2022-03-12 09:00 追加
名門パナソニックの救世主となるか!? 現役大学生Vリーガー大塚達宣「たくさん学ぶことがありすぎて、毎日毎試合が楽しいです!」
V1リーグ 男子 / 全日本代表 男子
![](https://vbm.link/v/wp-content/uploads/2022/03/FNKv53SagAE1QNL_R.jpg)
サービスエースを決めて清水邦広から熱いハグ
2月5、6日の週はジェイテクトとの対戦だったが、この節は急遽リモート開催となった。5日はパナソニックが圧勝し、6日はジェイテクトがセットを取るなど競り合った。6日の大塚の打数はチームでトップ、得点もチーム最多で文句なしのVOM。この日の大塚は彼なりにターニングポイントを迎えたように見えた。バレー関係者の中には「大塚はそれほど大成しないだろう。無難かもしれないが、相手にとって脅威にはならない」と評する者もいた。それはアジア選手権までのプレーを見ての評価だった。確かにこの日までの大塚は、高いブロックに対して軟打で返すことが多かった。だが、この日の途中で彼は気づいたのだろう。Vリーグ以上のレベルで、逃げのフェイントを続けても切り替えされて失点するだけだと。そこからは高いブロックに対しても果敢に攻め、間を抜いたりタッチアウトを狙ったりするようになった。もちろん高いブロックにただ強打を打ち付けるのは、現実から逃げるという意味でこれもただの「逃げ」である。大塚はそのレベルを理解して有効な攻撃を勇気を持って行うことにしたのだ。その結果セッターの深津英臣から頼られ、自然と打数が多くなった。深津も「大事なところで得点してくれる」と語り、並々ならぬ信頼を寄せていることを明らかにした。
大塚自身も「毎日の練習でも試合でも、学ぶことがたくさんあって本当に楽しくてしかたないです」と屈託のない笑顔で自分の成長を認識している。早稲田の先輩である宮浦健人も「僕がこのような評価をする立場ではないのですが」と断った上で「大塚選手はものすごく成長をしていると思います」と後輩をたたえた。
昨年末の時点でパナソニックは8勝6敗と、このままでいけばプレーオフに進めないことは火を見るより明らかだった。そこで発表された意表をついた施策は、ここまで見る限り予想以上に成功しているといえるだろう。12月に天皇杯を含めて3連敗した東レアローズになんとか1勝することができたのも、大塚とこの日初スタメンのラリーのおかげだったと言っても過言ではない。
3月5日の東レ戦では競り負けたものの、6日は完勝。その中でも東レにリズムが行きかけたところで値千金のサービスエースをとって相手を突き放した。思わず大先輩の清水も喜んで大塚を力強くハグ。そのままの勢いでストレート勝利をあげた。
12、13日は昨季覇者のサントリーとの対戦。前節では連勝しているが、それは主砲のムセルスキーが不在で、柳田将洋も試合中に怪我で下がったという状況の元での勝利。今節はその二人が復帰しての対戦となる。ムセルスキーの高さは大塚にとっても初経験だが、「恐れはないです」と明言。「男子、三日会わざれば刮目して見よ」ということわざがあるが、今の大塚は本当に毎試合ごとにどんどん成長していくのが見受けられる。Vリーグを面白くしている旋風なのは間違いない。今後も目が離せない存在となるだろう。
文:中西美雁
写真:縞茉未、火野千鶴
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