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会見・コメント

2021-04-12 07:00 追加

サントリー・大宅真樹主将「納得のいく試合展開で勝てた」、柳田将洋「こんなにたくさんの方に集まってもらえて優勝を実感」、山村宏太監督「苦しい状況で力を発揮するサンバーズを見せることができた」V1男子決勝会見

V1リーグ 男子

●山村宏太監督

今日の試合は両チームとも普段の力以上のものを発揮したと思いますし、その中でサントリーサンバーズが勝利できたことを本当に嬉しく思います。
結果的にはストレートでの勝利でしたが、本当にタフな試合でしたし、どっちに転がってもおかしくない、決勝戦にふさわしい内容だったと思います。

僕たちは今回、この試合のためだけに準備をすることができたので、そのアドバンテージを最大限に生かすことができ、そこに向けてのいい準備ができたのかなということは、今回の勝因の一つに挙げることができると思います。

若い選手が多い中で大きな舞台を経験していない選手も多く、その点においては心配していたのですが、大宅キャプテン筆頭にベテランの塩田(達也)まで、いつも通りのプレーをしてくれましたし、ムセルスキー、柳田、藤中(謙也)、鶴田(大樹)、小野(遥輝)、全ての選手が自分たちの役割を果たし、勝利に貢献してくれたと思います。

僕は監督として1年目で、まだまだ戦術、戦略面でも、選手のスキルを成長させる面でも足りない部分があると思いますが、こうしてみんなに勝たせてもらって、今は感謝の気持ちでいっぱいです。

――今日は藤中選手、塩田選手などスパイクサーブを打つ選手もフローターに変えたりしていましたが、その意図を教えてください。

山村: 今シーズンは藤中、塩田もフローターサーブを打つ機会もあったのですが、理由としてはムセルスキーが前衛にいる時にサーブミスの本数を減らしたいということです。でも、僕が指示を出したのではなく、彼ら自身が今シーズン、チームが勝つために何が必要なのかということをわかった上でフローターを打つという選択も試合の中でやってきてくれたことです。本当にこのチームは、選手一人ひとりがチームが勝つために何をしなければいけないかということを考えて行動できるチームに成長していると思います。それは僕の力不足を補うためなのか、それとも本当に勝ちたい気持ちがあるから必然的に生まれたのか、 あるいは選手間で話し合って何かあったのかというのは把握できていませんが、いろんな要素が絡み合って、そういう選択肢を取るというところまで成長してくれたのかなと思っています。

――引退する塩田選手に優勝を贈ることができたという部分で思うことは?

山村:先ほどチームで集合して、これから彼は大阪に帰路について、明日から学校の先生の仕事の方に行くということで、最後に送り出してきました。
優勝して、その日のうちにチームを離れる選手はなかなかいないと思います。 本来であればコート外で引退していく選手が多い中で、優勝の瞬間をもって引退という、 本当に彼自身、彼らしくプレーをして掴み取った栄光だと思います。それをチーム全員で祝福し、塩田の方からも「俺がいなくなったから、弱くなるなよ」という彼らしい言葉もみんなにかけてくれました。今回の塩田の活躍、そして今までの塩田のチームでの貢献に本当に感謝しています。

――レギュラーラウンドで優勝した時に、本当に勝ち方を知っているチームになったかどうかはファイナルでわかるとおっしゃっていましたが、実際に決勝戦を戦ってみて、どのように感じていますか?

山村: まずスタートがよかったことは勝ち癖なのか、勝ち方なのか、「普段通りやっていこう」という言葉を僕はよく使っていましたが、それを実践してくれたなと思います。また、3セット目序盤、パナソニックさんに走られてしまいましたが、そこでも以前なら点差を広げられてしまっていたところを、今シーズンは劣勢な場面でも誰一人下を向くことなく、強い意志を持って臨むことができていたことが今季のサンバーズの強みのひとつだったなと思っています。それを決勝でもやることができたのは、本当の強さに変わっているのだと思います。

―― ボールコントロールの部分で、以前は粗さがあったけれど、パスやつなぎの精度が高まりました。監督がそこの部分にこだわって練習をした理由を教えてください。

山村:外国人監督の場合は、自分のプレースタイルを選手に求めるのがいいところだと思いますが、僕は日本人監督として、今いる選手の強みを活かして勝つために必要なことは何なのかということをテーマとして取り組むことが大事だと思っています。

うちにはムセルスキー選手と柳田選手という攻撃力の高い選手が2枚いて、さらに機動力のあるミドルがいるので、ボールコントロールでいい状況を増やすことができたら、うちのチームは間違いなく勝てるという自信がありました。 なので、今季に関しては、今のチームに必要なことは何なのかというところで、 ボールコントロールの重要性を選手たちには伝えてきました。

ただ、やっぱりボールコントロールの練習というのは地味ですし、ずっと同じことの繰り返しになってしまうことがあるので、そういう時には何のためにやっているのかということを伝えて、確認をして、ムセルスキーに託す1本だったり、チャンスボールをセッターにしっかり、コンビが組めるようにパスしたりとか、自分たちがどうやって勝っていくのかということは追求してきたつもりです。

――監督ご自身は連覇の時代やその後、もう一度優勝した時代に現役選手でしたが、今回、14季ぶりに勝てたことの意味をどのように捉えていますか?

