2026-06-10 14:56 追加
北海道イエロースターズ 澤野代表が語る新アリーナ建設構想「大切なのは、ミラノの事例のように『シビックプライド(市民の誇り)』を醸成すること」
イエロースターズ澤野代表インタビュー
SV男子 / V男子

澤野佑介代表 写真:株式会社北海道イエロースターズ
2026-27シーズンからSVリーグMENに参入が決まった北海道イエロースターズ。シーズン終盤には新アリーナ建設のコンセプトが明らかとなり、代表の澤野佑介氏にお話をうかがった。
―― 札幌市内に検討されている「新アリーナ建設構想」について、まずはざっくりとした概要を教えていただけますか。
代表:はい。場所は札幌市内のどこかで、土地規模としては2ヘクタール以上、収容人数は1万人以上、そして「駅から徒歩圏内」という条件でアリーナを建てていきたいと考えています。
―― 自前のアリーナを持つということ自体に、大きな意義があるのですね。
代表:はい、自前のアリーナができること自体は、ものすごく喜ばしいことだと捉えています。
というのも、現在札幌にある「北海きたえーる」や「真駒内セキスイハイムアイスアリーナ」、私たちが現在使用している「北ガスアリーナ札幌46」などは、基本的には市民体育館や道・市が管理している「体育館」なんですね。
私たちが目指す「アリーナ」というのは、単に試合(興行)が見られる場所というだけではありません。商業施設が併設されていたり、場所によってはホテルと複合していたりするような、いわば「複合商業施設」のイメージです。今の日本全国を見渡してみても、そういう流れができています。
―― そうした考えに至ったきっかけや理由はありますでしょうか。
代表:もともと私たちの親会社である武ダGEAD株式会社が、建設業でスケールしていった会社だという文脈があります。現在も収益の大半を建設業で上げていますので、「街づくり」という文脈において、スポーツチームを持つこととのシナジー(相乗効果)が非常に大きい。
これは私がゼロから考えたことではなく、オーナーの武田がチームを買収した時点から考えていたことなのですが、まさに理にかなった素晴らしい挑戦だと感じています。
―― 新しい「SVリーグ」のライセンス交付の項目に、収容人数やトイレの数などの基準があることも、アリーナ建設の大きな理由なのでしょうか?
代表:うーん、そこに焦点を置くのであれば、実は既存の体育館でも工夫すれば満たせるんです。「じゃあ『きたえーる』でやればいいじゃん」とか、「『北ガスアリーナ』に仮設席を増やせばいいじゃん」という話になってしまうので、関係があると言えばあるし、関係ないと言えば関係ない、というのが正直なところです。
ですから、「ライセンスのためにこうしなければならない」という義務感で動いているわけではありません。根底にあるのは、「街づくりや街の発展に寄与できるのであれば、スポーツというコンテンツを最大限に活用したらいいんじゃないの?」という一つのテーゼ(命題)です。
スポーツで地域を盛り上げていきたい。そこに新しく住まう人が増え、観光や遠征で宿泊する人が増え、道外からも一定の経済効果が生まれる。そして関わってくださるスポンサーの皆さんが喜んでくれれば、それが一番いい形ですよね。
―― 近年だと、プロ野球の「エスコンフィールドHOKKAIDO」のようなイメージでしょうか。
代表:そうですね。一番近くで言えばエスコンフィールドですし、長崎(長崎スタジアムシティ/ジャパネット)や、千葉の「LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)」など、お手本になる事例は全国にたくさんあります。
―― 海外のバレーボール界でも、公共の体育館を他競技と交代で使う形から、独自の専門アリーナ(イタリア・ミラノのアリアンツ・クラウドなど)を構想する流れがあり、それによって市民への認知度や身近さが劇的に変わったという事例があります。独自アリーナを持つことは、そうした「市民への浸透」にも繋がりますか?
代表:まさにそうですね。アリーナづくりというキャッチーな開発を取り上げていただけるのはありがたいのですが、結局のところ、きっかけ(フック)は何でもいいと思っています。
大切なのは、ミラノの事例のように「シビックプライド(市民の誇り)」を醸成することです。ファンや市民の皆さんが「この街に住み続ける理由は、このチームとともに歩んでいるからだ」と思えるような、理由や愛着を作っていきたい。
アリーナというハードウェアは、エスコンフィールドを見ても分かる通り、非常に分かりやすいきっかけに過ぎません。アリーナを作ること自体が目的ではなく、バレーボールそのものを見て「楽しい」「かっこいい」「嬉しい」と感じる、その感情のバレーを繋ぎ続けていくことこそが、北海道イエロースターズの使命です。その道中にたまたまアリーナというハードがある、というだけなんですよね。
だからこそ、表面的な部分だけでなく、スポーツチームが掲げている「大志(ビジョン)」にもっと注目してほしいなと思います。プロ興行はエンターテインメントですから、スポーツがそこまで好きじゃない人でも、じっくり見れば絶対に感動があります。想いを繋ぐ媒介として、スポーツはすごく分かりやすい。その価値を、市民や道民の皆さんにもう一歩深く理解していただけたら嬉しいですね。
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