2016-09-27 09:03 追加
海外女子バレーのすゝめ 第5回 オレンジ・センセーション―復活のオランダ
海外バレーコラム
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リオデジャネイロオリンピックから早1ヶ月。
今大会ベスト4の一角に名乗りを上げたオランダが、女子バレー界を席巻し始めている。3位決定戦でアメリカに敗れメダルは逃したが、20年ぶりのオリンピック出場で4位入賞という見事な躍進を遂げたのだ。FIVB世界ランクは昨年8月(18位)からわずか1年で11も上げ、現在7位につけている。
オランダ女子は1992年のバルセロナ大会で初めてオリンピックに出場、6位となった。1996年のアトランタ五輪では5位に入ったが、その後オリンピックの舞台からは遠ざかる。2004年、日本バレー界にも大きく貢献したアリー・セリンジャーを父に持つアビタル・セリンジャーが監督に就任。2007年ワールドグランプリではブラジル、ロシアなど、並み居る強敵を次々に破って初優勝を飾った。翌年の北京五輪出場は逃したものの、2009年の欧州選手権では銀メダルを獲得。着実に力を付けていると思われたが、その後は再び低迷期に入ってしまう。2010年の世界選手権では11位、2012年のロンドン五輪も欧州予選敗退、2013年の欧州選手権9位、そして2014年の世界選手権では13位と、成績不振が続く。
・オランダの未来を切り拓いた名将
低迷していたオランダ女子の再建を任されたのは、イタリア人監督のジョバンニ・グイデッティだった。2006年から2015年までドイツ女子代表監督を努めた一方、2011年からトルコの名門ワクフバンクを率い、国内リーグのみならず欧州チャンピオンズリーグ制覇に導いた名将だ(海外では代表監督・クラブ監督の兼任が許される国もある)。2015年初頭にオランダ女子代表監督に就任し、同年10月の欧州選手権でいきなり準優勝。今年1月のリオ五輪・欧州大陸予選でも2位となり、日本開催の最終予選への切符を勝ち取ったのだった。
そして東京で、歓喜の瞬間は訪れる。高さを生かした攻撃的なバレーを展開し、20年ぶりにオリンピックの舞台へ返り咲くこととなったのだ。その絶大なインパクトから、オランダは一部のファンに「ハイキュー!!に似てる!」とも言われ、話題となった。
ウィングスパイカーのアンネ・バイスはリオ五輪出場を決めた試合のあと、一人涙を流した。彼女の父トゥーン・バイスは、かつてオランダ男子代表としてソウル五輪を始め、多くの国際大会に出場し活躍した。そんな偉大な父の娘、そしてオランダのエースの一翼として大きなプレッシャーもあったのだろう。「本当に嬉しくて・・・」と涙を流しながらも、その目はすでにリオ五輪へ向けられているように見えた。
バイスは昨年の欧州選手権のとき、インタビューで「自分たちには高さ(という武器)がある。高く跳べるし、強いスパイクを打てるし、いいゲームができる。このチームには高いポテンシャルがあると皆が分かっている。そういった自信を与えてくれたのはジョバンニだった」と話した。
選手と監督が英語でコミュニケーションを取っているオランダ。小国のため外国との繋がりが不可欠で、様々な場面で英語が必須なのだという。そのため教育が充実しており、国民の9割以上が高いレベルの英語を話せるそうだ。もちろん選手も英語が堪能で、意思疎通には全く問題がない。選手とジョバンニ監督は非常に仲が良く、オランダチームの雰囲気に完璧に溶け込んでいる印象を受ける。
・オランダ躍進の理由
この1年でオランダは女子バレーの勢力図を大きく変えた。欧州選手権の銀メダルを始め、ワールドグランプリでは1部昇格直後の銅メダル、リオ五輪の予選リーグでは中国やセルビアを下し、2位通過でのベスト4進出。勢いだけではなく、本物の強さであることをこの大会で証明した。
何がオランダをここまで押し上げたのだろうか?単に仲の良さだけで勝負していたのだろうか?決してそうではない。オランダの強さの要因は、その組織力にある。
オランダはオポジットのロンネケ・スローティエスやウィングスパイカーのアンネ・バイス、セレステ・プラクといった破壊力抜群の攻撃手がずらりと揃う。このチームの武器は何と言ってもその高さで、平均身長も190cm近い。だからこそ、そういった力のあるアタッカー陣へボールをお膳立てするセッターのラウラ・ダイケマと、チーム内で共有された「コンセプト」が、オランダ躍進のカギを握っていた。
ダイケマは1990年生まれの26歳で、オランダ代表に初選出されたのは2010年、20歳のときだった。それまでレギュラーを務めていたキム・スタエレンスが産休に入り、ダイケマは正セッターを任された。日本で行われた世界選手権では安定感を欠き、チームも11位と不本意な結果に終わってしまう。それでも、ダイケマは着実に成長していった。乱れたトスもベテランが決め、少しずつ自信をつけていったのだろう。
比較的若手の多いオランダにあって、今度はアタッカーを引っ張っていく立場になったダイケマ。どんなボールであってもボールの下に素早く潜り込み、アタッカーの持ち味を生かす丁寧なセットアップを続けた。
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コメント
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山田太郎 [Website] 2012.04.20 13:00
非常に興味深い内容でした!