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コラム

2016-11-29 09:42 追加

世界のバレー会場から 第15回 折り返し地点を迎えるセリエA1 現況と今後の見どころ・日本でセリエAの試合を見る方法 

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「今年も華やかなスター揃いのセリエA いよいよ日本人選手登場!」

 

試合後インタビューを受けるザイツェフ&アタナシエビッチ

試合後インタビューを受けるザイツェフ&アタナシエビッチ

昨シーズン終了直後、イタリア内でひとつの噂が流れました。「ペルージャがザイツェフ(ITAオポジット以下OP)にオファーを出している。よってアタナシエビッチ(SRB OP)を放出!?」。アタナシエビッチにはペルージャとの契約が1年残されていたものの、実力社会、結果を出さなければ解雇されるのは当然のこと。3シーズン優勝を逃しているペルージャがとうとう行動に出たと思われました。しかしチームが提案したのはイタリア、セルビア2大エースを同時にコートに立たせるというもの。これまで通りアタナシエビッチをOP、そしてザイツェフをレフトに配置するという予想外の策を発表し、今季まさかの共演が実現することになったのです。

アタナシエビッチのスタメン復帰によりようやく予定のポジションでプレーができるようになったペルージャ(写真Daniele Pochini)

アタナシエビッチのスタメン復帰によりようやく予定のポジションでプレーができるようになったペルージャ(写真Daniele Pochini)

10月の開幕当初、手術明けで復帰が間に合わなかったアタナシエビッチに替わり、ザイツェフは本来のOPとして出場。デセッコ(ARGセッター以下S)、ラッセル(USA ウィングスパーカー以下WS)、ポドラスチャニン(SRB ミドルブロッカー以下MB)、ビラレッリ(ITA MB)と各国代表選手に加え、リオ五輪銀メダリストの原動力となったエースの力、アタナシエビッチがいなくとも誰もが華々しいシーズンの幕開けを期待していたことは言うまでもありません。ところが、ふたを開けてみれば強豪相手に勝ち点を挙げられないペルージャの姿。ザイツェフもアタック決定率50%を下回る試合が続き、らしさを発揮できぬまま11月中旬には監督コバッチが責任を取って辞任する事態に。アタナシエビッチのスタメン復帰でようやく形が整ったペルージャですが、現在4位と苦戦を強いられています。(11月28日現在)

 

その中で今季、選手獲得に成功したのはLUBE(チビタノーバ)ではないでしょうか。ソコロフ(BUL OP)の獲得により、ユアントレーナ(ITA WS)やチェブリ(SLO WS)とともに安定した攻撃力が備わり、クリステンソン(USA S)の多彩なパフォーマンスで順調に勝利を重ねています。ただひとつ残念なのは、「コート上イタリア人3人ルール」により、グルベニコフ(FRA)をリベロとして起用できていないこと。有能な人材を持て余していますがそこは敏腕ブレンジーニ監督、レシーバーとして部分起用することで守備の安定感を高める贅沢な使い方をしています。

 

ソコロフ対ランザ(スーパーコッパの3位決定戦LUBEvsTrento)

ソコロフ対ランザ(スーパーコッパの3位決定戦LUBEvsTrento)

前半1試合を残し11勝1敗と首位をマークしているLUBE、唯一、敗北を味わったのはトレントに対してのみでした。カジースキやストイチェフ監督が離れ、トレントの黄金時代が終わったかのように思われましたが、ジェネッリ(ITA S)、ランザ(ITA WS)、ソレ(ARG MB)といった若手選手の安定感が年々増し世代交代に成功。さらに今季は昨シーズン2冠(リーグとイタリア杯)を制したロレンゼッティがモデナから移籍し指揮を執ることとなり、奪還を狙います。現在LUBEに次いで2位のトレント。11月20日のモデナ戦でフルセットに持ち込まれ、惜しくも2敗目を喫したのが悔やまれるところでした。

 

シーズン開幕前のスーパーコッパで優勝したモデナ

シーズン開幕前のスーパーコッパで優勝したモデナ

近年すっかりイタリアのトップに定着したもののブルーノを放出したことで変化の時を迎えたモデナ。ヌガペット(FRA WS)、ペトリッチ(SRB WS)、ベットーリ(ITA OP)とお馴染みのメンバーに加え、今季はホルト(USA MB)、ルルー(FRA MB)が加入し、司令塔オルドゥナ(ITA/ARG S)で新生モデナがスタート。開幕前のスーパーコッパ(昨季4強によるトーナメント大会)では、メンバーの入れ替わりをものともせず見事優勝を果たし、今季も変わらぬ強さを証明しました。が、一方で、ヌガペットが抜けるとまるで違うチームのように勝利できなくなるという難点が浮き彫りに。モルフェッタやモンツァにはそれぞれ1-3で負け3ポイントを与えるという失態を犯し、現在3位にとどまっています。

