2025-11-13 08:48 追加
涙の勝利者、ヴィクトリーナ姫路・大島杏花「喜びは3割、7割は悔しさです」 SV女子
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試合後の記者会見場に現れた大島はやはり目を赤くはらしていた。
それは嬉し涙なのか?と大島に尋ねた。
「勝利できたことはすごく嬉しいです。だから、嬉し涙には違いないのですけれども、その要素は3割くらいですね。7割は悔し涙です」
微笑しながら大島は質問に答えてくれた。
埼玉上尾に競り勝ち、アヴィタル・セリンジャー監督も「あらゆる点で相手を上回った」と感想を述べた会心の試合。
そのタクトを振るったセッターにしては謙虚すぎる回答だった。
「先週から負けが続いていました。みんなで話し合って、もう1回バレーを楽しむ気持ちを思い出すこと、自分たちの役割をしっかりやろうと話をして試合に入りました」
開幕戦で昨季女王大阪マーヴェラスに連勝し、勢いに乗った姫路だったが、ここ3戦に限っては負け続けていた。
「第1セットはすごくいい流れで試合を運べたのですが、第2セットの入りのところで迷いが出てしまった部分があって…」
大島は続ける。
「苦しい展開になって相手のプレッシャーに押され始めてしまいました。そこからみんなで目を合わせて、自分たちのやるべきことを確認して…なんとかそれができたので今日、連敗をストップできました」
これ以上負けるわけにはいかない。試合中は息が詰まるような気持ちだったのだろう。
「ほっとしています」
その緊張感からようやく解放され、大島は正直な感想を述べた。
試合後の涙は、悔しさと嬉しさ、そこからくる安堵の気持ちが形になってこぼれ落ちたものだった。

より高いレベルへの挑戦。
本来、大島はチャレンジャーとしてがむしゃらに突き進むことが許される立場のはずだ。
しかし、彼女はすでに「責任」という2文字を背負い始めている。
セッターというチームの浮沈に直結するポジションで戦うがゆえの宿命なのかもしれない。
セリンジャー監督にここまでの大島の奮闘について所感を尋ねた。
「大島はビッグハート、心の強い選手です。新しいチーム、新しいメンバーでトップレベルで勝つことを本当に学んでいる途中です。今までやってきたバレーとは全然違うコンセプトでプレーしています。その中でとてもよくやっていると思います」
姫路は個性豊かな選手が集まった華やかなチームだ。
各アタッカーの基本能力は高いかもしれないが、個々の特徴を掴み、活かすことは簡単ではない。ましてやスタイルとして実直なバレーを展開してきた倉敷からの転身である。
しかし姫路でトスをあげる大島からはハイレベルの要求をこなすために背伸びした姿や、違和感のようなものは感じなかった。
そのことを大島に話すと次のような答えが返ってきた。
「まだまだです。今日は自分の気持ちの弱さが出た試合でした。アタッカーを信じてトスを供給する、そのことに対して自分にはもっとできることがあるはずです。
自分の選択ミスで相手に簡単に点数を取られてしまい、難しい展開にしてしまったと思います。
ここで戦うにはもちろんトスの正確性も必要ですし、判断力、相手へのチェックなど、やるべきことがたくさんあります。
やっぱりこれまでとはレベルが違うと感じています」
そして最後にこう付け加えた。
「姫路に馴染めてると言ってくださったことは嬉しく思います。ですけれども、自分の中ではまだまだなんです。もっともっと頑張りたいと思います」

大島の頭を力強く撫でた佐々木千紘の気持ちが少しだけわかるような気がした。
オールドルーキー、大島杏花の挑戦はまだ始まったばかりである。
撮影 堀江丈
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