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2025-06-13 07:00 追加

日本バレーボール協会、「女子選手の帰化問題」で浮き彫りになった組織のほころび。評議員会の見識が問われる事態、理事改選にも影響か

JVA、「女子選手の帰化問題」で浮き彫りになった組織のほころび

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バレーボール女子の日本代表に一部帰化選手が登録できない問題で、日本バレーボール協会(JVA)は6月11日、オンラインで記者会見を開いたが、責任の所在が明確になっていない組織の実態が浮き彫りになった。今月、理事改選を迎えたJVA。理事を選任する評議員会が13日に開かれる予定だが、帰化問題の全容が解明されていない段階での審議は困難を伴うことが予想される。

「Federation of Origin(FoO=所属国協会)の変更手続きについての記者レクについて」と題された会見。JVAの國分裕之専務理事は、国際バレーボール連盟(FIVB)の理事会が2023年6月に、代表歴がある選手は国籍を変更しても所属協会の変更を認めないと決定、90日の猶予期間を設けたことを通知するメールをJVA内部の担当者が見落としたことについて「至らぬところがあった。我々の落ち度。反省して対策を取りたい」などと真摯に謝罪した。

また、猶予期間中にFIVBに働きかけた場合に、FoOの変更が認められた可能性について「その期間にアクションを起こしていないので」としながらも「FoOの変更が認められた可能性を否定しない」と明言。帰化申請が短期間で認められない国の事情を訴えれば、FIVBの理解が得られた可能性を排除しなかった。

一方、JVA内部で選手の帰化を担当しているといわれている内藤拓也・業務執行理事は「我々が気付ききれていなかった点は私どものお詫びするところ。まったく私どもに非があるところ」としながらも、「現段階でFIVBに確認したところ、猶予期間に帰化が済んでいないケースでは例外適用の可能性を否定すると回答を得た」と説明。メールやHPを見落とさなくても、FoO変更は認められなかったと強調した。

これについて、複数のバレー関係者からは「国情により、帰化申請手続きの期間が違うのは周知の事実。FIVBがルールを変える以前から帰化申請をしていることを証明すれば認められる可能性は高かったのではないか」、「帰化するのに1年以上かかる国もあるのに、90日間しか猶予期間がないことをFIVBに訴えれば、理解は得られるのでは」という声もある。

また、「JVAがペナルティーを受けてもいいから、当該選手のFoO変更を認めてほしいと訴えるべき。JVAの熱意が足りない可能性もあるのでは」と、選手ファーストの立場から熱意をもってFIVBに理解を求めることを進言する関係者もいる。

第三者委員会で事実を確認し、組織の問題点を指摘され改善点も示されたが、コンプライアンス委員会ではまだ調査中といい、最終結果は6月16日の理事会で報告される予定。

JVAでは、ビーチバレーの診断書偽造や今年になってアンダーカテゴリーの女子代表の紅白戦を特定のSVリーグの試合のイベントとして開催することを認めるなど、ガバナンスやコンプライアンスが問われる事態が相次いでいる。

また、JVA幹部しか知り得ない内部情報の漏洩も連続して起きている。

6月はJVAの理事改選の時期。13日には、「役員選考委員会」から提示された理事候補を審議し、「新理事」を選任する「評議員会」が開かれる。コンプライアンス委員会の報告がなされておらず、全容が解明されていないタイミングで再選も含めて「理事」を選任するには情報不足は否めない。業務執行体制や業務運営が適正に行われているかをチェックする評議員会の見識に期待するバレー関係者は多い。

取材・文:北野正樹 読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。関西運動記者クラブ会友。

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