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バレーボールマガジン>インタビュー>越川優「インドアでも代表に入れるレベルにいるからこそ、ビーチに転向して五輪を狙えると僕は思っている」

インタビュー

2017-04-15 10:00 追加

越川優「インドアでも代表に入れるレベルにいるからこそ、ビーチに転向して五輪を狙えると僕は思っている」

SV男子

OLYMPUS DIGITAL CAMERA——ビーチ転向後のヴィジョンについてお聞かせください。

越川:東京五輪まで、実質あと3年。そういう状況の中で、出来る事は限られていると思います。
まずは、日本で一番になるために、何をしなくてはいけないかというのを考えないといけないですよね。それと同時に、世界と戦うために何をしないといけないかというのも必要になってきます。それらを、優先順位をつけてやっていかないと、絶対に間に合わない。

ロンドンと北京で朝日さん白鳥さんが出たのも、もう8年前、12年前のこと。世界においての、日本のレベルや立ち位置も変わっているだろうし、(国内においても)、誰がどのレベルにいるのか実際わからない。

東京五輪出場を決めたとき、初めて自分が世界でどのくらいの位置にいるのか見えてくる。そのうえで次(の五輪)も自分が目指しますという状態であれば、進んでいきたい。まだわかりませんね。でも、インドアに比べればビーチの選手の平均年齢は上ですから。

——カーチキライを目指しますか?

越川:カーチキライは、インドアとビーチ両方で金メダル取ってますからね。

——狙いますか?

越川:いや、僕はインドアで金メダル取ってないから(笑)。でも、実際にインドアでトップを取ってビーチに転向した人は、ビーチでもトップを取っています。何かしら共通点があるのだと思います。あとは、今まで自分がやってきた技術を、ビーチにどう移行していくか。砂の上にどれだけ慣れるか。まあ、人間なので、生活環境が変われば慣れると思っています。そこは特に心配はしていないです。

——リーグ中に転向を発表されましたよね?

越川:そうですね。自分がリーグ中に動ける範囲は限られてくるので、自分が動けない所は事務所に動いてもらうという所も考慮して、早いタイミングでの発表を決めました。裏で動いてもいずれ分かってしまいますので。

そうなった時に一番衝撃を受けるのはファンの方たちですよね。ファンの方たちの事を考えた時に、自分の口からきちんと伝えたいと思ったんです。
実際、「ビーチへ転向する」という決断以外何も決まってない状態で発表したんですよ。

——(転向を決めたのは)7ヶ月間くらい前からですか?

越川:そうですね、実質6ヶ月くらい。6月に話をもらって、それで何回か話をして最終的に決めました。

——自信はあります?

越川:まだそこまで考えられてないですね。でも、全然なかったら行かないですよね(笑)。

koshikawa5——(ビーチ転向という)後輩への道を開くということについて。

越川:そういう気持ちはあります。海外移籍したときもそうですが、「日本人でも海外に出れるんだよ」っていうのは示せたかなと思います。自分は(イタリアリーグ・セリエ)A2へ行きましたが、A2でもA1でも、トップにこだわらなくても行けるんだよっていう事も、示してきたつもりです。その後続いたかというと、必ずしもそうではないですけど。

——でも今になって、海外行きは必要とされてきましたね。

越川:そうそう。いまJVAが(石川)祐希の事を取り上げているじゃないですか。そういうのが自分の時はなかったから。前進していっているなというのは感じますね。自分が言ってきた事、やってきた事もちょっとはプラスになっているのかなと思います。

インドアからビーチに転向して、自分が五輪に出られれば、(後輩たちが)五輪を目指して続くきっかけになるかも知れません。

五輪というのは自分の中ですごいウエイトを占めているんですよ。そうなったのは、北京五輪に出たからだと思うんですよね。北京に出ていなかったら、そこまで五輪にこだわらなかっただろうと思います。出たからこそ、もう一回こだわりたいという気持ちを持ち続けてきました。
当時、植田さんが「五輪に行ったら人生変わる」ってずっと言っていたんです。実際に、出場権が決まってから五輪までの2ヶ月くらいは、すごく人生変わりました。

ただ、北京で全敗して、メダルがとれなくて帰ってきたら、その後半年や1年くらいはメダリストしか扱ってもらえない。五輪に対する厳しさも感じましたね。今、年月が経っていろいろ考えてみて、五輪という物が自分の中で大きなウエイトを占めていることに改めて気がつきました。もし、あの時(北京五輪に)出られなかったら、こういう人生の選択をしてないかなと思います。

——そんなに違うものですか?

越川:あれは、本当に出ないとわからないと思います。出耒田(敬)と(石川)祐希がリオ五輪を見に行きましたよね。実際に会場で見て、「すごいな、いいな、こういう所でやりたいな」と思う事はプラスだと思いますが、実際に出たら、またそれとは違う感覚が彼らにも芽生えると思います。だから、彼らが東京五輪に出ることで、彼ら自身にとってすごくプラスになると思う。次につながっていくと思いますね。

——ビーチでは、国内の試合に出るんですか?

越川:どうですかね? ペアがまだ決まってないし、実際今年ペアが組めるかどうかもわからない。固定して組める人は、もう(ペアが)ほとんど決まっていますしね。

——焦りはないですか? (黒鷲旗まで出場することで)スタートが少し遅くなりますが。

越川:焦りはないけど不安はありますよね。焦っても仕方ない。ただ実際どういう段階ではじめて行くかというのも決まってないですし、ペアも含めて(今年は)途中参戦になるでしょうから、そういう所は不安です。

それ以外は、不安はありません。今は、(サンダーズでの)シーズン残りの試合に集中しています。

「五輪に出たことで、その後の考え方が変わった」という越川選手。インドアから砂浜へ舞台を移しても、彼らしいプロ意識で困難に打ち勝って目的を果たして欲しい。

聞き手:中西美雁
編集補助:横幕祐美
写真:JTサンダーズ提供

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