 

セリエのランキング上位であっても、下位チームの勢いに飲まれてしまうことはよくある話。各チームには実力者が揃い、爆発すると止められないという光景を頻繁に目にします。ピアチェンツァのエルナンデス(CUB OP)、ヴェローナのコバチェビッチ(SRB WS)、モルフェッタのサッビ(ITA OP)…役者が後を絶たたず名プレーを次々に披露、結果を残しています。そんな輝かしいセリエの舞台、そこへついに日本人選手が参戦。インカレ終了後の石川祐希選手(WS)が ラティーナへ合流する日が近づいてきました。

 

sラティーナメンバー(写真Daniele Pochini)

sラティーナメンバー(写真Daniele Pochini)

現イタリア代表のソッティーレ(ITA S)やマルオッティ(ITA WS)、長きに渡って代表を務めたフェイ(ITA OP/MB)が在籍するラティーナは、マルオッティの対角として安定するウィングスパイカーを求めています。フルセット・デュースの末で惜しくも勝利を逃すこともあり、あと一歩という場面が多くありました。ここに日本人スパイカーがどう関わっていくのかがなんといっても見どころ。特に後半は前半に快勝してきたチームに疲れが見えたり故障が出てきたり、上位チームはチャンピオンズリーグ等でスケジュールが慌ただしくなる為、つけ入る隙は大いにありチャンスが広がるといっても過言ではありません。折り返し地点を迎え後半戦からの合流、絶妙のタイミングとなることが期待できます。

 

14チームによるホーム&アウェー方式のセリエA1は、12月11日から後半戦開始。スケジュールはSerieA1ホームページでチェックできます。またライブ観戦もサイトSportubで可能。課金制となっており1試合2ユーロ、またはシーズン料金29.9ユーロで日本からの登録、閲覧ができます。(クレジット支払いだと税務番号を問われるため、Pey pal支払いがおすすめです。)現地観戦のチケットは試合当日体育館会場入り口だけでなく、インターネット上でも事前販売されており、日本からでもクレジット決済で購入可能。また試合後、動画や画像も各チームのサイトや専用サイトで閲覧することができます。

*セリエAスケジュール

http://www.legavolley.it/Calendario.asp?Anno=2016&IdCampionato=648

*ライブストリーミングサイト「Sportube」

http://www.sportube.tv/

*チケット販売サイト「BookingShow」

http://www.bookingshow.it/SottoGenere/Sport/Volley/127

 

海を渡った遥か遠くのイタリアリーグですが、インターネットの普及により日本でも簡単にリアルタイムで観戦、体感できる時代になりました。代表でお馴染みの選手たちの国をまたいだ共演や対戦、そして日本人選手の奮闘、最高峰のリーグセリエA1には様々なバレーファンの心をつかむプレーやドラマが詰まっています。言葉は分からなくても楽しめるバレーボール。世界共通の観戦の楽しさや勝利の喜びをこのセリエA1は提供してくれるでしょう。

 

*ラティーナチームの紹介は、石川選手の渡伊に合わせて別途掲載いたします。

 

写真:SerieA、Daniele Pochini

文責:宮﨑治美(Harumi Miyazaki)

長崎県生まれ。2007年ワールドカップをきっかけにバレー観戦を始め、2009年頃から徐々に海外へも観戦に行くように。競技経験はないながらも、コートの中で繰り広げられるドラマ、選手の人間性に魅了され観戦し続けている。

 

第1回 ロシアリーグ

http://vbw.jp/5161/

第2回 イタリアセリエA1

http://vbw.jp/5267/

第3回 韓国Vリーグ「オールスターゲーム」(2013)

http://vbw.jp/5414/

第4回 ヨーロッパ選手権(2013)

http://vbw.jp/5760/

第5回 ドイツリーグ

http://vbw.jp/5923/

第6回 ポーランドリーグ

http://vbw.jp/6613/

特別編 男子世界選手権2014 第1次ラウンドを終えて

http://vbw.jp/7825/

特別編 男子世界選手権2014 第2次ラウンドの概要

http://vbw.jp/7911/

特別編 男子世界選手権2014閉幕

http://vbw.jp/8087/

第7回 2014/15セリエ A1選手動向

http://vbw.jp/8261/

第8回 佳境に入るイタリア「セリエA1」

http://vbw.jp/9310/

第9回 イタリア「セリエA」2014/15ファイナルラウンド

http://vbm.link/9775/

第10回 ワーリドリーグ2015現況とセルビア会場

http://vbm.link/10130/

第11回 ワールドリーグ2015 ファイナルラウンド

http://vbm.link/10240/

第12回 ワールドカップ2015

http://vbm.link/10454/

第13回 ヨーロッパ選手権2015(フランス優勝)

http://vbm.link/10659/

第14回 ワールドリーグ2016(セルビア優勝)

http://vbm.link/11869/

 

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