山村:非常に難しい質問ですね。決勝戦において、どちらが勝つかというのは、その日の簡単なひとつの出来事で変わってしまうようなところがあります。
その中で勝てたというのは、サンバーズが今季、勝つべくして勝ったのかなと。レギュラーラウンドを通して、今季は本当に強いサンバーズをお見せすることができたと思います。

どんな意味があるのかということに関しては、コロナ禍の中、たくさんの方の支えだったり、サンバーズ自体も迷惑をかけてしまったりだとか、いろいろなことがあった中で、社会に、また会社に貢献するためには勝利を届けることが一番だと思っていました。

サントリーという会社はこういう逆境の時に力を発揮するというのが社風で、そういう意味ではこういう苦しい状況で力を発揮できるサンバーズをお見せすることができたのかなと。それはサントリーの長い歴史の中から受け継がれてきている力なのだと思います。

なので、連覇をしたこと、勝てなかった時代などすべての経験が今に繋がっていると思います。今年、ここで勝ったことというのは、本当にいろいろな意味があるのでしょうけど、僕は、今までの歴史の中でサントリーという会社が培ってきた歴史の一つなのかなと思います。

――昨年12月に新型コロナウイルスの感染者が出て、2週間活動停止となりましたが、それをきっかけとする選手たちの成長はあったのでしょうか?

山村:チームとしては本当に大変でした。2週間狭いホテルで体も動かせないということが続いたので、そこからもう一度立て直すことは時間がかかりましたし、そこで大きな成長があったかといえば、マイナスの部分の方が大きいと思います。

ただ、これは僕個人の意見ですが、 僕も現役中に不慮の、あるいは突発的な怪我をしたことがありました。そういう時に「なんで怪我をしてしまったんだろう?」ではなく、与えられた試練であったり、「休め」と言われているんだと捉え、いい意味で休暇をもらったと考えるようにしていました。選手にそのような話をした記憶はありませんが、選手たちは本当に「バレーボールをしたい」という感覚に飢えていましたし、休まなければならなくなったことで、よりバレーボールに対する取り組みを一度リセットすることができたのかなと。そういう意味では貴重な時間だったのかもしれません。一人ひとりが1人部屋に入って、自分のことを見つめ直す時間だったり、バレーボールが自分にとってどんなものなのか見つめ直す時間になったのかなと。

僕個人は終盤の方に一度テレビ電話をしただけで、特に大きな指示などは出していませんが、トレーナーの方からしっかりケアできるメニューを出してもらっていましたし、そういう意味では、いい振り返りの時間になったのかなと思います。

―― 選手時代とコーチ時代と監督になってからと、それぞれの立場がある中で、選手に対しての声かけだったりとか、コーチングというところで、それぞれ違ったと思うのですが、
監督1年目で優勝にたどり着いて、ご自身のどんなところが監督として結びついたのか、特に意識されたことがあったら教えてください。

山村:現役が終わってからまだそんなに時間が経っていない中で、まだ選手時代の記憶だったり、経験というのも確かに残っていると思います。

なので、まだ僕自身が選手寄りの考え方をできるというのがひとつの武器なのかなと思うのですが、そこからコーチの経験や、イタリアでの海外研修という機会もいただき、いろいろな指導者の方だったり、監督のスタイルを見させていただきました。

その中で僕自身がどんな監督になっていこうかと考えた時に、 僕はまだまだ選手たちを成長させる確固たるルートが見えていないので、それであればどう成長させるかを一緒に考えていくスタイルで僕は監督をしていきたいと思って、今年1年取り組んできました。

簡単なものではないし、時には答えが出ずに何時間も考えたり、選手とずっと話し込んで、ああでもない、こうでもないということを繰り返しながら、模索しながら共に歩んできたかなと思います。 その中でも一番多くの時間を大宅にかけてきましたし、彼にキャプテンを任せてから、たくさんの時間をかけてきました。 彼はまだ若い3年目の選手で、キャプテンというプレッシャーの中、 まだまだ成長できる部分はあると思うのですが、 人間的にもプレーヤーとしても成長が見られたシーズンだったんじゃないかなと僕自身は思っています。

今後も僕は自分らしくやっていくことを大事に、選手に寄り添って、もしかしたら時間がかかることなのかもしれませんが、選手たちと共に僕も成長できるような道を選んでいきたい。時には茨の道を進むことになるのかもしれませんが、僕はそんな監督でいたいと思っています。


写真:黒羽白

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