番)と元イタリア代表マルオッティ(15番)とコートに立つ石川選手

この試合の前に行われた記者会見で、石川選手はイタリア語で、「このチームのすべてが気に入ってます。そしてこの町も住みやすいし。ペルージアはとても強いが我々はやらなければならないしり遂げることができると信じている。私にとって今シーズンは12月に始まった。だから自分にとってなじむのが難しかった。でも今はすべてうまくいっており、とりわけ監督やチームメイトとの関係は最高に波長が合っています。カルボナーラにはまっています。でもここでの私の経験のうちもっとも重要なものを上げるとすればそれはチームです。ラティーナはとても居心地がよいし私は自分の選択(した結果)をとても幸せに感じています」とコメントしました。

ザイツェフのサーブから始まった第1セット、それをパーフェクトなレセプションで返し、安定感を見せた石川選手。1ヶ月前、リベロでのデビューで見せた通り、守備で貢献していきます。
対してペルージャは、サーブでの狙いを石川選手からマルオッティに変更。守備の弱点を突かれたマルオッティは、サーブで崩されつつも耐え、ソッティーレの2段トスをアタッカー陣が打ち分けながらしのいでいきます。しかし、ペルージャの多彩な攻撃に及ばず第1、2セットを奪われると、チームの流れを変えるために第3セットはスタメンを若干変更。石川選手選手の替わりに入ったペンチェフ(BUL:ウィングスパイカー)とクインタナ(CUB:ミドルブロッカー)で、シーソーゲームからリードまで持っていくことに成功するも、ペルージャのラッセル、アタナシエビッチといった強烈サーバーがサーブを打つためにコートエンドに下がる際には、石川選手を再投入。ここに守備力を買われていることが伺えました。

一方、攻撃は身長のハンデもあり、本数は石川選手に多くは上がりません。攻撃の中心はマルオッティ。2シーズン前にはペルージャに在籍していたこともある彼が、そこで出し切れなかった攻撃力を発揮。フェイも代表全盛期に比べればミスはあるものの、スパイクだけでなくサーブでも貢献。その中でチームの初得点となったのは石川選手のスパイクでした。

ポドラスチャニンのブロックを前に早いスパイクを打ち放つ石川選手

ポドラスチャニンのブロックを前に早いスパイクを打ち放つ石川選手

持ち前の滞空力を活かしたスパイクで、ブロック力に定評のあるポドラスチャニンとアタナシエビッチの2枚の壁からうまくブロックアウトを奪うことに成功。その後も2枚3枚と遥かに高いブロックに付かれながらも、コースを狙ったり打ち破ったり、ブロックアウトを取ったりと多彩な技を見せました。シャットアウトという場面は殆どみられず、第1、2セットは技術の高さを堂々とセリエA1で披露。しかしながら、試合を通して出場し続けることができなかったのは、ラティーナで自分のプレーを確立した2シーズン目のマルオッティほど、周囲からの信頼を得るまでには至らなかったからなのかもしれません。2ヶ月半という期間では監督やチームメイトとの関係を深めるには厳しく、まして言葉の壁も大きく影響してくるでしょう。それでも地元サポーターからは「Yu-ki!Yu-ki!」との声援が湧き起こり、信頼や期待を感じられました。

この試合で石川選手の攻撃を妨ぎ続けたペルージャの壁、ポドラスチャニンは、試合後にこう言っています。
「彼はこの試合においてとても良いプレーをし、私たちの戦術を変えさせたといっていい。彼は試合ごとにどんどん良くなると思う。この数年の素晴らしい日本の選手の内の1人だ。」

10年間セリエAのトップチームでプレーし、リーグ優勝とリーグMVPをも獲得してきたセリエAに精通する彼の言葉からも伸びしろが伺える石川選手。 同じくセリエA4シーズン目のアタナシエビッチも、「彼は本当にいいプレイヤーだ。私は彼のプレースタイルが好きだ。しかし彼は若い…」と言っています。 ここからプレーオフに進めるかどうかが経験値として大きく左右してくるでしょう。残された試合はあと2/22、2/26と2試合のみ。ここで上位8チームのプレーオフに進めるかどうかが決定します。ラティーナは現在10位。8位のラベンナと3ポイント差。石川選手にとって勝負の1週間を迎えています。

文責:宮﨑治美

写真:宮崎治美、セリエA提供

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