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ゲームレポート

2017-01-25 17:30 追加

天皇杯男子決勝東レvs豊田合成、フルセットで死闘のゲームレポート

平成28年度天皇杯決勝レポート

V・プレミアリーグ 男子

2016天皇杯決勝は昨年に続き2連連続2回目の優勝を目指す豊田合成トレフェルサと、東レアローズとの対戦となりましたがセットカウント3-2(25-22,25-20,21-25,24-26,22-20)で東レアローズが3回目の優勝となりました。

両チームの紹介・イゴールに特化される豊田合成と、ジョルジエフに頼りながら多彩な攻撃を繰り広げる東レ

豊田合成は攻撃面はOP(サーブレシーブをしない攻撃専門のポジション)のイゴール選手が中心で、全スパイクの4割~5割強が集まります。イゴール選手がチームに加わってからこの傾向は変わりません。クリスティアンソン監督に鍛えられた守備は規律が非常にとれています。
東レアローズも攻撃面はOPジョルジェフ選手が中心です。MB(ミドルブロッカー)の打数は全体の20%近くで多めです。守備面は豊田合成に比べると個人の判断が入る印象です。

攻撃面で豊田合成は普段と比べイゴール選手に集めていました(56.8%)。またMBの攻撃は12.2%と普段の試合の16%程度に比べると少ない打数でした。Aパス(セッターが動かずにトスを上げられるサーブレシーブ)が入っても、イゴール選手にセットが行くケースが多く、MBが使えていない印象でした。この試合では攻撃面が売りのWS(サーブレシーブもするアタッカー)山田選手が起用されており、普段は少ない4枚攻撃が見られましたが、実際にバックアタックを打ったのはイゴール選手のみでした。

東レはMBの攻撃が25.1%と、かなり多い結果となりました。富松、李選手ともにマイナステンポでのアタックなので、一般的にはレセプション(サーブレシーブ)が崩れると使えないケースが多いのですが、セッター藤井選手が少々崩れても縦Bクイックなどを織り交ぜたり、ブロックで失点しても使い続けたり、粘り強く対応をしていました。

守備面は豊田合成、東レともにバンチの配置からリードブロックを主として行っていました。両チームともブロックのオフザボールでの動きが良く、MBがきちんとセンターのホームポジションに戻ってから、ブロックに入るケースが多かったように思います。またブロックワンタッチからの各選手のトランジションの動きがよく、白熱したラリーが見られました。

各セットの振り返り

第1セットは前半は両チームミスなどがありましたが、競り合いが続く展開になりました。終盤に富松選手のサービスエースや、OPジョルジェフ選手のサーブからのブレイクで東レが突き放し、東レがセットを取りました。
第2セットは中盤まで競り合いとなりましたが、フローターサーブを山田選手に集中させ、レセプションを崩したラリーを取り切り、徐々に突き放した東レがセットを取りました。
第3セットは中盤に豊田合成のトータルディフェンスからのトランジションやMB傳田選手のサーブにより連続得点を上げリードを取るものの、東レもジョルジェフ選手の強烈なサーブからのブレイクで追いすがります。しかし最後はMB李選手のクイックに対応をし、連続得点を挙げた豊田合成がセットを取りました。
第4セットは中盤に連続得点を取り東レがリードするも、豊田合成がワンタッチからのトランジションやブロックポイントを挙げ逆転します。終盤はシーソーゲームになりましたが、傳田選手のサーブからの連続得点で豊田合成がセットを取りました。
第5セットは豊田合成がリードを守る展開が続きましたが、14-13のマッチポイントで東レがラリーを制しブレイクし追いつきます。その後、豊田合成15-14で富松選手のスパイクの判定はアウトでしたが、この判定に対する東レのチャレンジが成功し再び追いつきます。その後イゴール選手のスパイクミスがあり東レが先行する形となりましたが、サイドアウトの展開が続きます。最後は東レ21-20からフローターサーブでL古賀選手のレセプションを崩し優位に立った東レがラリーを取り切り勝利をしました。

両チームの戦略 リベロ古賀にサーブを集め、崩した東レ

東レは、豊田合成の4人のビッグサーバー(イゴール選手、高松選手、山田選手、傳田選手)に対し、レセプションをAパス狙いをせず、自コート内に上げ攻撃に繋げていました。また、サーブでは両MBがフローターサーブを山田選手に集中させて効果を上げていましたが、第4セット後半からは古賀選手にターゲットを変えました。最初あまり効いてはいなかったのですが第5セットに入ると徐々に効きだし、レセプションを崩す場面が増えました。どちらが勝っても不思議のない試合展開でしたが、試合を通じて集中力を切らさず粘り強く対応したことが勝利を呼び込んだ一つの要因だと思います。ジョルジェフ選手が攻撃の中心になっているのは確かですが、MBの打数が多く、WS鈴木選手がレフトからバックアタックを打ったりするなど攻撃の多彩さは豊田合成を上回ったと思います。

豊田合成は2セットを連取され苦しい試合となりましたが、第3、4セットを取り、第5セットも一旦は勝利かというシーンがありました。今シーズンから導入されたチャレンジシステムにより判定が覆ることになり、その後残念ながら敗戦となりました。

Vリーグのチャレンジシステムは、FIVBの「1セットに2回まで」と違い、「1試合に2回迄で成功すると権利が残る」システムです。FIVBの試合ではチャレンジをタイムアウト代わりに使うシーンも見られましたが、Vリーグの回数であるとそのようなことも見受けられません。また先シーズンまでは審判への抗議などで荒れた試合もありましたが、チャレンジをして正確な判定をしてもらえばよいとの意識となり、抗議の場面が減ったと思います。この日本独自のチャレンジシステムの出だしは順調に見えるので、今後の運用を見守りたいと思います。
東レにサーブで攻められレセプションを崩されましたが、イゴール選手に丁寧にセットを上げしのぐ場面が多くみられました。一方Aパスが返った シーンでもイゴール選手に上げる場面が見られました。MBの攻撃力があるチームなので、もう少し打数を増やせばより優位に試合を進められたと思います。

また、試合終盤に古賀選手がフローターサーブでレセプションで崩されたシーンですが、最後までアンダーハンドレシーブをしていました。ファーストタッチやセットをオーバーハンドで行う選手なので、レセプションもこなせるはずです。実際にネットインしたサーブをオーバーハンドで処理をしていました。体に向かってくるケースが多いフローターサーブは、オーバーハンドで処理をすることが一般的となっている中、アンダーハンドにこだわり続けたのはなぜなのか不思議に思いました。

本稿執筆時ではVリーグが再開し、東レが2位、豊田合成が3位と好調をキープしており、ファイナルステージ進出を決めました。東レは天皇杯に続く2冠なるか、豊田合成はVリーグ2連覇なるか注目したいと思います。

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