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コラム

2021-03-16 20:22 追加

試合中もマスク着用を続ける東レアローズ富松崇彰の思い

SV男子

大分大会の会場ドクターである別府医療センター総合診療科・久保徳彦医師による着用に至った理由と、医師としての見解をうかがった。

「判断根拠のポイントは、①新型コロナウイルス感染症の特徴、②PCR検査の限界、③マスク着用の効果の三点になります。

まず最初のポイントである新型コロナウイルス感染症の特徴です。
このウイルスは発症約2日前の無症状のときから発症約7日後まで他人に感染させ、その感染力のピークは発症直前の無症状の時期にあることが知られています。

次のポイントであるPCR検査の限界です。
新型コロナウイルスPCR検査は感度約70%と精度が低く、10人の感染者を検査して3人は結果が陰性となります。この3人の感染しているにもかかわらずPCR検査結果が陰性となることを「偽陰性」といい、発症2日目まではこの偽陰性が多いことが知られています。陰性という結果を鵜呑みにして感染者の隔離を解除してしまい、感染を広げてしまった例が多数報告されていますので、検査結果の解釈は慎重さが求められています。

最後のポイントであるマスク着用の効果です。
マスク着用によりウイルスが含まれる飛沫の排出および吸入の抑制効果があります」とのことだった。これが前提となる。

両チーム全員がマスク着用となった経緯は以下の通り。
「FC東京の関係者が1月29日夜に発熱しました。30日朝に報告があり、直ちに新型コロナウイルスPCR検査を行いました。30日夕方に結果は陰性と判明しましたが、発熱して約10時間後のPCR検査でしたので、結果は陰性でも偽陰性の可能性がありました。もしPCR検査結果が偽陰性としたら、当該関係者が発熱する前からFC東京の選手や他のスタッフに感染させている可能性も考えられました。

そこで、FC東京に感染者がいると想定し、31日に試合を開催するにあたり濃厚接触者を出さないためにはどうしたらいいかを考えました。参考にしたのは、今年1月に開催された全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)における新型コロナウイルス感染者が出た試合での保健所の判断でした。バレーボールはネット越しに対峙する両チームの選手間が1メートル以内に近づき、声も出すためマスクの着用なしでは飛沫が飛び、この大会ではある試合で選手の感染が判明すると管轄する保健所の判断で両チームの選手たちが接触者となりました。

31日の試合を成立させるだけでなく次節の試合(2月6日~7日)も成立させるため、試合関係者から接触者を出さないため、そして何よりも選手達の健康を守るため、両チーム関係者と協議を重ね、両チームの選手たちがマスクを着用してプレーするという判断に至りました。」

つまり、FC東京の選手・関係者に感染者がいることを仮定した上で、31日の試合、そして次節の試合を成立させるために手を尽くした結果が、両チーム選手たちのマスク着用での試合となったわけだ。

東レの選手たちに、このときのことを尋ねてみたが、大勢は「息苦しい、違和感がある」といった感想だった。しかし、中には日本代表の司令塔も務めるセッターの藤井直伸のように「今の仕組みでは、濃厚接触者になってしまうと二週間の隔離を余儀なくされてしまうのが政府の方針。バレーは密に関わってくるスポーツなのですが、その政府の方針ではマスクをしてれば濃厚接触者にならないとある。

12月に感染者が出たときの二週間の隔離が本当にしんどくて。他のチームはマスクしないで練習していることを考えると、コロナを出したチームの身から考えると、この2週間は大きくて、天皇杯は出られなくてその後リーグ再開まで空いたが、今出してしまうとチームとしての活動が厳しくなってしまうと感じる。少しでも円滑にリーグを進めるためにマスクの着用は考えながらやっていきたい。マスクの大切さはすごく感じました」と話してくれた。

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