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コラム

2024-10-01 08:18 追加

サントリー・大宅真樹、主将返上の覚悟

サントリー・大宅真樹、主将返上の覚悟

SV男子

バレーボールSVリーグ男子、サントリーサンバーズ大阪のセッター、大宅真樹が主将を返上し、プレーに集中することでチームに貢献することを誓った。

「自分から監督にお願いして、オリビエ監督もそれを理解してくださったのですから、今まで以上に責任はついてくると思っています」。9月29日に大阪箕面市のサントリースポーツセンターで行われた開幕前の記者会見で、大宅はいつになく真剣な表情で口を開いた。

これまでの「V1リーグ」が、世界を目指す「SVリーグ」と名前を変えスタートする今季のリーグ戦。前年度優勝の「サントリーサンバーズ」は、「サントリーサンバーズ大阪」と名前を替え、初年度優勝を目指す。チームは前年の小野寺太志に続き、日本代表の髙橋藍を獲得。4年連続してV1リーグで決勝に進出し3度優勝を果たし、2023年アジアクラブ選手権優勝、FIVB世界クラブ選手権2023で銅メダルを獲得した山村宏太監督が退任し、オリビエ・キャット前コーチが昇格した。

そんな中で、主将には31歳の藤中謙也が返り咲いた。その間の事情を、オリビエ監督は「コーチ陣による決定ではなく、大宅からの希望があったので変更することにしました」と明かす。

大宅は「プレーに集中したいという思いを、オリビエ監督が理解してくださり、こういう形になりました。でもキャプテンじゃないから(今までのようなことを)やらないとかいうのは全く思っていません。キャプテンでなくても(コート内外で)やることは一緒ですし、自分が言ったことを聞いてもらったのですから、去年以上に責任はついてくると思っています」と気を引き締める。

2020-21年シーズンから務めたチームリーダー。セッターとしてもチームの浮沈を握り、チームのためにトスを上げ続けてきた。

心が折れたこともあった。2021年に国際大会デビューを果たしたが、東京五輪のメンバーから外れた。この間、2022年世界選手権には出場したものの正セッターとして評価してもらえず、「バレーを辞めよう」と思ったこともあった。しかし、家族らの支えもあり翻意。2023年はアジアクラブ選手権優勝、FIVB世界クラブ選手権では銅メダルに導いた。その後も今年のネーションズリーグで1試合に出場したのを除き、A代表には選ばれなかったが、新生SVリーグの初王者や代表への強い思いからプレーに専念することを選んだようだ。責任から逃れるのではなく、プレーに集中することがチームの総合力をアップさせ、自身をさらに磨くことにつながるというわけだ。

「やはりキャプテンにはいろんなエネルギーが必要です。彼がバレーに集中したいという思いを、監督として尊重してあげたかった」とオリビエ監督の視線は温かい。

藤中は「1回目に主将になった時には、なかなか勝てませんでした。今、勝ちを積み上げられるタイミングで任されたのですが、力みすぎず自分のできることをやっていきます」と、31歳のベテランらしく、気負いはない。

大宅は「同じことをやっていても勝てないと思います。試合数も多いし長いので、難しいシーズンになると思いますから、固定されたメンバーだけではなく、いろんなメンバーとコンビネーションを合わせることも必要だと思います。そういう意味では今までと違った取り組みをしていかなくてはならず、楽しみなシーズンだと思っています」。大宅の新しい挑戦が始まる。

取材・文・写真:北野正樹

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