2013-06-15 23:47 追加
杉山祥子インタビュー15年間の軌跡
SV女子 / 全日本代表 女子
先輩たちや監督から学んだこと
―若手の頃、目標にしていた先輩はいましたか?
同じチームでは、小林あいこさんや美田麻衣さん。美田さんとは対角を組んでいましたから、速いブロードなど、本当に勉強になりました。全日本に入ったばかりの頃は江藤直美さんにいろいろ教えてもらいましたし、中国の呉咏梅選手のプレーも見て学ぶことが多かったです。その後、国際経験豊富な吉原知子さん、多治見麻子さんとも全日本で一緒になり…。とにかく、同じポジションに偉大な先輩たちがたくさんいる環境でした。
―以前、技術面は吉川正博さん(元NEC、全日本監督)に教えてもらった部分が大きかったとおっしゃっていましたが…。
印象に残っているのは、A→Bの一人時間差をやってみようと提案されたことですね。B→Aは他にもやっている選手がいましたが、それに「挑戦しては」と言われて…。
―杉山スペシャルというのもありましたよね?
それはCクイックから入るブロードのことみたいです。自分でもどの攻撃を指しているのかはっきりわからず、ある時、ネットで検索してみました(笑)
―新人の頃はブロード攻撃が主体でしたよね?
最初は攻撃パターンが本当に少なかったですね。あとはブロックが私の役割で、1年目はそれだけに集中して、ブロック部門が2位となりました。スパイクはテンさん(竹下佳江選手)がいい場面で使ってくれて、育ててもらったと思います。
NECの思い出
―入社2年目の全勝優勝は素晴らしかったですね。
速いバレーを試した最初の年でした。当時、日立佐和(現・日立リヴァーレ)にはずっと勝てませんでしたが、その速いバレーをすることでサマーリーグでは日立さんに勝って優勝することができました。メンバーは、先ほど名前を出したテンさん、マイ(美田麻衣)さん、シン(高橋みゆき)さんらがいて、そこに全日本組のイク(成田郁久美)さん、(大貫)美奈子さん、リン(津雲博子)さんが加わり、Vリーグを戦いました。さらにパワーアップした感じで全勝優勝を成し遂げることができました。その頃はいろいろなことにチャレンジするのが楽しい時期でしたね。
―15年間の中では優勝した年もあれば、成績が不振に終わった年もありましたが、杉山さんはずっとNEC一筋で在籍し続けましたね。移籍を考えたことは一度もなかったのですか?
ないですね。でも、一度だけ海外のチームに誘われて、迷ったことはあります。第11回Vリーグで優勝して達成感があり、新しいことにも少しチャレンジしてみたい気持ちもありました。でも、その気持ちにNECが好きな気持ちが勝ったという感じです。このチームに育ててもらったという思いが強く、恩返しをしてからでなければやめられないと思いました。先輩方や、葛和(伸元)さん、吉川さんらの監督さんにお世話になり、今の自分があるのは、ここに入ったからだと…。やめたいと思ったことが全くないと言ったら、嘘になりますが。
―やめたいと思ったのはいつですか?
昨シーズン終了後ですね。入れ替え戦に勝ち、リーグ残留を決めて、最低限の責任は果たしたかな?と…。体は元気だったのですが、気持ちがどうしてもついていかず、「もう1年やる」と言えない自分がいました。でも、色んな人に相談しながら、気持ちを整理したんです。
―どんなふうにして、思い直したのですか?
もし仮にここで引退したとして、バレー人生が終わるとなったら、「十分やり切りました」と言えるかな? きっと言えないだろうなと思ったんです。
ここまでバレーを続けてきて、たくさんの人たちと関わり、応援してもらい、私が30歳を過ぎた頃から、周りは引退のことを気にしていたのもわかっていたので、シーズンが終わってからではなく、ラストゲームの前に「これが最後ですよ」とお知らせしておきたいという気持ちもありました。
そして、チームがこの状況なのに去っていいのかな?と。やめるのは簡単だけど、この状態で後輩に任せていいのかな?というのが大きかったです。いずれやめる時は来るし、タイミングとして、自分の中でこれが最後だと決めてやっていきたいと考えました。
―そして、もう1シーズン頑張り、今度はチームも大丈夫だと確信できたのですか?
今シーズンはやってきた中で、後輩たちの成長を感じました。私がいなくてもやっていけるだろうなと思えるようになったんです。伝えるべきことはしっかり伝えられたかな?と…。
―後輩たちに伝えたかったことは?
技術面も然りですが、NECというチームが大事にしている部分を引き続き大切にしてほしいと思うんです。献身的な考え方というのかな? 「この人のためにどうしてあげよう」とか、「自分がこの人のために何をしてあげられただろう」とか、そういう気持ちを大切にしてほしい。当たり前のことですが、それがこのチームの伝統だと思うので。一人ひとりがチームの一員として、みんなで作り上げてやっていくのがNECのスタイルなんですよね。
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