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コラム

2021-05-04 15:24 追加

1カ月遅れの大一番、大分三好が残留できる鍵は?

Vリーグ男子 チャレンジマッチ コラム

SV男子 / V男子

大分三好ヴァイセアドラーのオポジット、オーストラリア代表のストックトン・カーティス。

バレーボール男子VリーグのV1( 1部リーグ)とV2(2部リーグ)の入れ替え戦、チャレンジマッチが5月4日、5日と三重県営サンアリーナで行われる。V1最下位の大分三好ヴァイセアドラーは、V2・2位のヴォレアス北海道と対峙する。大分三好の選手や関係者から新型コロナウイルスの当初開催時期から1カ月後の決戦となった。九州に本拠地を持つ唯一のチームがV1に残留できるのか正念場だ。

 

V2とはいえ実力者がそろうヴォレアス北海道

相手であるヴォレアス北海道は、昨シーズンの入れ替え戦中止から、 念願の1部リーグ昇格をかけた場への進出となる。元日本代表でエースとして活躍した越川優、V1の東レやジェイテクトで活躍した古田史郎を筆頭に、今シーズン途中からドイツリーグから戻ってきて加入したリベロの渡辺俊介、台湾代表の張育陞、異色の経歴を持つパワー抜群のアタッカー佐々木博秋がそろう。V2のチームとはいえ、大分三好にとっては侮れない。

大分三好バグナスの代わりは勝か?

アウトサイドヒッターの一角での出場が予想される大分三好ヴァイセアドラーの勝将哉。

大分三好の攻撃の大黒柱だったフィリピン代表のバグナス・ブライアンは、リーグ戦終盤に怪我を負ったこともあってか、本人のSNSを見る限り、既に帰国している模様。一方、オーストラリア代表のストックトン・カーティスは、入れ替え戦に向けて引き続きチームに残った。

どの選手が感染していたかは不明だが、少なくとも、濃厚接触者として判定された選手も自宅隔離をするなど、約半月以上、チーム練習ができなかった。

主力が感染していたのかわからないので、度外視して予想するが、大分三好の勝利の鍵は、バグナスの代わりの選手と、コート上で引っ張る役目を誰が負うかだろう。

大分三好が勝つ上でまず大きなポイントになりそうなのが、アウトサイドヒッター(OH)だろう。バグナスの対角に、リーグ途中からは、身長175cmの山田滉太が結果を出したことで入っていた。バグナスはレセプション(サーブレシーブ)は良くなかったが、それを補うリーグ屈指の攻撃力を持ち合わせていた。山田はレセプションが上手いだけでなく、身長のハンデを感じさせないジャンプ力で、アタック、ジャンプサーブ、そしてブロックでも得点を稼ぎ、大分三好の一角を担った。

大分三好ヴァイセアドラーの山田滉太は175cmながらジャンプサーブやアタックでも魅せる。

しかし、今回バグナスがいないOHを誰が務めるのか。恐らく勝将哉と見られる。基本的には山田と同じく、レシーブ力に優れた選手だが、アタックでも乱れたトスを決められる能力を持つ。バグナスと同様のものを求めるのは当然酷だが、勝にかかる期待は自ずと大きくなる。

また、勝と山田がOHに入ることで守備力自体は高まるはず。ただ、そんな簡単な足し算ではない。短い準備期間でどれだけ勝と山田を含めたコート上の連携、フロアディフェンスが高められるか。

とはいえ、レセプションがある程度入れば、セッターの井口直紀がセンターの川口喬や林一壽を使いやすくなる。特に川口の高い決定力は生かしたいはずだ。

バグナス不在による攻撃力低下をどう埋めるのかももう一つのポイントだろう。レセプションさえ上がれば、前述の通り、川口や林を使えるが、ヴォレアス北海道のジャンプサーブにレシーブを乱されて、いつも以上にストックトンにボールが集まる可能性もある。それではヴォレアス北海道のブロックの餌食だろう。

注目したい大分三好・古賀の起用法

大分三好ヴァイセアドラーの古賀健太。リーグ戦では交代出場が中心だったが、抜群の攻撃力を持つ。

もうひとつ、今回の大一番、鍵になるかもしれないのが、古賀健太の起用法だろう。井口とは東福岡高校、東亜大学と共にプレーし続けている左利きアタッカーは、キレのあるスイングから鋭いスパイクを放つ。

リーグ序盤戦では、ストックトンの調子が上がらない時は古賀が交代で出ては、キレのあるスパイクやジャンプサーブを決めていた。ベンチに置くには勿体無いと思わせた。シーズンを通しても基本的には交代出場が多かったゆえに、なかなか本人もリズムをつかめ切れてはいなかったが、古賀の持つ攻撃力は今の大分三好にとって十分魅力的なはず。ただ、この2戦でも基本的にはワンポイントブロッカーやリリーフサーバーでの起用だろう。

古賀の持つ攻撃力は、守備力に目をつむってでも、山田の対角の攻撃型OHとして起用しても面白いのではないだろうか。現実的には可能性は低いだろうが、リーグ戦とは異なる戦いが求められるだけに小川監督の采配にも注目したい。

そして、コート上のまとめ役、引っ張る役目を誰が担うのか。大分三好にとって一番必要なことだろう。リーグ戦では、それを担う選手が最後まで現れなかった。繋ぎでの連携ミスが何度も続いたり、リードしていても意気消沈すると一気にチーム内ムードが停滞し、相手に流れを持っていかれるといった試合を、今シーズン何度も演じてしまっていた。勝なのか、若い山田や井口なのか、また、リベロの久保田雅人なのか。リーグ戦と違った姿がコート内で見せられる時、残留に一歩進むだろう。

(取材・写真:大塚淳史)

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