2021-06-29 09:38 追加
男子代表・中垣内祐一監督「五輪はベスト8が最低限の目標。残りの短い期間でいかにチームを作っていけるか」 会見コメント(全文)
全日本代表 男子
――東京五輪で初戦となるベネズエラの特徴、警戒する選手、初戦の重要性をどうお考えになっているか、具体的に教えてください。
中垣内:正直申し上げて、ベネズエラは格下のチームなので、これはマストで勝たないといけない。特徴その他については、まだベネズエラのビデオを見ておりませんので、これからになります。いずれにしても、我々は当然勝つことが必要なチームだと思っています。
――石川祐希選手がイタリアでの試合終わって合流して、初めてキャプテンとして試合を行いましたが、彼のキャプテンシーについて。期待していた部分やそれを超えた部分など、いくつかこんなことがあったということを挙げながら、彼がキャプテンとしてどうだったかを教えてください。
中垣内:年々積極的な会話がチームメイトに対して増えていますね。それから、イタリアでの経験が自信になっていると思いますが、チームをプレーで引っ張るだけでなく声で引っ張っている様子が窺えます。一方で、調子の波にそういう声も左右されるので、調子が悪いときも働きかけの声をどんどん出していくと自分の調子も上がるので、そうしてほしいと思っているところです。
技術的にはネット際に非常に強い。イタリアのレベルの高いリーグで揉まれた成果だと思っています。プッシュやタッチアウトは本当に世界のトップと言っても過言ではないと思います。
――大塚選手は海外に行く前に「自分はこれという武器が見つかっていない」と言っていましたが、VNLではいろいろなポジションをこなしました。監督の目から見て、大塚選手と高梨選手の一番の武器は何だと思いますか? それから、残念ながら選考から外れましたが、福澤(達哉)選手のネーションズリーグでのプレーの評価も教えてください。
中垣内:大塚は非常に器用な選手。目をみはるパワーもジャンプ力もあるわけではないですが、弱点の少ないオールラウンダーだと評価しています。強いて言うと、ブロックが非常にいいアウトサイドだと思います。逆にパワーはもう少しついてほしい。それでも年々見るたびに、パワーも上がっていると評価しています。非常に真面目で賢いプレーをする選手です。
高梨は非常にガッツがある。学生とは違うVリーグで揉まれたこともあり、たくましさを感じる選手です。スパイクも勝負強い。私が想像していた以上に熱いプレーをしてくれると評価しています。課題はサーブレシーブですが、これも毎シーズン向上していると評価しています。
福澤ですが、残念ながら今シーズンは出場機会というのはそれほどありませんでしたが、彼の試合に対する準備、練習での態度、宿舎の中での過ごし方等も含め、本当に若い選手のお手本のようなことを続けてくれていました。彼は常々自分のベストを尽くすと言ってくれていますけど、本当にベストを尽くして、東京オリンピックに向けてチャレンジし続けてくれたと思っています。加えて、石川キャプテンにこうしたらいいよというアドバイスも見受けられましたし、そういう意味でチームでは大人のプレーヤーとして、みんなの手本となってきたと思います。残念ながら、VNLではもう少し活躍の場を提供できればよかったんですけど、なかなかできませんでした。
――今回清水選手を選んだ理由と、最年長で五輪経験者ということで、東京オリンピックで期待することは?
中垣内:選んだ理由はオポジットとして西田に対する2枚替えの選手として期待しているということになろうかと思います。最年長だから、前回オリンピックに出たからというのはあまり選考の理由にはなっていませんし、コートに入ればみんなイコールですので、そこはあまり関係ないかなというふうには思っています。
一方で彼は大きいケガを乗り越えてここまで復帰してきたということもありますし、彼は口数の多い選手ではないですけど、態度で残る、残りたいんだという人間性、態度、気持ちに打たれたというところもあります。
――東レアローズの藤井(直伸)選手、李博選手に期待するところ。高速クイックについて、世界にも通用するところなど、どのようにご覧になっていますか?
中垣内:特に李は藤井とのコンビで生きる選手。日本の中では一番速いクイックを打ちますけど、海外の大きいブロックをかいくぐるようなコンビネーションのスパイクを期待しています。
藤井は首の調子が良くなかったり、終盤足の方を傷めたり、少しコンディションが下がっています。残り1か月弱で彼のコンディションをどこまで上げられるかに注目したい。正直申し上げて、シーズン始まりは藤井の調子が上がらず、「どうなんだろう? 今年はちょっと厳しいのかな」と感じたのですが、VNLに入ってグーッと調子を上げてきたと評価しています。
李はいつも変わらずマイペースなのが彼の強みです。あまり発信が多くないタイプの選手ですけど、堅実にコツコツと、というタイプで愛すべきキャラクターだとも思っています(笑)
――今年から石川選手がキャプテンになられましたが、キャプテンになってから、チームに与える変化は? 東京オリンピック、一次リーグ突破が決まっている中で、星勘定をどう考えているのかを教えてください。
中垣内:石川はもともと自分のプレーに集中して、あまり人に対して発信する選手ではなかった。2017年以来ずっとそれを要求していて、年々周りに対する口数は増えてきた。VNLを見ていると、出ているときはもちろん輪の中でしゃべるし、出てないときも輪の中でしゃべることが今までよりも格段に増えている。それを自分の調子の波に左右されず、安定してやっていけると自分のプレーも安定するのではないかと思っています。チームも彼の言っていることに対して、耳を傾けることを感じます。プレーも、ネット際は魔術師のようなプレー。特に石川だけでないですが、真ん中へのプッシュ、ブロックの間を抜いて、アタックラインの後ろくらいに落ちるプッシュが彼の一つの大きい武器になっているんじゃないかと思います。これもイタリアでしっかり身につけたプレーを発揮してくれていると思います。
オリンピックについてですが、残念ながらポーランド、イタリアは自分たちより格上。その他の3チームにしっかり勝っていきたい。ベネズエラ、イラン、カナダ。この3つには白星をあげたい。一つでも上の順位で予選を突破して、より有利な相手と対戦したい。なので、目標としてはイランとカナダにしっかり勝っていくことになるかと思います。
――1つ目の質問ですが、石川選手の変化というより、彼がキャプテンになったことでチームに変化があれば教えてください。
中垣内:チームに対する大きい変化は変わらない。これまで以上に耳を傾ける。石川は若い選手にとって憧れ、テレビの中の選手だし、自分たちの目指すところにいる選手だと思います。そういう選手にとっては嬉しく感じる場が多いと思うし、助けられていることが多いと思います。
写真提供:FIVB
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