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インタビュー

2020-12-31 12:59 追加

カーテンコール 川村慎二さん(前パナソニック監督)「選手と仲間に恵まれた監督生活で、本当に感謝しています」前編

SV男子

「一目惚れ」だったクビアクと

――就任された1年目の最初のときに、前監督の路線を引き継ぐということをおっしゃっていましたが、ご自分の「らしさ」を出していったのは。

「(パナソニックは)ずっとブラジルの高速バレー、3Dバレーというのを確立してやってきた中で、素晴らしい外国人選手もいっぱい来ました。でも、世界を見渡すと、日本人とそんなに変わらない身長で活躍している選手は多々います。その中で目に止まったのが、クビアクなんですね。クビアクという選手に対して僕は一目惚れしました。エージェントと話す際に、クビアクに合うバレーをやりたいと思ったときに、新しいコーチ、マウリシオも獲得することを考えました。

マウリシオはブラジル出身ですがヨーロッパで活動していた。ブラジルのバレーのこともわかっているし、僕がやりたいこともわかってくれた。うちのチームを強くしたい、日本のバレーボールをもっと面白くしたい、強くしたいという気持ちが、自然と『自分らしさ』になっていったんだと思います」。

――クビアクやマウリシオコーチを入れて、どんなバレーをしたかったか。
「クビアクをとったときは、日本バレー界に影響を与えたいというのは当初はなかった。来てから、もっと真似したら面白いなと。クビアクのことはみんな知ってるので、高校生も真似する。どんどん広がっていくといいかなと思いました」。

――南部元監督は、「パンサーズを世界に通用するチームにする」と言われていましたが。
「もちろんそこは、僕も世界に通用するチームを作っていきたいと思っていました。
ただ、やっぱり国内の1クラブチームが世界と戦うには、必ず国内で優勝しないといけない。その上でアジアクラブで優勝しなければならない。そのハードルというのをしっかりクリアしていかないといけない。それは常に思っていました。
アジアクラブ(の優勝を)とりたかったなという思いはあります」。

選手時代、アジアクラブの上の世界クラブに出場した経験はある。ただそれはアジアクラブを優勝して出場権を得たのではなく、特別出場枠としてであった。川村は、アジアクラブを優勝し、世界クラブを戦いたかった。2019年4月のアジアクラブで、ほとんど寸前のところまで手が届いた。しかし、イランに偏ったジャッジのせいもあり、大逆転負けを喫してその夢は潰えた。

「悔しかったですね」

試合が終わって記者会見場に向かうときに、川村は審判への怒りでいっぱいだった筆者の顔を見て「怒ってはいけません」と繰り返した。「相手あっての我々です。審判あっての我々です」と。しかし筆者以上に川村のほうが理不尽さに胸を灼いていただろう。のちに「現役時代も含めて、一番悔しかった試合」と振り返っている。

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