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コラム

2022-04-13 15:39 追加

河野裕輔のエール!15稿 Vリーグも終盤 優勝の行方は!? レギュラーラウンド振り返り

河野裕輔コラム

SV男子

元日本代表でJTサンダーズ広島でも活躍した河野裕輔さんのコラム。主に男子バレーのジャンルで競技者・観戦者に寄り添いながら河野流の視点をお届けします。
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皆様こんにちは。少し間が開いてしまいましたが、今回も河野の私見を述べていきたいと思います。コロナ禍の中激闘が続いた2021-22シーズンも終わりを迎えようとしています。そんな中このリーグを通じて私なりに感じた事を振り返っていきます。

傳田亮太(WD名古屋)

◆チーム戦術のブラッシュアップ

今リーグを通じて一番の変化というのはここにあると考えている。平たく言ってしまえばリードブロックやサーブで殴る、あとはシンクロ攻撃ができないチームは勝ちにくいということ。昨シーズンから顕著になってきたが、今リーグにおいては上位チームと下位チームの差が顕著に出ていた。レギュラーラウンドで上位に進むチームは、当然のようチームの共通認識として連動した動きになっていた。逆に勝ちにくかったチームはレセプションで乱され、そこから単調なサイド攻撃に終始することが多く、3枚ブロックからのトランジションで切り返され、被ブレイク数が嵩んでいた。
堅実なサイドアウトはもちろん、どうやってブレイクを取っていくのかというところに各チームの特色が出ていたように感じた。そんな中、私がゲームを解説させていただくときに何度もお伝えした中央付近のスロットの使い方(MBとパイプ/Bickの攻撃)がポイントになることが多かったことは事実である。上位チームにおけるMBの活躍は非常に目覚ましかった。筆者の独断と偏見で名前を上げさせていただくのであればWD名古屋の傳田亮太/近裕崇、サントリーの小野遥輝/ポンシーコン、パナソニックの山内晶大/エバデダンラリーなどはサイドアウト時だけでなくブレイク時のポイントも多かったのではないか。結果これらのチームがファイナル3に進出したが大きな原動力となったのは間違いない。

◆チーム戦術の上にある個人スキルの向上

前項においてチーム戦術のブラッシュアップについて触れたがここではさらに選手個人のスキルについて述べてみたい。チーム戦術が4枚攻撃/シンクロだったりリードブロックを軸としたトータルディフェンスであるならば、そのシステムを実現させるための個人スキルが必要となることは言うまでもない。昨シーズンまではこのスキルの有る無しがチームの格差を生む原因の一つとなっていたが今シーズンにおいてはこのスキルがないとスタートラインに立てないことはもちろん、ある前提の上で一つ一つのスキルの精度が大きく勝敗に関係していた。

エバデダンラリー(パナソニック)のブロック。手が前に出ている

例えばリードブロック。バンチシフトはもちろん、デディケートシフトも併用した戦術を取ることもよく目にしたが、左右への移動のスピードだけでなく飛ぶ位置の正確性や「敢えて抜かせる」駆け引きなども目にすることが多くなった。そしてラリーになった時のシフトの維持などもスキルの向上した部分として挙げられる(昨シーズンはラリーになるとスプレッドシフトになってしまう場面をよく目にした)。

例えばディグ。昨シーズンはブロックで抜かせるところと閉めるところを区分けして、抜かせるところに対してディグをしていく事が大前提であった。今シーズンもそこは同じではあるものの、ブロックで閉めるはずのコースに打たれてもディガーが反応し、上げている場面を何度も目にした。また抜かせるところであれば、昨シーズン弾いていたボールもしっかりと上がっていることも多かった。これはシステムの円熟に伴う余裕が生まれた事と、システムが回ることにより狙うボールがはっきりした為、一定の範囲に対し守備範囲を広げることができていることの証拠であると考える。

◆新戦力が即戦力!すごいぞ大学生!!

大津達宣(パナソニック)のパイプ。現役大学生Vリーガーとして席巻

今シーズンは各チーム内定選手やルーキーイヤーの選手が本当に素晴らしい活躍を見せている。多くのチームでスターティングに新人が名前を連ねていることも珍しい事ではない。特にパナソニックパンサーズの大塚達宣/エバデダン・ラリーは現役の大学生ながら強豪パナソニックのスターティングメンバ―だ。他にもサントリーサンバーズの鍬田憲伸や東レの真子康佑/西本、大分三好の伊藤洸貴/安部翔大、VC長野の山岸隼/三輪大将などはチームの中心になっていた。これほどたくさんの新人選手が活躍したリーグはちょっと記憶にない位珍しい事である。

これは選手自身の個人スキルもさることながら、チーム戦術への対応がスムーズにいったためにここまでチームにフィットできるのであろうと予測する。各大学も戦術のブラッシュアップが進み、戦術面ではVリーグと遜色ない進化を遂げている。その為個人スキルの高い選手はそのままトップリーグのチームに入っても土台の戦術の差が少ない為にチームへの対応がスムーズなのである。

前述した今シーズン活躍した内定選手/ルーキーイヤーの選手の中にセッターを3名上げさせていただいたがいきなりチームの司令塔を任されたにも関わらず、しっかりとMBを意識したセットをしていたことは大学リーグにおいても戦術の進化(ブラッシュアップ)が進んでいるのだなと再認識する事になった。

今回はレギュラーラウンド全体を振り返って私見を述べさせていただいたがこの原稿を書いている4月10日現在、Vリーグではファイナル3とチャレンジマッチが行われている。その戦いぶりに関しては別稿にて述べさせていただきたい。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

文:河野裕輔
写真:黒羽白、縞茉未

※プロフィール 河野 裕輔(かわの ゆうすけ) 1975年8月1日生まれ ポジション OP.OH 古河4ますらおクラブ-古河2中-足利工大附高(現足利大附高)-中央大学-JTサンダーズ(現JTサンダーズ広島) 現在社業の傍ら、V.TVにて解説者、オーカバレーボールスクール埼玉校にてコーチ業を勉強中。

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