2023-05-11 11:54 追加
PFU・鍋谷友理枝「気持ちも体も苦しかったが勝利できて本当に良かった」、坂本将康監督「選手が強い意志でやりぬいた。すげえな、かっこいいなと思った。感謝しかないです」 黒鷲旗優勝コメント
SV女子
●坂本将康監督
私たちの地元石川県で大きな地震があって家屋が倒壊したり、被害に遭われた方がたくさんいらっしゃいます。試合に関するコメントの前に、まずその件についてお見舞いを申し上げます。そんな状況の中で私たちのチームが試合をさせていただいたことに感謝いたします。
今大会で獲得した賞金の一部を震災の復興にあてさせていただくことをこの場を借りてご報告させていただきます。
試合についてですが、率直に感無量です。
選手が本当に頑張って大会6日間を戦い抜いてくれた。そのことに感謝をしたいですし、誇りに思います。控え選手も少ない中で長丁場の戦いになりました。
相手に取られたセットも自分達が良くないわけではなく、埼玉上尾さんの良さが上回った、そんなゲームでしたので(セットを失っても)後に引きずることなく戦えました。
選手たちのモチベーションと闘い抜く気持ちの強さが…なんていうんですかね。「すげえな」というか。自分のチームの話をするのにそういう表現が合っているかわかりませんけど。「かっこいいな」と。誇らしくて嬉しい気持ちですね。
ーー黒鷲旗を通してチームの成長があった?準決勝は岡山に2セット先取されても途中で相手を攻略し、3セットを取り返しましたね。
坂本:昨日の試合も先に2セットを取られましたが、見ていても落ち着いていたというか。あの試合も岡山さんの良さが出ていたと思うんですよね。封じることができないプレーが多かった。
こちらが特に凡ミスをしているわけではないですし、コネクションとかそういうところのミスでもない。決定率が低かったというところでは課題はあったかもしれないですけど、それを改善する知恵とコミュニケーションと方法論を彼女たちが持っていた。それを貫き通したという感じですかね。攻略もしたし、強い意志でやり抜いたんじゃないかなと思います。
ーー今日の試合、新人の大村選手からベテランの鍋谷選手まで万遍なく活躍したと思います。
坂本:全員が勝ちに繋がるプレーに徹していたというか、得点シーンももちろんそうなんですけど、1本目2本目の簡単ではないボールもしっかり繋がっていました。集中力を切らさなかった。
埼玉上尾さんのオフェンスに対するディフェンスのところで集中力を保ちながら拾い続けることができた。全員の活躍かなと思います。
最後、フィニッシュのところはこの大会を通して迷わず打っていくという姿勢が見られました。軟打とか、ワンタッチを狙うとか、リバウンドとかいろんな選択肢を持ちながらも最後はみんな腕を振って撃ち抜いていた。本当に全員活躍したと思います。
ーーディフェンスでよく拾っていましたね。前回の黒鷲旗と何が違った?
坂本:去年と対戦相手も違いますし、うちもメンバーが違うので一概には言えないですけど、ただリーグ戦が終わってからこの1カ月…1カ月でやれることは絶対にやろうと、それに取り組んできました。リーグ戦からの反省材料というか伸び代がある部分をみんなで共有してやり抜き通したことが優勝に繋がったのかなと思います。
ーー4人の退団する選手に。
坂本:このチームで一緒に戦ってくれたことに感謝をしたいです。最後まで大会を一緒に戦えて嬉しいですし、引退する選手には優勝という最高の形で現役生活を終わらせてあげることができたので良かったなと思います。試合に出ていない選手も試合に出ている選手とずっと練習をしてきて、その練習のクオリティーが高かったことが証明された。そのことは彼女たちの誇りになってもらいたいなと思います。
ーー「リーグ戦からの反省点を改善しようとやってきた」とのことですが、どういうところになるでしょうか?
坂本:わかりやすい例で言うとサーブですね。強いサーブを打つこともできますけど、やっぱり数字を見るとファーストサーブのミスが多かったので、強く行くだけじゃなくてコントロールしながらだったり、相手の嫌がるところに打てるように。
監督になってからを順を追って話しますと、まず強いサーブを打ててなかったので強いサーブを習得するところから入りました。強いサーブを打てるようになったので次はコントロールしながら相手を崩すサーブ、ミスが多かったのでチームのルールに基づいてミスを減らしながらも効果的なサーブを打てるようにというのをこの1カ月はやって。
ただ、ミスをしないということがクローズアップされると入れていくだけのサーブになってしまうので。練習の中でも…言ってやれればそんな簡単な話ではないですけれども、こういう数字が出ていてこうだねっていう話を選手が汲んでくれた、取り組んでくれたのがサーブだったのかな、と。すべてのプレ-を改善していく中で顕著に効果が現れたのはサーブかなと思います。
ああ、サーブレシーブも良かったですよね。まあ、全部成長しましたよ(笑)
ーー得点源のメリ-サ選手が不在の中でも勝ちきれたのは?
