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インタビュー

2014-10-23 12:15 追加

新監督に聞く ジルソン・ベルナルド氏インタビュー

新監督に聞く サントリーサンバーズ

SV男子

PIC_0010-s ジルソン・ベルナルド。元ブラジル代表で、オポジットとしてサントリーを前人未到のVリーグ5連覇(1999/2000シーズンから)に導いた熱い男が日本に帰ってきた。5シーズン連続MVP、5シーズン連続得点王。つけていた16番は永久欠番になっているほど。

そんな絶対的エースとしてバレーファンを沸かせたジルソンが、再び監督としてサンバーズにスピリットを吹き込む。

2014/15シーズンのスローガンは『SPIRIT&POWER』。
サントリー復活への序章ー。

 

PIC_0002-s―ジルソンさん、おかえりなさい! なつかしいです。10年ぶりぐらいでしょうか。 

そうです。2004年に退団したので、ちょうどそれくらいです。関空に着いたとき、16年前に初めて日本にきたときのことが浮かんできました。前は選手として今回は監督として来ましたが、気持ちは変わっていないです。勝負したい! チャレンジしたい! という思いは同じです。

―今回、監督として戻ってこられることになったきっかけや、決意された理由を教えてください。

まずは、今回監督として僕を呼んでくれたサントリーに感謝の気持ちでいっぱいです。自分がもし監督として日本に来ることがあったら必ずサンバーズでと思っていました。僕とサントリーには強い絆があり、一緒に戦った歴史もずっと頭の中にありましたから。

―監督にというお話を聞いて、どう思われました?

ものすごく嬉しかったです。4年間ほど監督になるために勉強をしていたので、自分の最初の監督のチャンスが、ここ日本でしかもサンバーズで、ということはすごく嬉しかったです。

―監督になるために勉強されていたんですか?

そうです。2004年にサントリーを離れたあと、42歳まで現役で。長いでしょ、おじさんでしょ(笑)その後、スポーツマネージメントやマーケティングの勉強をしました。ビジネススクールや大学の講座を受けたりリハビリやマッサージなども勉強して、いろんな資格を取りました。それからブラジル内で監督になるための研修をしてブラジルの監督資格としての3級を取り、インターナショナルの研修を受け、その後、ブラジルのチームで監督になるための研修やインターンシップをやりました。

―ブラジルには監督養成のために勉強できる場所が多くあるのですか?

はい、あります。ワールドカップ(サッカー)、オリンピックと大きな大会が決まってから増えてきました。スポーツに関する資格を持っている人が今すごく必要とされています。僕はマネジャー(監督)になるための勉強をする中で、バレーではないのですが、柔道に関するプロジェクトを企画しました。それは目の不自由な子供たちのスクールで、パラリンピックを目指そうというものです。どうして柔道を選んだのか、それは日本で生まれた武道で躾など教えてもらえるスポーツだからです。そういう日本らしさ、日本の文化、東洋の文化をブラジルに少しでも導入できたらと思ったのです。

―ジルソンさんはやっぱり日本が大好きなんですね!

はい! 日本は大好きです。僕の2つ目のカントリーと思っていますよ。大好きです!

前人未踏Vリーグ5連覇の輝かしい記録

前人未踏Vリーグ5連覇の輝かしい記録

―来日して久しぶりにサントリーの体育館に入られたとき、思わず涙ぐまれたと聞きました。サンバーズで活躍されていたころのことを思い出されましたか? 選手時代の一番の思い出は?

特別な思い出は3連覇したときです。あのときは息子が生まれたばかりで。生まれてまだ1ヶ月でしたが、子供も含めて初めて家族で優勝の喜びをシェアできたのが嬉しくてよく覚えています。そのとき、本当にサントリーのみんなが僕をあったかく迎えてくれて。外国人としてではなく同じメンバーとして優しくしてもらえたので、ものすごく嬉しかった。

―「ジルソン監督」としては、どんな思い出を作っていきたいですか? 監督として大切に思っていらっしゃることは?

