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バレーボールマガジン>インタビュー>越境バレーボーラー 福澤達哉「もう一度海外でやりたい。リオ五輪を逃したときから思っていました」

インタビュー

2020-02-19 17:30 追加

越境バレーボーラー 福澤達哉「もう一度海外でやりたい。リオ五輪を逃したときから思っていました」

Others / V1リーグ 男子 / 全日本代表 男子

レセプションでは狙われながら耐えるシーンも


――逆に難しいのかもしれないですね、プロになっていくよりも社員で行く方が。

そうだと思います。前回のブラジルの時と、今回のフランスは性質が違って、リオオリンピックの時は、社員に籍を置いたまま海外に行く道を作るというメリットがチームにとってもありました。「会社がバックアップして海外にも行けるという選択肢を持っているチーム」って、選手からしても魅力じゃないですか。そういう面でプラスに働く部分もありつつ、なおかつまだ年齢的にも30手前だったので、海外でやってきた経験というのをもう一度チームに持ち帰って、優勝であったり、経験をチームに還元することができたのが前回のリオの前のブラジル挑戦でした。

――チームにとって今回はメリットではないんですか?

例えば久原(翼)とか山内(晶大)とか若い選手がパナソニックを引っ張っている中で、彼らを行かせた方が、パナソニックとしては良いのではないかいう見方は当然あると思います。今後そういったパナソニックの有望な選手が挑戦する可能性は高いと思います。

今回チームが後押ししてくれたのはにとっての一個人の挑戦に加えて、パナソニックはオリンピックのオフィシャルスポンサーをしているので東京が終わって4年後パリってなったときに、「パリバレーでプレーしていたよ」という自分にとってのプラスの要因も、社員になったときにキャリアの中で作れるというのもあり、パリを選択肢に入れていただいたところもあります。そういう意味では、着地点としてすごいいい場所に連れてきていただいたなと思います。

――運命的なこの状況、これを例に動ける選手はいないんじゃないですか?

海外に行くといってもただ行けばいいって訳ではなくて、何を目標に海外に行くのかがないと、成功しないと思うんですよね。例えば困難にぶつかったときとか、自分を保てる何かっていうのも持たないと、多分簡単につぶれてしまうと思います。なぜ来ているのか明確な目標さえ自分の中できちんと持っていれば、試合に出られない期間が続いたりとか、何か困難にぶつかったときも「なぜ俺はここにいるのか、なぜバレーボールしてるのか」という原点に立ち返ることができると思います。

まだバレー界の中で「海外に行っている=すごい」っていう感覚ってあると思います。でも僕は海外の環境が必ずしもベストだとは思わないです。パナソニックだっていい練習をします。クビアクが僕に言っていたのが、「ヨーロッパの選手とか日本のリーグをバカにするけど、見てみろよ、俺は世界一になったぜ」と。「日本のリーグでプレーして、世界選手権に行って世界一になったぞ。これが結果だろ」って。だから僕は日本でやることが、マイナスだとは決して思わないです。実際ブラジルに行って、持って帰ってこられたものが何かと言われると、スキルでも経験でもなくて、プロのリーグ、結果がすべての中で戦うことの難しさと、そこに向かうための覚悟がどれだけ必要なのかという、そこが全てでした。

――そういう話題は海外でプレーする選手と話したりしますか?

石川(祐希)ともそういう話をするようになりましたし、柳田(将洋)もそうですし。(古賀)太一郎も海外の選手がよくやっているステップで、チームを上がっているじゃないですか。それが当たり前の中で、チャンスをどう掴むか。自分のパフォーマンスが高いか高くないかじゃなくて、自分がコートの中に入っていて勝ったかどうか、それで評価をされるんです、基本的には。それを分かった上で今回(パリに)は入ってきているので、その部分に対してのストレスっていうのはあまりないですし、もう一度代表の日の丸つけてやるチャンスをもらって、その時からそのスタンスは何一つ変わりません。だから僕自身、アスリートとしてきちんと戦っている期間はどれくらいかっていわれると、本当ここ4年くらい(笑)。この4年は、なぜバレーボールをしているのか常に自問自答しながら、それに対して自分の限界がどこにあるのか、それを見つけるために、どういうステップがあって何をしないといけなくて、全てその延長線上にこの挑戦もあって代表もあって…というのがあります。

――オリンピックのための行動ではなくあくまでも延長線上なんですね?

そうですね、あくまでも延長線上にあるのであって、その考え方が一番大きな違いですかね。

後半に続く

取材・文:宮崎治美

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