2013-10-30 18:43 追加
カーテンコール 成田(大懸)郁久美さん 後編
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――別の読者からですが、「成田さんは現況の全日本についてたくさん違和感を持たれていたと思います」。
え、断定?(爆笑)
――「私たちの間では『世界標準』と言っていますが、成田さんの感覚では『当たり前でしょう』という感じだと思います。もっと相手を見て相手がいやがることをやり、もっと相手に対応しようよと考えていたのではないでしょうか。
……断定ですね(笑)。そうですね、まあ見てる人はたとえばテレビからの情報とか、雑誌からの情報とかだと思うんですけど、データバレーがすごい、眞鍋さんがすごい、ってよく言いますけど、やってるチームはもっと昔からやってるから、そのことに関しては「当たり前でしょ」って思いますね。むしろ、選手がいろんな知識を知らないことの方が問題だと思う。
データというのは全部頭の中に入れておいて損はないけど、それにとらわれて、それに左右されるようじゃダメだと思うんですよね。やっぱり相手があることだから、相手も自分たちのデータを持っているわけで。色々変えてきたりしますから。その時に対応しなくちゃならないのは選手自分自身。スパイクをヒットする瞬間、ブロックを占める瞬間を決めるのは自分なんです。ただそこにチームの決まりがあってデータがある。ありながら、むやみやたらにやるんでじゃなくて、その判断をする材料として必要なことなんですよね。だから、それが逆になっちゃうと……。
よくあるのが、データと違うことをされたら、ぱたぱた崩れちゃう。それってありがちなんですよね。Vの試合でも。そういうふうになっちゃうとデータの意味がなくなっちゃう。逆に、データを自分たちが主体となって利用する。そういうスタンスでいないと、頭でっかちになっちゃう。そういう意味で言うと、沙織とか新鍋とかは上手なんですよ。
――頭がいい……バレー頭がいいということですね?
そうですね。多分引き出しがたくさんあるんですね。
――全日本を含めて、いろんな監督、いろんなチームでプレイされてきたわけですが、印象に残った監督のことや、いろいろなチームでやることの難しさについて。
監督はみんなそれぞれ印象に残るというか、個性が強かったですね。監督をする方っていうのはみんな自分の考えとか、カリスマ性とかをすごく持っているので。
――一柳先生とか。
高校の時の先生ですね。一柳先生はとっても技術的な面で教えるのが上手い。バレーの根本的な基本的な部分ていうのは、一柳先生から教わったというくらい。
――いろんな監督の下でやるというのは、難しくはないんですか?
私は全然難しくなかったです。でもやっぱり人によっては「この監督と合わない」とか「プレイスタイルが」とかいうひとは結構まあきくんですけど。
――そうでしょうね。
私は逆にいろんな人とやることがおもしろかったですね。「あ、こういう考え方もあるんだ」とか、あと自分が、ポジションも色々ころころ変わったので、求められることが違った。ずっと同じポジションで、こういうプレイをしてください、ああいうプレイをしてくださいということではなかったので、すごく楽しかったですね。身についたことが多かった。
――久光で眞鍋さんの元でやられていましたけど、眞鍋さんてどんな監督でした?
眞鍋さんは、私が今までやった監督の中では一番わかりやすい。バレーに対して「あれをしてほしい、これをしてほしい、こういうチームになって欲しい」というのがすごくわかりやすかった。抽象的なことがあんまりないんです。それまでの監督さんて、やっぱり「気持ちだあ!」とか(笑)。そういう傾向が女子バレーの場合は強かったんですけど、眞鍋さんになってからはそういうことではなく、練習から全部データをつけられるんですね。サーブレシーブ何本返った。アタック何本決まった。ぜーんぶデータをとられるんです。こうだからはい、あなた使えませんでした。こうだからここを練習してください、っていうので、すごくわかりやすかったですね。あとは、バレーの話ができた。それはすごく新鮮でしたね。今までもそうでしたし、眞鍋さん以外の監督は、「監督が絶対」。こうしろ、ああしろ、俺はこう思う。で、終わり。
――そういうケースが多いというのはよくききます。
眞鍋さんは意見をよくきいてくれましたね。試合前のミーティングとかでも、ミーティングの前にスタッフで打ち合わせするんですが、コートキャプテンをやっていたとき、そこに呼ばれて意見を求められたりしていました。すごく楽しかったですね。新鮮でした。なかなかいないですよね。いや、いないのがおかしいとは思うんですよ。でも実際いないんですよね。もちろん決定権は監督にあるし、選手の意見ばっかりじゃダメ。そうじゃなくて、一緒に作っていく感覚っていうのは、あってもいいのかなって思います。
――今男子のゲーリー監督が、選手の意見を取り入れようとしているみたいですけど、ミーティングで一通りしゃべって「何か質問は?」と言っても、なかなか返ってこないと。
慣れてないんですね。私も言われましたけど、今までって監督に意見をいうっていうことは、「監督に反抗する選手」って言われちゃいますからね。だから難しかったですね、そういう点は。ベテランになってからは特に。勝ちたいからこう思うっていうのを伝えたいけど、それをやるとよく思われない。そういう意味では眞鍋さんはちょっと違いました。だから、今後にも期待しています!
聞き手:中西美雁
写真:Michi Ishijima 出口季里
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