坂本:一撃必殺でラリーを終わらせることができる選手がいなかったのは確かにそうなんですけど、だけどそうじゃないやり方、このメンバーでしかできないバレーボール、このメンバーだからこそできるバレーボールを追求しようという話を選手たちとはしていました。各々の役割、特徴と長所をみんなで見極めて共有できたことが勝因なのかなって。誰かの何かに頼るんじゃなくて、みんなの長所をみんなが活かして、みんなを知ってというところが良かったんじゃないかな。
ーー黒鷲旗の優勝を今後のどういうところに繋げていきたい?
坂本:難しい質問ですね(笑)。全ては繋がっていくので。チームもまた変わりますし。優勝したことより、優勝までのプロセスを共有することかな。プロセスの結果が優勝になったと思うので。そのプロセスの部分をしっかりチームに根付かせるというか。これだけやったからこういう結果が得られた、と。良いところを継続させていくのが大事なことかなと思うので。
また選手は変わりますけど、残っている選手が半分以上いるのであれば、イズムじゃないですけどそういうものは継承されていくと思うので。こうなったらこのくらいの結果が得られるんだよというものは繋いでいきたいですね。
ーー大きな大会での優勝会見、その感想は?
坂本:もうちょっと調子に乗るかなと思ったんですけど(笑)、やっぱり一番最初に思ったのは選手がすごかったなというか、彼女たちが取り組んできたことが素晴らしかったな、と。
優勝したことに対して僕自身の存在はあまり大きな意味があったわけじゃなくて、やっぱり選手たちの頑張りだったんだな、と。優勝してあらためて感じましたね。ただ胴上げしてもらうチャンスが黒鷲旗にはあるので、胴上げしてもらって嬉しかったです。
ーー大村選手のプレーについて。
坂本:思い切りがありましたよね。気っ風が良いというか。恐れずに立ち向かっていく清々しさというか。思いっ切りの良さを自分でしっかり出したし、自分の役割である点数を取るというところに関して全うしたというか。新人とか、そいういうのは関係なかったんじゃないかなと。Vチームとの対戦を重ねていく中で相手も対応してくるし、絞ってくる中で潰されずに良さを貫き通したんじゃないかなと思います。
決勝だから、というのもなさそうだったし。他の選手もですけど。ウォーミングアップの時からナチュラルな感じで(普段どおりのことを)やり続けていましたね。
ーー2年連続でホテルの朝食券を使い切りました。(前年度、黒鷲旗決勝の感想をホテルの朝食券の消化で表現)
坂本:そうですね。昨日寝る前に朝食券を置いておいたんですけど、ああ朝食券、明日なくなるなって思いました。
中谷(宏大、ヴィクトリーナ姫路監督)から「そういえば今年も朝食券は使い切るんですか?」って言われて。「なんでお前その話知ってんの?」って言ったら「僕、坂本さんの記事は隈なく読んでますから」って。
朝、バスで来るんですけど、スタッフがバスの前の方に来てみんなで「今年も朝食券がなくなりましたね」って。どなたかのTwitterにも朝食券のことは書いてあって、ああこの話、結構知ってる人がいるんだな、と。
ーー退団する鍋谷選手がチームにもたらしてくれたものは?
坂本:いっぱいありますね。多分(連戦で)ヨレヨレだったと思うんですけど(笑)、勝ち方を知っているというか、そういうものを残してくれたと思いますね。
ーーPFUでの鍋谷選手の成長は?
坂本:彼女は僕が言えるようなレベルの選手ではないので。彼女が成長したというのであれば成長したんでしょうし、僕は「鍋谷はここが成長したよ」なんて言える立場じゃないです。充分な力を持っている選手がチームに来てくれて貢献してくれた、という思いですね。
ーー鍋谷選手は「坂本さんのバレーは新鮮で、多くの学びを得た。これまでサーブレシーブ一つとっても常に全力でやってきたが、もっと省エネにできて簡単な方法もある。今までのやり方が全てではないということを知った」と言っていました。バレーボーラーとして彼女が得たものも大きかったのではないかと思います。
坂本:そう言っていただけるのは監督冥利に尽きるというか、嬉しい言葉だと思います。僕は選手に感謝しかないですね。
撮影 堀江丈
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