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インタビュー

2019-06-14 17:00 追加

カーテンコール 河合由貴 (前編)「自分の中で3年と決めてV1昇格の目標を達成できたことが引退の理由です」

カーテンコール 河合由貴 前編

SV女子

 2018-19シーズンのV2リーグで初参戦ながら優勝を果たし、V1リーグ昇格を決めたヴィクトリーナ姫路でキャプテンを務めた河合由貴。来季はV1でプレーが見られると期待していたファンも多かったに違いない。しかし、5月末をもって、まさかの引退が発表された。最初の引退から6年のブランクを経て姫路で現役復帰し、3年間ゼロからのチームづくりに携わった河合に2度目の引退を決意した心境を聞いた。

──キャプテンとしてV2で優勝してV1昇格を決めた矢先の退団、びっくりした方も多かったのではと思います。やっぱり「引退」なのですか?

河合由貴(以下、河合):やっぱり「引退」です。

──やっぱりそうなんですね……。では改めて引退を決めた理由を教えていただけますか。

河合:引退していた6年の間にまたバレーをするというビジョンがなくて、ヴィクトリーナ姫路入りを決めたときは『またバレーするんだ』という感覚でした。26歳でしたし、自分の人生設計として、『だらだらやる年齢じゃない、やっても3年』と思った部分もあり、その3年の間にV.LEAGUEに上がれたらいいなと思っていました。
スタート時は(選手が)3人しかいなかった。そこから選手やスタッフがどんどん集まって応援してもらえるスポンサーさんも増えて、やっていく中で自分が最初に想像していたのと全然違うレベルになってきて周りからの期待もあったので、責任というか『これは絶対V1まで上げないといけない』と自分に言い聞かせて、頑張りました。けがが原因ということではなく、自分の中で3年と決めてV1昇格の目標を達成できたことが引退の理由です。

──V1に昇格したことで気持ちが揺らいだりすることはなかったですか。

河合:いや、なかったです。復帰した時、『このチームのためにやりたい。V.LEAGUEに上げたい』と思っていたので。V2リーグでも、V1に上げることが最後のやるべきことだと思って自分にもプレッシャーをかけたので優勝した時は嬉しかったですが、ほっとした方が大きかったです。

──引退のことは周りに話していたのですか?

河合:先輩や同期のキョウコ(片下恭子)は知っていました。後輩の中にも薄々気づいている選手もいたかもしれないですね。

──メンバーに伝えた時はどういう反応でしたか?

河合:「本当に辞めるんですか」「本当に辞めるんだ……」という感じでした。

──竹下(佳江)監督はどうでしたか?

河合:私の人生だからということでわかってくださいました。監督とは前から話をしていて、最初は「やっぱりもう1年考えてみない?」と言っていただいたのですが、最後は私の意志や考えを尊重してくださいました。私も頑固なところがあって、それは監督もわかっているので(笑)

── いざ、引退のその日がきて、どういう思いでした? 

河合:いろんな思いがありました。黒鷲(黒鷲旗全日本男女選抜大会)の最後の日(5月3日、姫路はグループ戦第3戦で青山学院大学に勝利もベスト8に進めず)、『こういうフロアに立つこともないんだな。本当に終わったんだな。やりきったな』という気持ちが強かったです。(ヴィクトリーナでは)ずっとコートに立っていましたが、けがで外から見る機会が初めてだったので、今までにない不思議な感じでした。自分がプレーできる感じだったら『まだやりたいな』という気持ちが出てきたかもしれませんが、若い選手が中心で出ていたので、試合を見ながら「本当に頑張ってほしい」っていう気持ちが強かった。

例年、黒鷲が終わってから引退発表というチームが多かったですが、黒鷲で引退するということを事前にチームのホームページに出してもらっていたので、JT時代から応援してくれていた JT のファンの人や他のチームの T シャツを着ているファンの人やメディアの方々が「お疲れ様でした」って言ってくださったのが嬉しくて。やりきった思いも強かったので、そんなふうに周りから言ってもらえて、復帰してよかったと思いました。

──「さわやかな最後でした」という声も聞きました。

河合:あはははは。やりきった感が出ていたんでしょうか(笑)V2リーグ優勝を決めた最終戦のJAぎふとの試合の後、控室で着替えている時にリエさん(高木理江)と2人で「解き放たれたよね」「ですよね」という話をずっとしていました(笑)
JAぎふ戦の3セット目は点差がひらいて全員が無双状態って感じだったんです。20点ぐらいになって、残りの5点の間に3年間のいろんな事が脳裏によぎってきて『あーやばい、あーやばい』と思いながら試合をしていました。あと5点で勝つことができるけど、試合が終わってしまうっていう気持ちも……。

──ああ、わかります。そして勝ってV1昇格が決まりました。その瞬間は?

河合:今までのバレー人生で、春高バレーやいろんな大会で優勝しましたが、それらとは違う重さというか一気に肩の荷が下りたというか、いろんな人が応援してくれていたので期待に応えられて本当に心からよかったと思いました。

──前日に決まりそうなところで群馬銀行に負けてしまったから、よけいに?

河合:はいそうです。フルセットで負けてしまって。地獄のようなラリーで……いやあ、本当にあれは疲れましたね。

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