2016-12-07 17:12 追加
「『日本のミドルは出耒田だ』と言われるように」 出耒田敬(堺ブレイザーズ)
出耒田敬インタビュー
SV男子 / 全日本代表 男子
先発ミドルブロッカーとして出場したOQTでリオデジャネイロ・オリンピックの出場権を獲得できず、悔しい思いをした出耒田敬選手。リオを訪れオリンピックをその目で見て世界との差を痛感したという。東京オリンピックに向け、「日本のミドルは出耒田だ」と言われるくらいの存在になりたいと話す。V・プレミアリーグの戦いの中でミドルブロッカーとして意識して取り組んでいることや、オリンピックへの思いなどを語っていただきました。
──V・プレミアリーグの戦いが続いています。今季、堺がチームとして力を入れているのはどんなところですか?
個々の能力が高いチームなので、それをいかに安定して出せるか。そのための形作り、システム。システマティックな動きを入れたり、もしチームが崩れても立て直すためにやるべきことがきちんと決まっている、そういうチームを作っています。だんだん作れてきていると思います。
──形やシステム、それはブロックだったり?
そうですね。ブロックとディフェンスの関係だったり、(アタッカーでは)無理して決めようとせずにリバウンドを取って攻撃の機会を増やして、といった感じです。
──序盤を戦ってみて、どうですか?
1LEG終わった時点でそんなに成績はよくない(7位)ですが、やっていること自体は悪くはないと思っています。ただチームとしてまだ自信を持てていないというか……やり始めた当初というのは結果が出ないと自信につながってこないと思うので、結果が出るまで誰一人外を向くことなくチーム一丸となってやり続けることが大事。そういう意味ではやり続けているので、自ずと結果は出てくると思います。
──監督が新しく真保(綱一郎)さんに変わりました。いかがですか?
真保さんとは全日本で一緒にやっていますし、考え方などはわかっているつもりでいます。ただ、監督が変わって、ブレイザーズとしてのやり方がいろいろと変わる部分もありますし、真保さんが要求しているところまでまだ達していない。要求されていることは明確でわかりやすいので、個人のスキルを上げて経験を積んで、試合を重ねるごとに成長して、要求に達していかなければならないと思っています。
──その要求の中で、自分が一番やらないといけないと思っているのは?
ブロックとディフェンスに重点を置いているので、ミドルブロッカーとしてはやはりそういう部分ですね。相手の特徴に合わせたブロックの指示はミドルがサインを出すので、選手側とスタッフ陣の考えを一致させること。要求はけっこう高いかなと感じています。もちろんお互いで(こうやろうという考えが)合っていても、相手の特徴をつかんでその通りにやっているので外れることもあります。そういったときには割り切りも大事ですし、いろいろと難しいです。
──個人として、今季、一番意識しているプレーはやはり?
はい、やっぱりブロックになるのかなと思います。
──そのブロック、結果が出ていますね(1LEG、ブロック決定本数で出耒田選手は1位、チームとして堺も1位)
たまたまです。たまたま昨シーズン一緒にやっていたペピチ(ミラン)はチーム練習でも止めやすいという印象があって、その結果、ペピチだけを止めていたり、東レは速いですけど、ニコ(ニコラ・ジョルジェフ)と相性がいいので、ニコばっかり止めて稼いでいるみたいな。もう少しどのスパイカーにとっても脅威となるような存在になりたいと思いますね。特定の人物だけではなくて。
チームとしてはサイドにゴッツ(石島雄介)さん、マルちゃん(ウォレス・マルティンス)がいて、自分と3人並ぶとかなり相手としては嫌だろうし、それで相手がプレッシャーを感じて、とりあえず思い切り打っとけ、みたいになってくれているのかなと。サイドが脅威になってくれているので、自分も自由気ままに動ける。1枚でまかせても大丈夫かなと思い切った決断もできているので、結果につながっているのかなと思います。
──何か工夫されていることはありますか?
そうですね。今までとちょっと変えたことがあります。ブロックの踏み切りの際に、今までは高さを出すために一回沈み込んで跳んでいたんですけど、ステップの中で最後にうまく腱の反射を使ってパパーンという感じで跳ぶようにしました。自分の中である程度しっくりきている部分もあるので、そうしてよかったかなと。
──そうするには、筋トレなどすごく必要なのでは?
そうですね。OQT(リオ五輪世界最終予選)で終わってしまってチームに早めに帰ってきたので、しっかりと体作りをしました。
──前はリーグ途中で故障したりもありましたね。でも、ならば、そういう不安は、今はない?
そう、今までだったら連戦の後とか、ひざに痛みを感じていたんですけど、今のところ、どこも痛いところなくやれているので、すごく楽だと思って。もちろんオリンピックに出て経験するほうがいいですけど、結果は変えられないので、体作りをやれてよかったとプラスに捉えています。
──これはもう少し頑張りたいと課題として感じているものはありますか?
今はスパイクですね。今まではかなり自信を持っていたんですけど、全然で、ちょっと迷走しています。
──そうなんですね。何が原因なんでしょう?
いろいろとあると思うんですけど、こればっかりは今はまだ何とも言えない状況で、試行錯誤しながらやっています。ちょっと取り組みを変えて、東レ戦(11月20日)でちょっといい感触をつかめたというのがあるので、精度を上げて。ちゃんといい結果が出たら、何を変えましたって言いますね(笑)脱出する日は近いんじゃないかなと思います。あとは、あまり深く考えずに。「試合を楽しむ」というスタンスでやっているというのを少し忘れていたので、そこだけは忘れずに。
──「試合を楽しむ」ことを忘れていたこともあったんですね……。
うまくいかないことだらけだと、やっぱり……。今までスパイクに関して迷ったことがなかったので、全然楽しめずにいたんですけど、今は初心に戻ろうと思っています。
──ウォレス選手がいるとしてもミドルでサイドアウトを取りたいこともありますよね。全日本を考えても。
そうですよね。はい、頑張ります!
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