2014-11-03 16:30 追加
10シーズン目のサンガイア-前編:温故知新
V男子
○2012/13
再びV・プレミアリーグへの挑戦者として迎えるシーズン、黒鷲旗をグループ戦1勝2敗で終えた後、柴田、和井田ら6選手がチームを去った。一方、筑波大学出身で、学生選手としてチーム草創期を支えたひとりであった丸山祥二が、所属していた豊田合成から実に6シーズンぶりにつくばユナイテッドSun GAIAに戻ってきた。また、あのチャレンジマッチの際に大分三好の主将を務めていて、いったん引退が報じられた五十嵐元が移籍加入した。シーズン開始を前に、東北学院大学4年の瀧澤陽紀、筑波大学4年の白石啓丈がインターンシップ選手として加入した。瀧澤は東北リーグで、そのジャンプからの強打に注目が集まった選手である。
2011/12シーズンから、V・チャレンジリーグは年内に開幕していた。このシーズンは、再び、2010/11以来の2回総当たり形式に戻ったため、各チームの消化試合数が増えていて、開幕は12月1日とかなり早くに設定されていた(2014/15の11月開幕はこれまでで最も早い)。つくばの開幕戦スターティングメンバーには瀧澤が名を連ねているが、瀧澤以外の大学生に関しては、週明けに開幕した全日本インカレとの兼ね合いで、年内は参戦していなかった。このため、年内に開催された4試合に関しては、ベンチ入りメンバーが10人に満たない、かなりギリギリの状態での参戦を余儀なくされ、警視庁と富士通に敗れ2勝2敗で切り抜けた。
このシーズン、最終的に18勝2敗でシーズンを終えたわけで、年内の戦い方がかなりあとまで影響を及ぼしたことになる。 V・チャレンジリーグを2位で終了したつくばは、前季に引き続きチャレンジマッチに進出し、V・プレミアリーグ7位のFC東京と対戦した。しかし、2戦とも勝利出来ず、またしても昇格はならなかった。チャレンジマッチもう1戦の大分三好ヴァイセアドラー-ジェイテクトSTINGSは、両者1勝1敗。セット率でも決着がつかず、得点率差でジェイテクトがV・プレミアリーグへの昇格を決めた。
チャレンジマッチ終了と同時に、大学在学中から3シーズン在籍した椿山竜介が退団し、サントリーサンバーズに入団した。その後筑波大学と共に出場し、筑波大学学生の大半が大学からの出場となった黒鷲旗。つくばは逆に筑波大学の吉川寛明をセッターに据えて出場した。同グループの豊田合成が国際大会出場のため予選グループ戦免除となったため、2戦を戦い1勝1敗で大会を終えた。
○2013/14
黒鷲旗まで、何らかの形で大学生選手が出場していたつくばユナイテッドSun GAIAは、新しいシーズンから社会人のみでのチーム編成に踏み切った。1年生であった2010/11シーズンから引き続きチームの核を為していた出耒田ら4選手は4年生となり、それぞれV・プレミアリーグチームに内定し、シーズン開幕前に正式に退団を発表した。
黒鷲旗終了後、南享(国際武道大学出身、7月登録)、奥村航(東京ヴェルディから移籍し国体予選から出場、Vリーグへの登録は12月)、平尾真也(兵庫デルフィーノから移籍、9月登録で天皇杯から出場)、浜崎勇矢(大分三好から移籍、9月登録)と続々と移籍加入選手を迎えたが、それでも全所属選手はベンチ入り可能人数を下回る、13人というギリギリの陣容であった。なお、その後トライアウトに合格していた柳川大知(愛知教育大学)がシーズン中の2月に登録され、14人体制となってはいる。
このシーズンは前年に引き続き2回総当たりで、つくばの初戦は12月21日であった。前週に必勝祈願「菜」として、市内のごきげんファームで玉ねぎの苗を植えるイベントがおこなわれた。 シーズン途中で加藤陽一が正式に監督に就任したが、実質監督兼選手としてコートでの比重が高くなっていた。
2月につくばカピオでおこなわれたホームゲームは、首都圏としては甚大な大雪に見舞われた。翌週、それを更に上回る大雪の中、川崎市宮前スポーツセンターでおこなわれた試合には、前日からの移動にもかかわらず、試合開始直前に会場に到着するなど厳しい状況での戦いが続いた。下位の兵庫デルフィーノに2戦ともフルセットでの辛勝、などあったが、カピオで富士通に敗れたのみの17勝1敗、1位で最終週・刈谷での決戦に臨んだ。
最終週時点で4チームにチャレンジマッチ出場の可能性があった。つくばはまず警視庁と戦ったが、試合開始直後に瀧澤が左足首を負傷するアクシデント。交代出場した南が奮闘し、ボールを集められた加藤が打ちまくったが及ばず、フルセットでの敗戦を喫した。最終戦となった大分三好戦では瀧澤が強行出場したが、同じくフルセットで敗れ3位でシーズン終了。チャレンジマッチ進出はならなかった。
リーグ終了後、加藤が黒鷲旗限りで現役を引退することが発表された。黒鷲旗前には練習が数回公開された。平日は夜間に公共施設で練習する機会が多く、練習はほとんど公開されていないため、この機会にと見学者が詰めかけていた。 黒鷲旗では会場入口そばにチームブースが設けられ、加藤をねぎらう花環が飾られた。期間中、チームブースでファンサービスがおこなわれた。
試合ではパナソニック、ジェイテクトから1セットを取ったが敗れ、最終戦の日本体育大学戦ではストレートで敗れ終了した。試合終了後、加藤は南、奥村、柳川という若手選手による騎馬に支えられコートを一周、その後、次の試合を控えた古巣JTのメンバーとともに胴上げ、終了後にコート外で引退セレモニーがおこなわれた。
文・構成 出口季里
写真 中西美雁・出口季里
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