全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>コラム>アメリカ、女子バレーのプロリーグPro Volleyball Federationプロバレーボールフェデレーションとは

コラム

2024-04-21 18:14 追加

アメリカ、女子バレーのプロリーグPro Volleyball Federationプロバレーボールフェデレーションとは

Others

リオ五輪後に一度はコートから離れたもののカムバックしたアリーシャ・グラス・チルドレス。(写真:Pro Volleyball Federation)

■選手は開幕をどう受け止めているのか

 2014年世界選手権金、2016年リオ五輪銅メダルを獲得したアメリカを代表するセッター、Vegas Thrillのアリーシャ・グラス・チルドレス選手に新プロリーグについて伺った。

―新しいプロバレーボールフェデレーションというプロリーグの印象はいかがですか。あなたのチームVegas Thrillや観客についても聞かせて下さい。

アリーシャ・グラス・チルドレス(以下、アリーシャ):私は、ここアメリカで本当にプロのシーズンを楽しんでいます。プロバレーボールフェデレーションは、女性のスポーツの人気が上がっているという点だけではなく、特にバレーボールがすごく盛り上がっている正に旬を捉えたといえるでしょう。私たちのVegas Thrillのチームはこの機会を本当にありがたく思っています。ここラスベガスのバレーボールコミュニティが私たちのチームのためにしてくれることを目の当たりにして感激しています。皆さんが暖かく迎えて下さり、情報を広めてくれるので、今までスポーツにあまり関心がなかった人たちもどんどん興味を持ってくれるようになりました。みんなに伝染していくようです!

―あなたが大学を卒業した時は、まだアメリカにプロリーグがありませんでした。あなたや大学でのチームメイトが海外でプロ選手になるという事は大変でしたか。

アリーシャ:私が大学を卒業した時は、海外でプレーすることが唯一の道でした。自分の経験したことに悔いはありません。色々な国に行って、その文化に触れ、多くの事を学ぶことができました。だけど、やはり自分の家の近くにいることができるという選択肢もあったら良かったと思います。自分の国で家族や友人のそばでプレーできるという事は本当に素晴らしいことです。また外国人選手をアメリカに迎えることもいい刺激になると思います。

―国内にプロリーグが出来た事は、結婚や出産後もプロのスポーツ選手というキャリアを続けていきやすくなったのでしょうか。またそれによって、選手寿命も延びていくと思いますか。

アリーシャ:海外でプレーすることに難しさを感じた選手はより早く辞めてしまうと思います。しかし、今、新たな選択肢が出来た事は、確実に選手寿命を延ばすことにつながると思います。一部の選手は、今までも結婚や出産後も続けていくことができましたが、やはり大きな犠牲を伴います。アメリカの中に色々選択があることは、より柔軟にハイレベルの競技生活ができると思います。海外しか選択肢がなければ、私は引退から抜け出ることができなかったでしょう。本当にアメリカでのプロリーグを嬉しく思いますし、長く続いてほしいです。

―リーグも終盤です。残りの試合をどのように戦っていきたいですか。

アリーシャ:6年間バレーから離れていましたが、こうして戻ってきて私が愛するスポーツをプレーできることを、本当に毎日、感謝しています。私はより良くするために努力をして戦っていくことが大好きです。思っていたような結果が得られていないかもしれませんが、少しでも上に行くように努力して戦って、残り試合でできる限りの成果を得るためにチームを助けていきたいです。

―日本のバレーボールファンにメッセージをお願いします。
アリーシャ:日本のバレーファンの皆さんは世界で最高の人たちのひとつです。バレーをよく理解していて、敵味方関係なく、ネットを挟んだ両サイドに声援を送ってくれます。それにお気に入りの選手を愛情深くフォローしていると思います。私は日本でプレーするのが大好きでした。そして皆さんが遠く離れていてもチームや選手たちのことを応援して下さることを有難く思っています。

4月18日現在、アリーシャ選手の所属するVegas Thrillは、6勝12敗で7チーム中6位。ブロックの要モリー・マッケージ選手をけがで欠き、苦しい戦いが続いている。しかし、上位2チームは一歩抜き出ているものの、まだ順位が入れ替わるチャンスはある。序盤に後れを取っていたSan Diego Mojoがここにきて4位まで浮上するなど、混戦となっている。最後の追い上げに期待したい。

首位を行くAtlanta Vibeをけん引するOHリア・エドモンド。代表以外にも、まだこんなにレベルの高い選手がいるのか……、とアメリカの選手層の厚さに驚くばかり。(写真:Pro Volleyball Federation)

■2024年秋には別のプロリーグも

 今年の秋には、League One Volleyballリーグワンバレーボールというもうひとつ別のプロリーグも開幕する。こちらには既に日本からセッターの松井珠己選手、リベロの小島満菜美選手が参戦することが発表されている。全く別の2つのリーグがあるなら、双方の優勝チームの頂上決戦も見てみたいし、日米の対戦もあればいいと思う。

 プロバレーボールフェデレーションの試合では、観客に試合を「見せる」だけではなく「魅せる」ための様々な工夫もある。エンドライン後方にゆったりしたソファー席があったり、驚いたのは主審の後ろにビデオジャッジなどの机があるが、その横、つまりチームのベンチの同じ並びにも観戦席があることだ。チームのロゴが入ったシャツやキャップを身に着ける観客は試合毎に増し、3月16日の試合では、12,090人を記録した。1万人以上の観客を楽に収容できるアリーナもアメリカの魅力だ。

 アメリカ人選手にとって母国にプロリーグができたと言っても、1チーム14人のメンバーに入るのは、容易なことではない。また来シーズンもドラフト会議を経て新人が加入すれば、チームに残るのも大変だ。しかし、高いレベルの競争が国内でできることで、アメリカ女子のさらなる強化になることには間違いない。2023年末に行われたドラフト会議でColumbus Furyに1位指名されたMBアシア・オニール選手が、2024年のネーションズリーグのメンバーに召集され注目されている。このプロバレーボールフェデレーションの熱戦を経験し、世界へ羽ばたく選手がこの先どれだけ出るのか楽しみだ。

プロバレーボールフェデレーション公式サイト:provolleyball.com
YouTubeチャンネル:Pro Volleyball Federation
インスタグラム:realprovb

取材:ブラジル在住 唐木田 真里子

>> コラムのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事