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コラム

2024-04-21 18:14 追加

アメリカ、女子バレーのプロリーグPro Volleyball Federationプロバレーボールフェデレーションとは

アメリカの女子バレープロリーグ「プロバレーボールフェデレーション」とは

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アメリカバレーボールの新たな歴史が始まった。 (写真:Pro Volleyball Federation)

 1月末にアメリカで「これぞ真のプロリーグ」と謳って、Pro Volleyball Federationプロバレーボールフェデレーションが開幕した。アメリカでは女子バレープロリーグは1980年代後半や2000年代初めにも存在したが、わずか数シーズンで幕を閉じている。開幕から全米7都市で多くのファンが熱狂するプロバレーボールフェデレーションとは……。

■バレーボールのメジャーリーグ

 2024年1月24日にAtlanta Vibe 対Omaha Supernovas で開幕したプロバレーボールフェデレーション。各チーム24試合行い、5月中旬に上位4チームで準決勝、決勝を行う。

Atlanta Vibeアトランタ バイブ( 都市名/チーム名、本拠地ジョージア州アトランタ市)、
Columbus Furyコロンバス フリー(オハイオ州コロンバス市)、
Grand Rapids Riseグランドラピッズ ライズ(ミシガン州グランドラピッズ市) 、
Omaha Supernovasオマハ スーパーノーヴァス(ネブラスカ州オマハ市)、
Orland Valkyriesオーランド ヴァーキリーズ(フロリダ州オーランド市)、
San Diego Mojoサンディエゴ モジョ(カリフォルニア州サンディエゴ市)、
Vegas Thrillベガス スリル(ネバダ州ラスベガス市)

の7チームが7都市に本拠地を置く。次のシーズンはさらに3チーム増えることが決まっている。

 アメリカでは2021年にAthletes Unlimitedアスリーツアンリミテッドというプロリーグが開幕したが、こちらは通常のプロリーグとは一味違い、4チームが毎週メンバーを変え、チームの勝敗と個人スタッツのポイントで最優秀選手を競うというもの。5週間の短期間でもある。(詳しくは、バレーボールマガジンのサイトのコラム欄2021年2月26日、3月17日、4月20日、2022年3月7日、5月6日をご覧ください。「アメリカ女子バレー」でサイト内検索可)

 では、プロバレーボールフェデレーションは何が違うのか? まず、欧州やブラジルなどのクラブチーム形式とは違い、各チームに個人やグループのオーナーがいるバレーボールだけのプロチームである。同じアメリカのバスケットボールNBA・WNBAをイメージして頂ければわかりやすいと思う。チームのオーナーも起業家や元アメフト選手、元ビーチバレー選手、エンターテイナーなど様々な分野の人がいる。そこに経営や財務を専門とする経験豊富なスタッフからなる確固たる基盤を作り、ワールドクラスの選手とスタッフそしてアリーナを有する。新人選手がドラフト会議を経て入団するのもアメリカならでは。そして何よりも、選手が生活できる金額を稼げることを宣言している。気になる年俸であるが、約30年続くバスケットボールのWNBAの初年度の給与と同等水準だということで、基本給は6万ドル(1ドル150円として900万円)、そこにチームや個人の成績でボーナスが加算されていく。来シーズンは既に給与のアップが公表されていて、トップ選手で17万5千ドル(2625万円)に達するようだ。

ドラフト会議。San Diego Mojoの監督タイーバ・ハニーフ‐パーク(写真、右。北京、ロンドン五輪の銀メダリスト。日本のVリーグも経験)。チームにはアジアから唯一参戦しているタイのセッター、ヌットサラ・トムコムもいる。(写真:Pro Volleyball Federation)

■競技人口の増加

 アメリカではバレーボールの競技人口が年々増加していると言われている。高校、大学での女子の団体競技では最も人気があり、特に高校だけの競技者を見れば2017年から40%増加という。2021年にアメリカバレーボール協会はNational Team Development Programというジュニア選手の発掘、育成による持続的な国際競争の向上を目指すプログラムを立ち上げている。しかし、大学バレーが最後でその先のプロのチームがなければ「持続的な」という計画が進まない。大学卒業時にバレーボールをするために海外に行くか、それとも他の職業を選びアメリカに残るか、決断を迫られた選手も過去に大勢いたに違いない。だから国内で継続的な育成を進めていくには、プロリーグの誕生が不可欠であったとも言える。渡りに船というわけだ。

 先に述べた短期間のプロリーグ、アスリーツアンリミテッドのインタビューをした時に、何が良かったかという点で、多くの選手がまずは「家族、友人の近くでプレーできる喜び」を挙げ、次に「若い世代に、アメリカでバレーボールのプロ選手になれるんだよ、と言える誇り」を語っていた。そして今回生まれたのが、プロ選手として生活基盤を稼げるバレーボールのメジャーリーグ、プロバレーボールフェデレーションである。今後は若い世代の大きな目標となるだろう。

チームのポイントに熱狂するファン。(写真:Pro Volleyball Federation)

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