2024-09-03 08:30 追加
イタリア女子が男女史上初の五輪金メダルに寄せて 名将ヴェラスコの来歴と手腕 パリ五輪
イタリア女子チームがパリオリンピックで金メダルに輝いた。しかもオリンピックトーナメント全体で失セットがたったの1セットというダントツの強さで優勝だ。 イタリアとして男女を通じて初めての「オリンピックでの金メダル」を手にし
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イタリア女子チームがパリオリンピックで金メダルに輝いた。しかもオリンピックトーナメント全体で失セットがたったの1セットというダントツの強さで優勝だ。
イタリアとして男女を通じて初めての「オリンピックでの金メダル」を手にした!
オリンピック予選でオリンピックへの切符さえとれなかったイタリア女子チーム、その後の改革でヴェラスコ監督がイタリア女子チーム監督に就任。たった4か月でオリンピックの舞台で金メダルを獲得する快挙を成し遂げた。
このスーパー大逆転を成し遂げた名将ヴェラスコ監督とは?
アルゼンチン出身で、イタリアの国籍も持つ世界で有名な名将。1986年にイタリアのセリエAチームの監督を務めると4年連続チームを優勝させ、その後は1989年から1996年までイタリア代表の監督に就任。イタリア男子が欧州選手権、世界選手権、ワールドリーグ(今のVNL)を優勝し、ドリームチームと言われた時代。1996年アトランタオリンピック、決勝はオランダ対イタリア、5セットにもつれた決勝は、17対15でイタリアは破れ銀メダルを獲得した。
ドリームチームでの活躍が評価され、サッカー界からオファー(セリエAチームのラッツィオそしてインテル)でのチームマネージメントを担当。勝たせるチームを作るにはチームで働く全てのメンバー(マネージャーからトイレ掃除や洗濯のスタッフまで)がチームを愛せる、自分がチームの一員である事に誇りを持てる環境を作るべきと改革を実施するという面白い経歴の持ち主。今では、バレーボール以外でも経営論などのセミナー等を開催しており、それらのイベントは常にSold Out!
そして長年イタリアバレーボール協会の男子強化部長を務め、今の若くて強いイタリアチームを作り出すキッカケを作った。
72歳の名将は「自分は常に新しい事に挑戦したい」という意欲があり、今まで担当した事がなかった女子チームの監督をする事を決意し、イタリア女子セリエAチームの監督に就任した。その後、イタリア女子ナショナルチームが監督をめぐるトラブルで低迷し、オリンピック予選を通過できなかった結果を持って、ナショナルチームの監督に立候補。
コーチスタッフに2006年から10年以上イタリア女子チームをトップに導いたバルボリーニ監督を第二コーチ、1996年アトランタオリンピックのメンバーで男子チームの監督としてトップの経験を持つベルナルディ―ニを第三コーチで固めてのチーム作りだった。
イタリア女子ナショナルチームの監督を巡るトラブルでは、前監督のやり方に反対をした3名の選手(Liveroのディジェンナーロ、OHのボセッティ、OPのエゴヌ)に対し、前監督は、ディジェンナーロ、ボセッティをナショナルチームに招集しない、エゴヌは招集しない訳にいかないので招集したが、まさかのベンチでスタメンに入れず、代わりにコートに出ていたアントロポバとの確執を深め、オリンピック予選にはついにエゴヌも招集しなかった。この対応に関してはイタリア国内のバレーボールファンの間では、監督の辞任、協会の責任を訴える声が高まっていた。オリンピック予選を通過できなかったイタリア女子チームはまさにボロボロの状態、そこに現れた救世主がヴェラスコ監督だったわけだが、まさか金メダルを獲得するとは!
イタリアのバレーボールファンは、この快挙に歓喜あふれ改めてヴェラスコ監督の才能に驚愕している。
決勝進出が確定した後のヴェラスコ監督のインタビューにその人柄、才能あふれるコメントが感慨深い。
「マスコミはオリンピックで金メダルが足りないって言い過ぎなんだ、男子をかばうためにも言うけど、足りないものを言い合ってどうするんだ。隣の家の芝生は緑で良いって言うのと同じで、人生の考え方自体が間違っている。足りないものを羨ましがるのではなく、今ある物に誇りを持たないといけない。イタリアはアンダー、男子、女子、全てで世界トップレベルなんだ。協会のバレーボールに対する活動は十分誇りにできるものを持ってるはず。それなのに足りないものばかりにフォーカスするのはおかしい。
オリンピックの金メダルは来るべき時が来れば自ずと手に入るはず。重要なのは、自分達の最大限の力を出し切る事だ。最大限の力を出すという事だって難しい。気負いすぎれば上手く体のコントロールができなくなる。イタリア女子がオリンピックで準決勝以上に進出したのは初めてなんだ。これを楽しまないでどうする!!アメリカだって最大限の力を出してぶつかってくるだろう。そこで勝てても勝てなくても、自分達の力が出し切れればそれでいいんだ。男子は特に、メダルっていう責任感を持たせれば持たせるほど、神経が本番で裏切る。本番で人間の神経とどう付き合うかが勝負なんだ。マスコミは少し静かに見守っていて欲しい」
ヴェラスコ監督率いるイタリア女子は、「全員バレー」でオリンピック失セット数たった1で優勝という快挙を残した。エゴヌとアントロポア(OP)の確執をほどき、一度は代表から遠ざかったディジェンナーロ(Libero)、ボセッティ(OH)を招集、キャプテンとしての重荷を感じプレーに影響が出ていたシッラ(OH)を開放し、穏やかな性格のダネージ(MD)をキャプテンに変更し、また、スポットの守備で活躍した代表初選出のジョバンニーニ(OH)等の選手選考も話題になった。誰か1人に頼るというバレーボールではなく全員のプレーで勝つというチームを4か月で作り上げた。
アメリカとの決勝で3-0での優勝を決めた瞬間、確執のあった2人、エゴヌとアントロポアが長い間抱きしめ合っていたシーンは、ヴェラスコ監督のチーム作りが本当に上手くいった事を証明していた。表彰式では、旧キャプテンのシッラと現キャプテンのダネージがお互いのメダルを首に掛け合っていたシーンが見られ、厳しい時期を過ごしたディジェンナーロ、ボセッティの目には涙が浮かんでいた。
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