2025-09-29 21:06 追加
「そして、また走り出す」 群馬グリーンウイングス・白岩蘭奈さんインタビュー SV女子
群馬グリーンウイングス・白岩蘭奈さんインタビュー
SV女子
2024-25シーズンをもって現役を引退した群馬グリーンウイングス・白岩蘭奈さんのインタビューをお届けする。
白岩さんは現役引退に際してチーム公式ホームページに
「みなさんのおかげでここまで自分を追求し続け、バレーボールと本気で向き合う事が出来ました」
とコメントを残している。
白岩さんは新潟医療福祉大学からバレーボールVリーグKUROBEアクアフェアリーズ富山(V1)に入団、2020年にフォレストリーヴズ熊本(V2)に移籍、2022年からは群馬グリーンウイングスで活躍した。
現在は群馬グリーンウイングスのスタッフとしてマーケティングを担当している。裏方ではあるが抜群の知名度を活かし、イベントやラジオ番組の収録などにも勤しみ、メディア露出も多い。
白岩さんの選手としての最後の仕事は5月末に行われた群馬グリーンウイングスファン感謝祭であった。
「愛のあるファンの皆様と共に3シーズンをグリーンウイングスの一員として戦い抜けたことは、私のバレー人生にとって本当に素敵な思い出となりました」
壇上で感謝の言葉を述べた白岩さんは、引退後も群馬の地でファンと共に歩むことを選んだ。
当インタビュー記事はファン感謝祭の終了後に行ったものをベースにまとめている。また、過去のコメントも交えて白岩さんのプレーの軌跡も追っていきたい。
シーズンが終わって、つかの間の休息の時。白岩さんは普段なかなか持てなかった自由な時間を得て、食事を楽しんだり、バレーボールを通じて知り合った仲間との交流を楽しんでいるところだという。
選手としての白岩さんを綴るにあたって、以下は敬称略で書き進めることを予めご了承いただきたい。
■彗星のようにバレー界に現れた白岩蘭奈。華やかな存在もその本領は魂の強さ
「苦しい状況が続くバレー人生でした。でもその分、勝つ喜びをいろんな場面で味わえたと思います」
現役生活を総括して白岩蘭奈はそう話してくれた。
思えば、彼女のバレーボール人生は苦難の連続であった。
2018年、新潟医療福祉大学からKUROBEアクアフェアリーズ富山に内定入団した白岩蘭奈。そのルックスも相まってまさに彗星のようにバレー界に現れたという印象だった。
2019年、レギュラーシーズンの前哨戦であるサマーリーグ(夏季の短期大会)では攻守に奮闘してフレッシュスター賞を獲得。当然、その勢いを持続するようなルーキーイヤーの活躍が期待された。
ところがKUROBEでの2019-20シーズンのリーグ戦出場は12試合、セット数で16に留まり、思うようなパフォーマンスが発揮できなかった。
白岩は、2020年夏にチームを離れる決断をした。
試合には出ることができなかったが、常に注目される存在であった。
可憐な容姿からチームのシンボルである妖精(フェアリー)にも例えられた。しかし、白岩の本領は繊細なプレーではなく、献身的に動き、骨が鳴るまで躍動するような根性のプレーにあった。
KUROBE退団直後に、出場機会を求めて下部リーグのV2(当時の2部リーグ)で再出発。移籍先のフォレストリーヴズ熊本では主軸として活躍した。
■フォレストリーヴズ熊本に移籍。得点王に輝くが勝利には遠く
熊本での白岩はまさにエースと呼ぶにふさわしい存在だった。ボールは常に白岩に集まった。
拾う、打つ、後ろからも跳ぶ。
白岩はサイドのプレーヤーとして獅子奮迅の働きを見せた。決まらなければ、決まるまで何度でも繰り返す。
白岩は熊本でそれまであまりなじみのなかったオポジットのポジションに挑戦している。
「点を取る」
ことが役割のポジションだ。
白岩は自分のタスクに邁進し、個人としては結果を出した。しかし当時の熊本は難しい運営状況にあった。
熊本地震の余波でチームは2018年に一度Vリーグを脱退。2020-21シーズンにようやくリーグ再挑戦を果たしたが、白岩が加入した2020年には豪雨被害も受けた。新型コロナウイルスが拡大した時期でもあった。
2021-22シーズン、白岩は得点王に輝いた。それでもVリーグで勝てなかった。2シーズンの間、一度たりとも。
白岩にはエースとしての自責の念が胸に押し寄せていたことだろう。
またコートの外でも、自身の特性をチームの助けにすることができなかった。
熊本はきわめて実直なチームだった。
白岩は写真週刊誌が記事にするほどの注目選手であったが、チームはそういった華やかさのアピールについて積極的でなかった。
「白岩の人気をチームに活かす」
こともできたはずだが、その点は淡白な印象があった。
特定の選手が突出して取り上げられることに慎重だったのかもしれないし、当時の状況や周囲の環境がそういった空気を許さなかったのかもしれない。
結果的に、白岩は自分の持っている資質のすべてを世に問う勝負ができなかった。
2シーズン、プレーヤーとして粉骨砕身した白岩は勝利の喜びを味わうことなく、再びチームを離れる決断をした。
「限りのある選手生命の中で、再度環境を変えることで自己研磨して成長していきたい」
というコメントをチーム退団時に残している。
本記事を執筆するにあたって、過去のインタビュー記事をたどってみたが、群馬時代に白岩の口から「チーム力で勝負」という言葉が頻出していることに気がついた。
熊本にチーム力がなかったわけではないが、個の突出だけでは限界があることをあらためて実感したのだろう。
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