2017-09-12 08:00 追加
オールドルーキー山本将平 ジェットコースターの様な1年経て初代表へ
全日本代表 男子
――このタイミングで代表に選ばれるとなると、東京オリンピックを意識しますか?
山本:そうですね。こういう風になると意識します。ただ、変に意識して自分のプレーを変えてもよくないんで、一年一年頑張る。来年選ばれるために頑張るとかでなくて、一年一年しっかり区切って、評価してもらえればと思います。
――代表に選ばれたから気負うってことはないですか?
山本:気負ったら、自分らしいプレーもなかなかできないと思います。黒鷲旗で自分のプレーをしたんで、こうやって選んでもらった。全日本に入ったからといって、気負って自分以上のことをしようとせず、自分らしいプレーをしようかなと思っています。
――ちなみに、下のカテゴリーで代表に選ばれたことは?選抜とか?
山本:ないです。高校選抜もないです。国体くらいです。大学でもなかったんで。
――一方で、FC東京時代から山本選手に密かに注目されてたようです。某Vリーグチームのコーチは「山本はFC東京時代から凄かったよ」と言っていました。
山本:でも、FC東京からJTに移籍したからといって、自分自身の感覚ではプレースタイルを変えたつもりはなかった。JTも多分FC東京時代のプレースタイルを見たから取ってくれたと思うんで、自分も変えるつもりはなかったんで、どうやって成長したかは感覚的にはわからないです。トレーニングは別ですけど、プレーはFC東京の時と変わらないようにしようとしていたので。
――ただ、元FC東京の山岡(祐也)さんは、黒鷲旗の時に「将平はJTにいって全然違いますよね」と言っていました。
山本:結構、FC東京の元チームメイトやJTのチームメイトにも「変わったね」と言われるんですが、自分では実感がなくて、同じようにやっているつもりではあります。どう変わったか?と聞かれると、ちょっと、、、わかんないですね(笑)でも、皆が言ってくれるということは変わったのかもしれませんね。
――今回グラチャンで強豪国と当たると思います。それに対しての意気込みは?なかなか最初からスタートメンバーに入るのは難しいかもしれませんが。
山本:まずは自分らしく、外国チームだから逃げたりしない。日本人が相手の時と同じように、スパイクを打つ方法だとか、いつも通りのプレーをして、そこでうまくいかなければ、その時に考えようかなと思っています。まずは外国チームを相手にやったことがないですし、初めてのことなので、真っ向勝負して、そこから考えようかなと。
――メンバー発表の会見では、ずっと目をキョロキョロさせていましたね。
山本:こういうのは初めてなので、めちゃくちゃ緊張しました。初招集なのに「はつしゅうしゅう」って言っちゃいました(笑)
――それにしてもこのジェットコースタのような1年を振り返ってどうですか?
山本:めちゃめちゃ濃厚でした(笑)もっといろいろ変動してほしかったですね。まぁなかなか、自分でもいうのもなんですか、普通の選手がなかなかできないような経験をしているので。1年間リーグ戦に出られなかったりとか、いきなりこういう場に来られたりとか。なかなか珍しいことが起きた年ので、忘れないようにというか、バレー選手としての転機なのかなとは自分でも思います。これをしっかり良い方向に還元できるように頑張っていきたい。
――ありがとうございました。
山本が言うように、まさかこのタイミングで代表入りをするとは思わなかった。ただ、所属のJTが優勝した、今年5月の黒鷲旗での獅子奮迅での活躍を見れば、いつか山本が入るのは間違いないと思う大活躍ぶりだった。リーグ戦で下位に沈んだJTが、一転、黒鷲旗で優勝できたのは、山本が加わったからだ。越川優の有終の美が大きく注目されていまいちクローズアップされることはなかったが。
決勝こそ、やや緊張したのか、プレーが大人しかったが、準決勝、準々決勝では、サーブにレセプションにスパイクでチームを引っ張り、能力の高さを見せつけた。何より、感情を爆発させるガッツポーズは、日本の男子バレー界ではなかなかいないタイプだと感じた(ビーチバレーに転向した石島雄介選手の様なタイプ)。
特に注目すべきプレーは、競った場面でも、全力で打つジャンプサーブだろう。強烈な上にややスライダー気味だからレシーバーにはやっかいこの上ない。しかもミスが少ない。山本がサーバーの時は、サービスエースや連続ポイントに繋がっていた。また、レセプションの安定感も抜群だ。
現在の全日本のウィングスパイカーは、石川祐希と柳田がファーストチョイスと思うファンは多いかもしれない。しかし、山本がグラチャンで、黒鷲旗の様なプレーをできるのなら、その序列が変わるかもしれない。中垣内監督は「山本は黒鷲旗でのプレーを見て、サーブを評価して呼んだ」と話した。遅れてきた代表ルーキーが、グラチャンで躍動する姿を楽しみにしたい。
聞き手、写真:大塚淳史
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