一番大切だと考えているのは、まずは戦術的なことではなく、選手たちがみんな「自分の力を信じること」。あのVリーグ5連覇はどうしてできたのか、監督で来た今思っても、自分を、自分の力を信じていたからこそ実現できたのだと思います。V5の時代にプレーしていなかった若い選手にも、何か違うこと、これまで成し遂げていないことを実現するために、まずは「自分を信じなさい!」と。

僕は選手に対して、彼らのために100%尽くしているので、選手も全力を尽くしてほしい。選手と僕との信頼関係、それが僕にとっては「監督として一番大切なこと」なのです。

―いまのサンバーズのチームを見て、どう感じられました?

前のパオロ監督のスタイルになっていますね。前の監督も100%を出してやられていたと思うのですが、100%を出そうとしても、そうできないこともありますね。
ただ僕はあまり他の人の仕事を批判するのは好きではないので。ただ、今のサントリーは僕が好むスタイルではないです。皆さんに信じていただきたいのは、イメージとして、サントリーは最初から最後まで全力で戦うチームになります!
それが僕の約束。たとえ1-24で負けていたとしても、チャンスはまだあると最後まで戦うチームを作ります。

―技術的な部分ではどうですか?

最近は、Vリーグのチームはレベル的にあまり差がないですね。なので個々の技術うんぬより、まずはチーム。チームとしてということを常に頭の中に入れて練習から取り組んでほしい。選手は家族よりもチームメイトとすごす時間のほうが長いときもある。最初の家族はチームというときがある。なので、ファーストファミリーという気持ちで仲間にも接してほしい。そうしなければいいチームになれないです。ファミリーだから、時にはけんかもあると思う。でも一緒に笑ったり泣いたり。みんなを守りあう助け合う。まずそのあたりが最初のステップ、最初の一歩です。細かい技術に関しては、サントリーはスパイクが強い印象がありますが、それだけでは優勝は難しい。今、練習の中でいろいろ試したりしています。

―サントリーは2010/11シーズンの2位から、3位、4位、昨シーズンは6位と苦戦が続いています。この結果は気になっていらっしゃいましたか。

サントリーを離れていても常に結果は見ていました。常にトップでいることは難しいです。それでもサンバーズはベスト4には入れるチームだと思っていたので6位はちょっとびっくりしました。僕がサンバーズを出たときは5連覇で最高のイメージだったので。

―2014/15リーグからはシステムが新しくなりますが、そのあたりは気にされてますか?

それは、スタッフが新しいシステムにあった練習や調整を考えていけばいいと思います。でもシステムは変わりますが、コートのサイズやボールは変わりますか? 変わらないですよね。審判がドレスを着たりしますか?(笑)着ないよね。コートの中での仕事は同じ、きっちりやるだけです。

愛飲しているのはもちろんサントリー製品

愛飲しているのはもちろんサントリー製品

―サンバーズとしての目標を教えてください。

まず、前の2年間のヨーロッパスタイルのバレーから変えていきたい。ヨーロッパのバレーはエレガントなおしゃれなバレーボール。でもバレーボールというのは、もっと“ガキ”“若い男の子”なので、若々しくリスキーで冒険的であっていいと僕は思うんです。そういうバレーがブラジルの特徴、ブラジル人はそのスタイルが好きです。もっと生き生きとしたパッションあふれるバレーボール。ヨーロッパは利口な感じですが、ブラジル人は笑ったり泣いたり、ときにはひどい言葉を言ったりと、そう、エモーショナル。そう「トリハダ」(笑)だ、みたいな。そういうバレーボールにしていきたいです。

僕は勝負が好き。チャレンジが好きです。なので、子供とゲームで遊んでいるときは相手が子供だから勝てるときでもわざと力を抜いて子供にチャンスを与えたりしますが、バレーボールではそんなことはしない。どんな試合でも勝ちたいと思ってやります。選手にもまず自信を持って、そうして「勝てる」と信じてもらいたい。

―最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。

まずは、ファンの皆さん一人ひとりにありがとうという言葉を贈りたいです。サントリーに初めて来たときは、“ジルソンって誰?”って思われた方が多かったと思うんですけど、僕の仕事を信じてくれて応援してくれた。本当に嬉しかった。
ファンの皆さんから学んだのは、国籍とか関係ない、あなたはどこから来てどんな人なのかは関係ない、ちゃんとしっかりといい仕事をすれば必ず認めてもらえるんだということです。
サントリーは強いチームスピリッツで最後まで戦うチームになります。いいチームになっていい仕事ができれば、タイトルも自然についてくると思います。結果として。

ダイジョウブ! どうぞご期待ください。

 

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